第4話 『脅迫』 その2

 まりこ先生の学校の校舎は、戦後建て替えられたものです。


 当時としては、なかなか、立派なものなのですが、最近は、耐震強度の問題が浮かび上がって、近く全面的に改修の予定でしたが、法人があまり豊かではないらしいため、新校舎をいっぺんに建てるのは、難しそうでした。(実は、建て替えたくなかったのです。)


 で、この一番古い校舎の2階に、職員室があり、その上は、天井裏なのです。


 そうして、そこには、入ってはならぬと言われる、かくしべやが、あるらしいのです。


 まりこ先生の、頭の真上です。


 そうに違いありません。


 もちろん、校長先生や教頭先生から、そうだからね、よろしく。


 なんて、言われていませんよ。


 でも、間違いありません。


 その隠し部屋の真下の席にいる教員は、絶対に出世しないことになっているのです。


 しかも、不気味な事件に巻き込まれると言われます。


 まりこ先生の席は、他の先生たちから少し離れた場所に、ぽつんとあります。


 柱があるため。


 とされていますが、ならば、他に置く場所があるのに、ここなのですから。


 この席に座った先生は、たいがい何かの事件に巻込まれ、ひどいときは亡くなってしまうこともあるのです。


 でも、まったく、改善されません。


 スペースは、広いものですから、なんだか偉くなったような気はするのですが。


 それは、おそらく、何かの力に、学校全体が支配されているからなのではないのか?


 まりこ先生は、ひそかに、そう考えていたのです。


 それで、先生は、屋根裏に上がる方策はないのか、じっくりと探しておりました。


 ある日、ついに、それを見つけたのです。


 古い物置部屋の奥まったところに、不自然なベニヤ板が張られていました。


 そうして、その裏側に、階段が隠されているのを、発見したのです。



 ある、当直勤務の日(この学校には、いまだに当直がありました。それは、なんと、寮が付属していたからです。)、先生は、ついに実行に踏み切ったのです。



 

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