SCENE INVESTIGATORS(デモ版)
"SCENE INVESTIGATORS"のデモ版をプレイ。
殺人現場を再現した部屋で証拠を集めて事件の真相を推理するゲーム。
気にはなっていたものの、ちゃんと推理ゲームとして成立しているのかが怪しい雰囲気があったので敬遠していた。
デモ版があるのに気づいたので、とりあえずプレイしてみた。
このゲームには便利機能は一切なく、証拠は全部記憶するか、自分でメモるしかない。
また、誘導は一切ない。あれしろ、これしろという指示に従っていたらクリアできるわけではない。
とにかく自分で調べて、メモって、推理して、答えるだけ。
このシステム自体は面白い。ガチの推理ゲーである。
答えがわかったら、パソコンに答えを入力する。
たとえばデモ版だと、こういう質問になっている。
2番の席に座っていたのは誰か?
5番の席に座っていたのは誰か?
クララのいとこは誰か?
誰が被害者か?
誰が殺人犯か?
それぞれ、答えを入力して送信すると、ゲームが終了し、何問合っていたかが表示される。どの設問が合っていたかは教えてくれない。
最悪、総当りすれば正解はわかるが、それだと優雅とは言えないので、できれば自力でそこそこ真相にたどり着きたいところ。
このゲームは一応、証拠から真相にたどり着けるようになっているが、決定的な物証は出てこない。最後の詰めは状況から推測するしかない。そこが少々気に入らないところではある。
デモ版は無料でプレイ可能なので、自分でプレイして解きたい人は、以下の文章は見ないように。
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証拠集め編
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デモ版では、とあるアパートの一室の殺人現場を調べることになるが、捜査するプレーヤーはとりあえず何もわからないまま現地入りする。誰の家か、ガイシャの死因、現場に誰がいたか、そんなもんは何もわからん。
とりあえずわかるのは、ディナーパーティー中に3番の席(上座)の人が死んだらしいということ。
テーブルを調べると、席は5つあるが、1番席は皿や食器がセッテングされたままの状態。残り4つは使用されている。
2番席は、ワインが左側に置かれているが、右側にもワイングラスを置いたらしい水跡が付いている。
3番席は、ワインがこぼれている。グラスには口紅が付いている。3番の人は床に倒れて死亡したらしいが、凶器は見当たらない。見た感じ、吐血して死んだっぽい。
こぼれているワインの成分を分析して結果を知らせてくれれば、毒殺かどうか、毒殺なら何が混入されていたかがわかりそうだが、そういうことはこのゲームではできない。
4番席は特別特徴なし。ワインは右側に置かれている。
5番席にはオレンジジュースが置いてある。
玄関先のサイドテーブルには、ゲストの一覧が書かれている。ジェイク、ジェニー、エドウィン。
キッチンテーブルには財布と手帳が置かれている。
財布の持ち主はヘンリー・ギブソン。
中絶クリニックのテイリー・チャールストンの名刺と、弁護士のエドウィン・ブリッグスの名刺が入っている。
手帳の中身は以下の通り。
2月14日。予約。212-445-6264(他の証拠からファンタジー・アムールというレストランの番号とわかる)。
3月13日。リチャードソン医師との予約。
3月27日。同僚と夕食。
4月22日。クララの誕生日。
冷蔵庫に張り紙。
「ハニー。私が買い物に行っている間に準備をお願いね。
いとこはワインが飲めないからオレンジジュースを出しておいて。
エドは左利き」
ソファ近くの引き出しには手紙。
LAに住むヘザー・ブラウンがクララ・ギブソンに宛てたもので、「彼とのことは終わらせて、次のステップに行くべきではないか、あなたは十分耐えた」とある。
また、文面から、ヘザーはクララの母親だということがわかる。
そして「彼」というのはヘンリーのことだと推測できる。同じ「ギブソン」姓なので結婚しているのだろう。
カレンダーにはメモが書かれている。
2月11日。クララLAに行く。
2月17日。クララLAから帰る。
3月13日。医者の予約。
4月22日。クララの誕生日。
クララがLAに行ったというのは、おそらく母親のヘザーのところに里帰りしたのだろう。
テレビの前のテーブルにはプレゼント箱が置かれている。
メッセージカードの内容は以下の通り。
誕生日おめでとう。僕がアルコール依存症のリハビリの時にサポートしてくれてありがとう。
ヘンリーは君のような人と一緒でとても幸運だね。素晴らしい一年になりますように。ジェイク。
ゴミ箱の近くにはレシートがある。
2月14日の午後6時49分から8時20分まで、ファンタジー・アムールというレストランの駐車場を利用していたことがわかる。
ゲスト用のハンガーには女物のバッグがかかっている。
バッグの中には、口紅、香水か化粧品か何か、ニコチンパッチ、ファンタジー・アムールのマッチ。
キッチンのゴミ箱には薬瓶が捨ててある。4月14日に調剤されたもの。
薬の説明書きによると、中身はベンザクリンで、睡眠薬などとして使われるもの。
服用中にアルコールを摂取しないように注意書きがある。特に3杯以上は飲まんほうがいいとある。
実際どの程度ヤバいのかはわからない。吐血して死ぬほどなのだろうか。
証拠は以上。これで5つの質問全部に答えられるらしい。……そうか?
