第8話 『攻撃』 その2
「まりこ先生、大丈夫ですかあ!!」
さすがに、人だかりになりました。
「救急車呼んで!」
校長先生も、『個室』から呼び出されてきました。
校内見回りに出ていた教頭先生も、あわてて帰ってきました。
学年主任の山田先生が、電話を仕掛けて、途中やめになっています。
まりこ先生は、片目を開けました。
『あら、みなさん、どうしましたか。』
『どうしたって、先生が、倒れたからみんな、心配しています。』
『あら。すみません。ゆうべ、当直で、ちょっと疲れて、ぼー、と、なったよな。』
『はあ〰️〰️。ま、とにかく、病院行ってください。あとは、なんとかしますから。だれかに、付き添わしましょう。救急車呼びますから。』
『あ、タクシー、呼んでください。救急車は、大げさですわ。ひとりで、ダイジョブですから。』
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まりこ先生は、自分で、コップをかたずけてしまい、バッグに放り込むと、さっさと、職員室から消えました。
校長先生と、教頭先生が、互いを見合っております。
音楽の専任の、中村先生が、ちょっと、不可思議な顔で、このふたりを、見比べておりました。
中村先生は、いわゆる中立派で、とくに、校長〰️教頭ラインには属していません。
また、職員組合のリーダーで、理事長派の田中先生に近いわけでもありません。
といって、まりこ先生と仲良しな訳でもないのです。
中村先生は、中学の音楽も、受け持っていました。
ほんとうは、高校で教えたいのですが、高校には、各種コンクールでも名高い、西田先生がいらっしゃいますため、むりなのです。
西田先生からは、あまり、好かれていないのは、分かっておりました。
まあ、世の中、難しいのです。
まりこ先生は、タクシーがやって来ると、乗って行ってしまいました。
三階の、小さな覗き窓から、外を見ている目が複数ありました。
『あいつ、まずいな。』
『なにも、知らないさ。』
『だって、あれ、入れたんだろ?』
『ああ、入れた。けど。効果があまり、無いみたいだ。もしかしたら、あれは、普通の人間ではないな。隠れバスターマンかも。だから、まずい。対策を考えなければ。』
『中村も、なにか、勘づいてるかも。』
『やはり、消すか?あいつは、明らかにバスターだ。』
『さて、と。どうしよかな?』
姿なき声の主たちは、暗やみに紛れているのです。
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