第9話 「コンフィデンスマンjp プリンセス編」

そういやロマンス編はエンディングを見た時に初めて気が付いた


エンディングテーマがひげ男の「pretender」なのね。


そもそも pretender ってタイトルの割に、あんまり歌詞がそんな感じじゃないなと思ってたんだけど、なるほどコンフィデンスマンのテーマだったのか。

 納得、納得。


 pretend to~で ~のふりをするという記憶だったので、pretenderって要はうそつきとかそういう意味だと思ったんだけど(違うかな、あえてググらない)、ダー子に騙された男っていう風にとらえると、かなりしっくりくる歌詞だよねぇ。

 最終的には「君はきれいだ」といって、自分の心をまとめるしかない。



さてプリンセス編なのだが。


 なんだか、巷の評判はすこぶるいいようだが、俺としては大層不満である。


 見どころは、全然若くてかわいい「ビビアンスー」と思ったより出番のおおい「三浦春馬」位なもので、肝心のダー子がちっともダー子らしくない。

 そもそもダー子を主役に置いていないのである。


 コンフィデンスマンはダー子が活躍して華麗に敵と視聴者を騙す痛快劇なのである。

 しかし、CMで分かるように、なぜか、安い感動を誘おうとしている!?

 いや、一つも泣ける要素ないし、

 そもそもあの準ヒロインみたいな役の女「こっくり」(関水渚)に共感できる要素ゼロな上に、男を騙して金を奪う女が至上となっているコンフィデンスマンの舞台では、あんな純真無垢なキャラクターマジで邪魔だから。

 少なくても俺はコンフィデンスマンに、そういうこと求めてない。


 狡猾な女が強く立ち回るっていうのが楽しいのに。


 結局、この映画では、人の持つ純粋さが一番みたいな結論にもっていこうとして、お涙を誘おうとしている。

 あれで泣くやついないからな。


 ですっかり長澤まさみ演じるダー子は「こっくり」っていうのを見守る、そして信じる役に変わってしまって、途中から主役の座を降りてしまっている。

 そうじゃない、中心に常にダー子がいなきゃいけないと思うわけよ。カメラの中心はダー子であるべき、しかしあろうことか、この映画ではあのぽっと出の若手女優を中心に回ってしまっている。

 ダー子は詐欺という舞台の、脚本であり、監督であり、演出であり、主役であるべきなのだが、今回の作品では、脚本、監督、演出のみを担当して、主役を降りた。


 そこが残念でならない。


 ダー子が詐欺の中心だからこそ、だまされた方も観客もまあしゃーないよなあと納得できる。

 しかし、今回の詐欺の中心は、ぽっと出の何も知らないやつ。

 これは後味が悪い。

 だって、これじゃあ、本当に正当な権利無くだましただけなのだから。


 下手すれば、この詐欺の主役である「こっくり」には下手すればだましているという認識すらないのかもしれない、それこそが今回の詐欺の成功要因でもいあるといえるが、それではやはり、賛同は得られまい。

 

 ダー子は悪いやつだからいいんだ。決して無垢なんかじゃない。

 やってることは詐欺だし、お金も好きだし、自分は地獄に落ちると思っている。

 悪には悪の美学がある。悪の華がある。

 しかし「こっくり」というキャラはあまりにもそこから遠い。


 それをごまかすかのように、最後のシーンでそのフォローを入れるのだが、一瞬「あぁ、そういうことね」ってなるけど、冷静に考えればあのシーンは、純粋キャラが悪を担当するうえでの後味の悪さを、消すためだけの薬味に過ぎないのだと感じた。


 付け加えると今回はいつも以上に結果論であったと思う。

 一応毎回の詐欺でダー子は相手の心理をすべて計算したうえで、仕掛けているのだが(それはあたかも『アカギ』の様なのだが)、今回の作品はこっくりの純粋さ無垢さに、相手が勝手に心を打たれた部分が多く、なんかしっくりこない。

 こっくりのファインプレ―によって好結果が生まれたようになってるが、ビビアンスーらへんの心を動かすのも本来ダー子の狡猾な計算に基づくのがコンフィデンスマンなのじゃないだろうか。ラッキーパンチはいらない。


 ということで、プリンセス編は正直俺は好きじゃないです。

 コンフィデンスマンはそういうことじゃないと思うし、今回のエンディングテーマは完全にミスマッチだと思う。

 なによりたぶんこの関水渚とかっていう女優が俺はたぶん好きじゃない。








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