文章だけだと分かりづらいかもしれないが、自信がある人は考えてみて欲しい。以下は解答編。
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解答編
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まず、登場人物を整理しよう。
ヘンリー・ギブソン。このアパートの主で、クララの夫。
クララ・ギブソン。ヘンリーの妻。
エドウィン・ブリッグス。弁護士。左利き。
ジェイク。クララのいとこ。アルコール依存症から克服したらしい。
ジェニー。直接的な情報なし。
席のセッティングは5人分されていたが、1番席は使われていなかったので、1人は遅刻かなんかで来なかったか、そう偽装したか。
オレンジジュースが置かれていた5番席にジェイクが座っていただろうことはほぼ確定。
2番席は左にワインが置かれていたが、水の跡は右にあった。これは、ヘンリーがエドウィンが左利きということを忘れて右にワインを置いちゃっただけとも考えられるし、誰かが2番席にエドウィンが座っていたように偽装したとも考えられる。偽装したなら、それなりの理由があるだろう。
3番席は主役席で、被害者が座っていた。
ワイングラスには口紅が付いていたから、普通に考えればクララかジェニーだと思われる。男が口紅を付けることもありえるが。ヘンリーが女装趣味とか。
ただ、3番席は主役席なので、この日の主役であったであろうクララが座っていた可能性は高い。
登場人物の中では、エドウィンとジェニーがわりと正体不明である。
エドウィンは、弁護士であること、ヘンリーの財布に名刺が入っていること、クララのメモに「エドは左利き」と書かれていることくらいしか情報がない。
ジェニーはもっと情報がないが、ヘンリーの財布の中に中絶クリニックの名刺があったこと、クララが里帰りしている最中の2月14日にヘンリーがレストランに行ったこと、そのレストランのマッチが女物のバッグの中に入っていたこと(かつ、ニコチンパッチから禁煙中と思われるのにマッチが入っていること)からすると、ジェニーはヘンリーの不倫相手らしいことが推測される。
科学捜査班による分析結果があれば、ここまでの証拠だけでも事件は解決するだろうが、そんなもんはないので、あとは状況証拠からの推測になる。
まず、5つ質問の内、ほぼ確定しているのは2つ。
5番の席に座っていたのは誰か? →ジェイク
クララのいとこは誰か? →ジェイク
残り3つは、事件をどう推測するかで変わってくる。
2番の席に座っていたのは誰か?
誰が被害者か?
誰が殺人犯か?
