Pacific Drive

 Steamにて"Pacific Drive"をプレイ。


"Pacific Drive"はその名の通り、ステーションワゴンに乗って平和で平穏なドライブの旅をするピースフルでハートフルなゲームである。

 ドライブで待ち受けるのは、雷雨、強酸の雨、放射能の嵐、道路のど真ん中に積み上がっている廃車と岩のバリケード、突然隆起する地面、触れると爆発するダミー人形、電気系統を狂わせる謎の発光現象など。

 本作の舞台は時空が歪んでいて、道路は一方通行なので、ガレージに帰る時には放射能の嵐を人為的に呼び起こし、時空の歪を作り出して飛び込むことになる。


 ……つまり、タイトル詐欺である。



 本作について簡単に説明すると、都市伝説オカルト的でローグライクなクラフト&車ゲー。

 訪れる度に状況が変化する道路沿いのエリアを探索して資源を集めてガレージ持ち帰ってクラフトし、車やガレージを強化していく。


 プレイヤーが探索するのは、かつて政府が怪しい実験を行っており、現在は隔離されている、通称「ゾーン」と呼ばれるエリア。

 ここでは時空が不安定になっており、天候が悪い上に様々な怪奇現象が起きる。

 怪奇現象と言っても、ホラー要素はなくオカルト的な演出。変な機械が飛び回っていたり、いきなり地面が隆起したりする。

 プレイヤーは基本的に、敵に対して戦う手段を持たない。回避するか、車に防御対策を施すことで対処する。


 エリアは一方通行となっており、普通には帰ることはできない。帰還するには「アンカー」と呼ばれるエネルギー貯蔵器を回収し、規定の電力を車に蓄え、ワープホールを開く必要がある。


 エリアに長期滞在したり、ワープホールを開くと、放射能の嵐が訪れる。嵐の中、車でワープホールへと突っ込む様は、映画"Back To The Future"を彷彿とさせる演出となっている。



 音声は英語のみで、日本語字幕対応。ただし、運転中に字幕なんか読んでいる暇はない。



 本作は、ターゲットとなるプレイヤーが、かなりはっきりしている。クラフトゲー好きかつ車ゲー好きなら買って損はない。

 どっちも嫌いなら買わない方がいい。片方が好きな場合は判断が難しい。


 オープンワールドのゲームで、クエストよりもガラクタ集めに走り、ゴミを集めてはクラフトばっかりやっている人で、かつ、"Forza Horizon"とか"Need for Speed"などの公道ドライブゲー好きなら、まずハマるだろう。


 このゲームを購入検討する上で一番考慮すべき点は、視点が主観視点のみ、ということ。車の運転中も主観視点のみで、つまりはドライバー視点で運転することになる。

 これは慣れが必要になる。特に車ゲーを背後視点でしかプレイしたことがない人は、この視点はかなりやりづらいはず。

 ここが問題ないなら、本作は遊べると思う。



 このゲームは、買う人は買うだろうし、買わない人は買わないだろうから、ここから先は、買った人向けに、プレイ時に問題になりそうな箇所について言及しておく。



 このゲームでは、設定でゲームシステムの根幹となる部分までいじれるようになっている。


 プレイヤーが歩いた時の視点の揺れをオフにできる。


 本作は夜がめちゃくちゃ暗いが、これも設定で明るくできる。


 クワークの設定も調整できる。

 クワークとは車の異常で、車が怪奇現象に晒されると一定の確率で起きる。

 現実の車だと、ハンドル操作がおかしいなら、タイヤや足回りの故障を疑うところだが、本作では、ワイパーを動かすとタイヤが外れるなど、意味の分からないことが起きる。

 そのために原因特定が難しいのだが、この推理がデフォルトでは8回しか行えない。

 そのため、原因特定できずに修理できないまま、異常ばかりがどんどん溜まっていく事態になりがちだが、これも設定で変更可能。推理回数を無制限にしたり、いっそクワークが起きないようにもできる。


 嵐の設定も変更できる。

 本作では、同じエリアに長時間滞在したり、ワープゾーンを作り出すと放射能の嵐がやってくるが、これも設定でオフにできる。

 ただし、嵐が接近しているときのみ、ランダムで人工衛星みたいなものが落ちてきて、レアなアイテムを多量に取得できるイベントが発生することがあるので、これを狙うなら嵐は来るようにしたほうがいい。


