久しぶりに彼女と会う。

「最近あまり会ってくれないのね」

彼女はぼんやりとした目で僕を見る。

「あたしやっぱり騙されてるらしいの」

「そうなんだ」

「結婚詐欺知って、相手に借金させてもお金を取るんだって」

「借金したの」

「してないよ」

「借金は家訓があるからって言ったの」

「それより、お金あるなら貸してって」

「笑顔で」

「笑顔で」

「そしたら、連絡取れなくなって」

「あたし、あなたがあんまり好きじゃないって言ったからかな」

「あたしが好きなのは、あなただから」

唐突に言われる。

「お前が騙されてるんじゃないか」

「それより、彼女仕返しとかされないかな」

「憂さ晴らしに」

「相手がバカならするかもね」

達樹が意味ありげに笑う。

「お金に困ってるの」

「あなたは」

「そんなに困ってるわけじゃないけれど」

「あたしって、家訓で借金できないじゃない」

「借金したいの」

「もし、あたしが借金して人が助かるなら」

「騙されてたんじゃなかったの」

「別に、好きでもないんでしょ」

「そうだよ。好きじゃない」

「なら、いいじゃん」

「でも、仕返しされるかもって。友だちが」

「そいつはバカなの」

「バカじゃないよ」

「それなら大丈夫。友だちがそう言ってた」

「そうなんだ」

「信じるの」

「信じる。信じたい」

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