2番に素直にエドウィンが座っていた可能性はゼロとは言えない。ヘンリーがクララのメモのことをすっかり忘れて右に置いちゃっただけの可能性はある。
そうではなく、2番にエドウィンが座っていたように偽装したのだとすれば、やや話は簡単になる。
そうなると、遅刻して来なかった、1番席の人はエドウィンなのだろう。
そして、偽装してメリットがあるのはジェニーになる。なぜかというと、エドウィンが出席していたのなら、遅刻して来なかったのは消去法でジェニーになるから。夫婦はまあ出席しているだろうし、ジェイクの出席は確定なのでね。
ただ、殺されたのがジェニーと推測することも、一応できなくはない。
クララは「買い物に行ってくるから、準備しといてね」とヘンリーに書き残している。この買い物が遅れて、先におっぱじめちゃったということも、まあなくはないだろう。「遅くなるから先にやっといて」と電話したとか。
となると、欠席者はクララで、被害者はジェニーという推測も成り立つが、そうするとジェニーが主役席に座っていたことになる。それは常識的にどうなのか、という疑問はある。
ということで、常識的に考えた場合、2番席はジェニーで、被害者はクララとなる。
となると、殺人犯はヘンリーかジェニーの二択。
これは正直、はっきりと確定はできないんじゃないかと思う。
ヘンリーが中絶クリニックの名刺を持っていたことから、ジェニーと別れてクララとよりを戻したいと考えていたとも考えられる。だったら殺しはしないだろう。となると、消去法でジェニーとなる。
死因が撲殺とか銃殺とかなら、ディナーパーティーの席で不倫がバレで口論の末にヘンリーが殺した、という線もあるが、毒殺ということなら計画的だし、そもそもクララは夫と不倫しとるジェニーをほいほいパーティーに呼んでいたことから、不倫はまだバレてないだろうと推測される。
ただ、ジェニーがワインの位置を変えて2番席を偽装したのだとしたら、少々頭の悪い偽装工作な気はする。
ジェニーがいたことはヘンリーとジェイクによって目撃されているわけだし、そもそもバッグという物証がある。
また、エドウィンに聞き取り調査してアリバイを確定させれば、たぶん遅刻したことはすぐ証明されるだろう。
そもそも、ジェニーは料理に手を付けているのだから、DNA鑑定や指紋鑑定でその場にいたことはすぐバレる。
このしょぼい偽装工作が成立するのは、聞き取りや科学捜査ができないこのゲームの仕様上でのみ。
この辺はトリックがお粗末な気がする。
以上の推理から、正解は以下になる。
5番の席に座っていたのは誰か? →ジェイク
2番の席に座っていたのは誰か? →ジェニー
クララのいとこは誰か? →ジェイク
誰が被害者か? →クララ
誰が殺人犯か? →ジェニー
というわけで、一応証拠から推理して答えは導き出せるが、やや推理が曖昧で、そこまで確固たる推理が成立するわけではないのが、もやもやするところである。
ヘンリーが3月13日にリチャードソン医師に予約を入れているが、これが中絶クリニックの医師かどうかなのかも確定できないのが少々気に入らない。
たぶんそうなのだろうが、名刺にある名前と違うので、確定ではない。
薬瓶の持ち主がジェニーだという確証もない。調剤されたのが4月14日ということだが、この日にヘンリーにアリバイがあるならジェニーで確定するが、そういうのもない。
ヘンリーとジェニーの共犯という可能性もあるはずだが、それを除外できる証拠もない。
あと、ジェニーが被害者で、犯人はヘンリーとクララのいずれか、あるいは両方という可能性も捨てられない。
ヘンリーはクララとよりを戻そうとしたが、別れ話を持ちかけた時にジェニーがゴネたので殺したれという説。
実は、私は最初、これが真相だと思っていた。被害者がジェニーで、犯人はヘンリーか、ヘンリーとクララの共犯。その場にいなかったのは、買い物で遅刻したクララ。2番は普通にエドウィンで、単にヘンリーがワインの置き場所を間違え、最初右に置いてあったのを、左利きのエドウィンが飲んだ後に左に置き直しただけ。
これはこれで推理として成立すると思う。
主役席にジェニーが座っていたという不自然さが問題になるが、それは調査官を騙すための偽装工作だとも考えられる。つまり、被害者がクララであるかのように偽装するための工作。
そんな偽装工作は意味不明だが(死体を調べれば被害者が誰かはわかるに決まってるのだし)、それを言うなら、2番席にエドウィンが座っていたかのようにワインの位置を偽装工作したのだって同類だろう。そんなもん、聞き取り調査や指紋鑑定やDNA鑑定すればすぐバレることだが、ゲームの仕様上、調べられないことを悪用したしょぼトリックである。
これが許されるなら、殺された人物を偽装するトリックだって許されるはずである。
このように推理があいまいになってしまうのは、基本的な情報がないから。誰が殺されたか。死因は何か、など。普通、この手の犯罪捜査では、それくらいは最初からわかっているものなのでね。クララかジェニーかわかりません、なんてことはまずない。
で、このゲームを買うのか、だが、セール中の値段を見てから考えようと思う。
確定的な推理ができないのは不満。
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