 無敵モードまであるが、さすがにこれをオンにすると実績は解除されなくなる。



 設定で変えられる部分は、本作において賛否両論となりがちな部分ばかり。

 たとえば、夜がめちゃくちゃ暗いのは、明かりの確保が大事になり、戦略性が増すという点では面白い。しかし、暗すぎてなんにも見えないゲームが楽しいのかと言われたら、楽しいとは言えない。

 だったら、プレイヤーの方で選べるようにすればいい、ということである。この判断はいいと思う。

 たいがいのゲームは、「暗いほうがリアルだ」とかいう開発者のエゴで、真っ暗画面を押し付けがち。しかし、こういうエゴはプレイヤーに嫌われることが多い。プレイヤー側に選択権を与えるのはいいことだと思う。


 というわけで、このゲームで何かムカつくことがあったら、とりあえず設定でその箇所を変更できないか確認してみるといいだろう。


 なお、私は、クワークだけオフにした。

 クワークは本当に意味がわからない。ワイパーが左に行ったらバッテリーの残量が減るとか、あまりに原因特定できない問題が起きすぎる。

 私は一時期、ちっともクワークの原因特定ができなくて、4つ重なったことがあった。こうなるとますます何がなんだかわからなくなる。


 また、エリア走行中に致命的なクワークが起きると、帰還もままならなくなることがある。たとえば、ハンドルを左に切るとタイヤが外れるとか。

 クワークはガレージでしか修理できないので、そうなると帰還すら危うくなる。これはゲームとしてフェアとは言えないと思う。せめて応急処置ができるならいいのだが。

 というわけで、私はクワークが発生しない設定でプレイした。



■ゲーム中の説明が不十分で、わかりにくい仕様について


 研究に必要で、わかりにくいアノマリーについて。

「リグリングレッグ」は、道路のど真ん中に廃車の塊みたいなのがあって、近づくと電撃系の罠を仕掛けてくるやつのこと。

「ゲップフジツボ」は沼地にいる、酸の塊を吐いてくるやつ。空にワープゲートっぽい、黄色い光の帯が見えたら、その光の下にいるのがそいつ。


 なお、ゲームクリアのためにスキャンする必要は全くないが、序盤のエリアでいつまでたっても「認識不可」のまま残りがちなUFOマークのアノマリーは「ハニーポット」という車。

 一見ただの乗り捨てられた車と同じで、他の乗り捨てられた車と見分けが付かないが、近づくとフレアをバラ撒いて、アノマリーを呼び寄せる。

 レアアノマリーらしく、なかなか登場しない。



 車のトランクの中身は、トランクを破壊しても取り出せるが、そうすると中身の一部が壊れてなくなってしまう。バールで開けた方がいい。



 車の各パーツの耐性は、そのパーツ+隣接するパーツの合計値となる。

 たとえばボンネットは、ボンネット自身に加え、バンパー、左右フロントパネルの耐性がつく。



 各パーツには寿命がある。寿命はマスクデータとなっており、見た目ではわからないが、長く使っていると、すぐ故障したりするようになってくる。

 さらに使い続けるとXマークが表示されるが、Xが付く前でも、頻繁に不具合を起こすようなら交換したほうがいい。


 この兆候は、特にダメージを受けたわけでもないのに故障が発生することでわかる。特にタイヤは、駐車しただけでパンクすることがあるが、こうなったら、いくら直してもまたすぐにパンクするようになるので、早めに交換したほうがいい。


 このことから、各パーツにはあまり高コスト品を使わない方がいい。なるべく量産できるパーツを使い、こまめに新品と交換したほうが安定したドライブができる。


 エンジンも、実は初期型のキャブ付きエンジンで最後までいける。無理して高級品を積まなくていい。むしろ初期型は燃費が良くて取り扱いが楽なくらいだったりする。レースゲームじゃないからスピードは必要ない。

 このゲームには重量という概念がないので、車に重装備を施しても、それに見合ったパワーのエンジンを用意する必要はない。エンジンはあくまで加速と最高速性能が上がるだけ。



