新しい仲間

――ダゴヤ・共存軍作戦司令部――




 イメクに連れられて共存軍の寮を目指す二人。ガラス張りのエレベーターからはダゴヤのビル群が見える。




「二人とも剣士なんだね」




 エレベーターで前に立つイメクが興味津々に言った。




「はい、僕はオズカシ村で。ホージロは魔法使いの国で剣を習いました」


「あ、そんなに畏まらなくていいよ。僕も新兵なんだ。一昨日ここにきたばかり。だから敬語はナシで」


「え? そうなの? 全然そんな風に見えなかった」




ホージロは驚いた。




「ははは、僕からしたら君たちの貫禄のほうが凄いよ。とっても強そう……」


「私はともかく、そこの赤髪くんは強いわよ。有名な魔法使いサンガオーを倒しているんだから」


「え?! あのサンガオーを?」




 イメクは目を丸くする。レッドは「赤髪くん」なんて言われて少し動揺してホージロを睨んだ。年下ながら年下扱いされるのはなんか嫌だ。




「サンガオーってそんなに有名なのか?」


「当たり前だよ。共存軍一の剣士、シラスナさんが苦戦した挙句、取り逃がしちゃった相手なんだよ」


「シラスナ?」




 ホージロは聞き覚えのある名前だと思った。




「うん。共存軍一の剣士で南方戦線を勝利に導いた英雄さ。明日からダゴヤに配属になったってきいたよ」




 ホージロとレッドは確信した。カフェにいた見えない剣を操る女のことで間違いない。




「レッドは本当にすごいんだね。僕も剣士だけどまだ実戦経験がなくって」


「たまたまさ、イメク。これからは戦友だ、一緒に頑張ろう」


「そうよ。私だって実戦経験はないし」


「ホージロちゃんもないの?! もう何人か斬ってそう……」


「それどういう意味?」




 ジト目のホージロに対しイメクは慌てる。




「いや強そうだなって……。べ、別に老けて見えるとかそういう意味で言ったわけじゃないから」




 子供に見えると拗ねるし、老けて見えても拗ねる。レッドはホージロがつくづく面倒くさい奴だなと思った。




「ふーん」


「そ、そうだ。二人に寮の鍵を渡すのを忘れてた」




 イメクはポケットから二枚のカードキーを取り出す。




「レッドが2758号室。ホージロちゃんが2759号室だから隣同士だね」




2人はイメクからそれぞれの鍵を受け取った。




「ちなみに僕は2757号室だから何かあったら相談してね」




 爽やかな雰囲気の同期にレッドとホージロは少しほっとした。


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