Infinifactory

 EPIC Gamesにて期間限定で無料配信していた"Infinifactory"をプレイ。


 宇宙人にさらわれて、強制的にオートメーション工場の建設労働に従事させられるゲーム。


 本作の開発元であるZachtronicsは、この手のゲームを多く手掛けれている。Zachtronicsのゲームをプレイしたことがある人なら、おなじみの内容といえる。


 私は"Opus Magnum"をプレイしたことがある。錬金術オートメーション工場を組み立てるゲーム。元素と元素をくっつけて、分子構造図みたいなものを作って納品するゲーム。

 たとえばだが、水元素を2つくっつけて酸素を作って納品するとか、そんな感じ。

 自分で組んだ機械がガチャガチャ動いて製品を作っていく様を見るのが非常に楽しいゲームである。



 本作は主観視点の3Dタイプのゲームとなっており、プレイヤーはベルトコンベアやプッシャー、センサーなどのブロックを配置することで、資材を運び、組み立てて納品できるようなオートメーション工場を建設する。

 各納品所に10個完成品を納品したらクリア。



 クリアすると、クリアするのにかかった手数、工場の敷地体積、使用ブロック数が表示され、他のプレイヤーと比較がグラフで示される。

 これらの成績はクリア条件とは全く関係ない。どんなに非効率的な工場を建設しても、とにかく品物を納品しさえすればクリアになる。

 しかし、こうして比較されると、なんとなく他のプレイヤーと競いたくなるものである。



 本作には日本語訳がなく、英語のみ対応となっている。

 英語が読めなくてもプレイに支障はないが、フィールドには同じく宇宙人にさらわれて廃棄された人間のログが点在しており、その音声は、英語、中国語、犬語となっている。これらも訳されていないので、各言語がわからない人には何を言っているのかわからない。わからなくても別に構わないわけだが。



 Zachtronicsのゲームでは、プッシャーなどのギミックを、プログラミングで制御できるものが多い。たとえば、センサーに3回反応があるごとにプッシャーを動かすとか、60秒こどに起動するとか、そうした高度な制御ができるゲームが多い。

 しかし本作では、そうしたことは一切できない。プッシャーはセンサーがONの時に起動し、OFF時には収納される。それだけ。カウントもタイマーもない。


 システムがシンプルなので、こういうゲームに慣れていないプレイヤーでも遊びやすい、というメリットはあるだろう。

 だがそれは、カウンターやタイマーがあれば簡単にできることが、本作ではできない、ということでもある。


 たとえば、資材を3つと2つに分けたいとする。カウンターやタイマーがあれば、これは簡単。

 4つめと5つめの資材が通過するときだけプッシャーを起動し、5つカウントしたら0にリセットするようにプログラムを組めばいい。


 しかし本作では、それはできない。原始的なシステムを組むことになる。


 カウンターやタイマーがあれば簡単にできることが本作ではできない。とにかくセンサーのON、OFFだけで全てを管理する必要あがある。そのため、本来ならめちゃくちゃ簡単に組めるはずの製品を、非常な手間をかけて生産しなければならなかったりする。


 あと、資材を90度回転させるロータリーがあるのだが、これが超絶に使い勝手が悪い。隣にロータリーの隣にオブジェクトがあったら回転しないし、回転させた後に自動で押し出す仕組みもない。

 このロータリーのお粗末さは、プレイしていない人にはわかってもらえないかもしれない。しかし、プレイした人なら必ず、このロータリーのお粗末さにため息が出るだろう。


 宇宙人が地球人を拉致るのは、案外その辺に理由があるのかもしれない。彼らの文明は一見高度そうだが、頭が悪い、知能が残念、馬鹿、阿呆など、何らかの理由で自動制御装置のロジックを組めないのかもしれない。

 それで、賢い地球人様を拉致って働かせる必要があるのかもしれない。


 ともかく、宇宙人のお粗末システムで、なんとかまともに稼働する工場を建設するのがプレイヤーの使命である。



 難度は、宇宙人のシステムがお粗末なせいで無駄に手数がかかることが度々あり、面倒くさいが、クリアそのものは、そこまで難しくない。面倒なだけ。プレイしていたら絶対タイマーやカウンターが欲しくなる。それだけ。


 ただ、最終エリアの最後の1問はエグい。このお粗末システムで、木を切り出して葉っぱだけを抽出し、それを燃料にして製品にエネルギーをチャージする必要があり、無駄に複雑な工程の製品を作らされることになる。見ただけでやる気を無くすこと必至。


 それ以外は、そこまでめちゃくちゃ面倒くさいものはない。



 総評は、システムがシンプルな分、Zachtronicsの工場組立ゲー初心者にはいいゲームかもしれない。

 ただ、このゲームをプレイしていたら、やがて必ず、もっと高度な自動制御システムを組みたくなってくると思う。


 その場合は"Opus Magnum"をおすすめする。本作よりも複雑で難しいが、宇宙人のお粗末工場とは段違いの高度なシステムを組むことができる。プレイ満足度も高い。

 あと、"Opus Magnum"は2Dゲームなので、本作のようにZ軸の視点制御で悩まされることがない。



 ……なお、本編をクリアすると、クリア後のおまけとして追加ステージが開放されるが、この追加ステージでは、本編には登場しなかった新しいパーツを使用することができる。その中にはカウンターもある。

 ただし、追加ステージで手に入れたパーツは、本編のステージでは使用できない。

 つまり結局、本編ステージでカウンターが使えないことには変わりない。

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