 アンカーをARCにセットする際、ゲーム中ではRTボタン(アイテムの使用)と表示されるが、実際はYボタン(取り外し)を押さないと設置できない。



 序盤で「ラジオ局のアンテナからアイテムを取る」というイベントがあるが、たまにアンテナが建っていない時がある。

 この場合、一旦ゲームを終了して再開するといい。



 終盤で大規模な爆発に車が巻き込まれると、たまにハンドル操作がほとんど効かなくなる。ほぼ曲がれないというエグい事態に。

 これはクワークでも仕様でもなく、バグのようである。


 こうなった場合、一旦ゲームを終了して、エリア開始時に戻るか、設定で「死んでもアイテムを落とさない」に変えて自殺してガレージに戻るくらいしか手がない。



 ゲームクリア後、さらに奥のエリアに侵入しようとすると、イベント用のエリアが出現し、先に進めなくなる不具合があった。先に進めないし戻れもしないので、この場合も「死んでもアイテムを落とさない」にして自殺するくらいしか手がない。

 これは、出発前にエリアの名称を見ると確認できる。ディープゾーンのエリア名に「泉」とあったら行かない方がいい(未クリア時にイベントとして「泉」に行くのは正常なプレイなので、その場合は問題ない)。

([追記]この問題はアップデートで潰されたとアナウンスされている。だからもう大丈夫だとは思うが、一応チェックしたほうがいいと思う)



 資源を漁っていると日記やメモを拾うことがあるが、これをコンプリートするのはかなり大変。「フリークエンシー・ファイル」だけは、どこで拾えるかが表示されるので簡単にコンプリートできるが、レア度が高いのか、あるいは特定の場所にしか出現しないようになっているのか、一部のログは本当にいくら探してもなかなか見つからない。私も一部、まだ見つけられていないものがある。


 なお、内容はどれも大したことは書かれておらず、読み物として別にそこまで面白いわけではないので、血眼になって探すほどのものではないと思う。


([追記]ほとんどの記録を集めることができたが、その傾向からすると、どうやらメモは、特定の場所から確率でドロップするようである。

 たとえば「郵便係」は気送管からドロップする。

「シングレー&ファミリー」は全種類集めきれていないのではっきりとは言えないが、おそらくS&Fのトラックからのみドロップ。かなりドロップ率は低い。


 ARDAの研究施設でドロップするメモは確率が高いのか、比較的集まりやすいが、ガソリンスタンドや事務所、民家、農場などでドロップするメモはドロップ率低めで、何周してもなかなか集まらない。「トバイアス・バーロウの詩集」「あなたのゾーン・モーターズ」「勤務外」などがこれに当てはまる。

 そして、こうした妙にレア度の高い記録ほど、大したことが書かれていない。



■実績絡みの攻略情報


「科学的探求」は、嵐接近中(ワープゲートを開いた後)に、新しいアノマリーをスキャンすることで解除される。

 終盤まで解除しなかった場合、スキャンできるアノマリーがなくなってしまうので、その場合は、この実績を取るためだけに、新しいデータで1時間ばかりプレイしなければならなくなる。

 早めに取っておいたほうがいい。


「ガス欠マラソン」は、燃料警告灯が付いた状態で走行を開始し、ワープゲートでガレージに戻るまでそれを維持すればいい。途中で死んだり、警告灯が消えるまでガソリンを入れたらダメ。

 燃料警告灯は満タンからの割合で20%以下になると表示されるようである。というわけで、ガソリンタンクの容量を増やせば、入れられるガソリンの量を増やすことができる。


「駐車禁止」は、エンジンを切らず、シフトをドライブに入れたまま、3箇所以上のジャンクションを通過してワープゲートを通過してガレージに戻ると解除される。

 車から出るのはOK。というか、それがダメだとアンカーが取れないし、スタビも起動できなくて詰む。


「飛び乗り注意」は、なんとかバニー(ラビット)という、鉄の塊みたいなやつがいるが、あれを車にくっつけたまま、しばらく走ると解除される。

 ただ、私の場合、ポーズ中に解除された。

 距離ではなく、時間で計算されていて、しかもポーズ中でもそのタイマーは作動しているらしい。

 バニーの中には、くっついていても害のないものや、パーツを修理してくれるものがいる。それらをくっつけるのがいい。

 結構長いことくっつけておく必要がある。私はエリア内を2周しても解除されなかった。で、「具体的に何マイル走る必要があるの?」と思い、一時停止してネットで調べていたら解除された。

 なお、いくら調べても、現段階では具体的な解除条件は不明だった。


「心頭滅却」は意外と難しい。電撃系のアノマリーと酸系のアノマリーが両方いる場所でしか解除できない。焦土には両方いることがある。出発前にガレージのマップで確認すること。

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