Gordian Rooms 2

[更新 2024.01.25]

 間が悪いと言うかなんというか。このゲームの問題点について指摘した記事を投稿した直後にアップデートが入り、私が特に問題視していた2大問題が解決された。

 そのため、この記事の全面書き直しが必要になってしまった。……まあ、悪いところが直ったのだから、喜ばしいことではある。



 初期版の問題は主に2つ。


 ひとつは、動かせるオブジェクトがわかりにくいこと。

 動かせるオブジェクトは見た目は動かせないものと全く同じで、近づいて視点を合わせると、インタラクティブアイコンが表示されてそれと判明する。


 しかし、なにしろ動かせないオブジェクトと同じ見た目なので、そもそもそれに視点を合わせようと思わない、という問題があった。


 特に最序盤の砂浜にある黄色い石が問題で、この時点でプレイヤーは、物が動かせることを知らない。

 で、たいがいの人は怪しい黄色い石に視点を合わせてしまう。まさか、その周辺の石が動かせるなんて思わないから、そんなところに視点を合わせないのである。


 しかし、今回のアップデートで、視点を合わせなくてもアイコンが表示されるようになった。つまり、黄色い石に視点を合わせていても、周辺の石にアイコンが表示されるから、それが動かせるとわかるようになったわけである。



 もうひとつは、探しものが極悪なこと。

 探しものの多くはノーヒントで、広大な島のどこかにあるとしかわからない。小学校の敷地内のどこかにコインがあります、ノーヒントで探して下さい、と言われているようなもの。


 それだけでもエグいが、その隠し場所がまた極悪で、玄関の階段の裏とか、中庭の外灯にめっちゃわかりにくく引っ掛けてあったりとかする。

「玄関の何処かにあります」「中庭の何処かにあります」までわかっているなら、そいういう隠し方をしてもいいだろう。しかし、ノーヒントでこの隠し方は理不尽すぎる。


 しかし今回のアップデートでこの問題は根本的に解決された。探知ボタンが追加され、それを押すと、周辺にあるアイテムの位置がアイコンで表示されるようになった。

 これならどんな隠し方をしていても一発でわかるし、逆に、周辺にアイテムがなかったら、それもわかる。

 今までのように、もう何もない部屋を何時間も血眼になって探したりしなくて良くなったわけである。


 実のところ、アイテムの位置をそのものズバリ指し示すのではなく、近くに物があったら音が鳴って、それで方角がわかるとか、その程度のヒントでも良かった気がするが、まあ、その辺はどうでもいい。とにかく、どこにあるかもわからない探しもので何十時間も悩まされなくなっただけでも大進歩である。


 このヌルさを良しとしない人は、ぜひこの機能を使わずプレイして欲しい。初期バージョンをプレイした私達と同じ地獄を存分に堪能できる。




 前作の"Gordian Rooms 1"は、叔父の遺産を相続した主人公が、叔父の館に仕掛けられたパズルを解いて財産を手に入れる、というストーリーの、ポイントクリック式、ステージクリア型のパズルゲームだった。


 これはなかなか面白かったが、ヒントが不十分なせいで総当りしないと解けないパズルがあるのが不満だった。


 また、パズルよりも探しもので苦労するゲームだった。

 パズルを解くために、まずパズルピースを揃える必要があり、そのピースが嫌らしいところに隠してあった。

 で、さんざん苦労してピースを集めると、パズルそのものは解くのが簡単だったりした。

 パズルゲーというよりは、探しものゲーの要素が強い印象があった。


 というわけで、前作は楽しめはしたものの、続編を買うとなると一抹の不安が残るデキでもあった。

 その不安は的中したわけだが。



 そして本作、"Gordian Rooms 2"は、叔父が関わっていた謎の秘密組織に主人公も加入することになり、その試験を受けるために、とある島を訪れることになる、という内容になっている。


 今作は、島の中を自由に移動可能になっている。島は結構広大で、あらゆる場所にパズルが散らばっている。


 それはいいのだが、やはりというかなんというか、パズルを解くためには、まず、パズルピースを集めるところから始めなければならない。そして、このパズルピースの隠し方が、前作よりも格段に嫌らしさがアップしている。


 今では探知ポタンが追加されたおかげで、だいぶプレイしやすくなっているが、初期版の嫌らしさを体験したい人は、ぜひ探知ボタンを使わずプレイして欲しい。

 たぶん、浜辺で貝殻が見つからずにいきなり詰みかけ、さらにスタジオで絵のピースが見つからずに詰みかけ、そして、でっかい電話機のピースが見つからなくて詰みかけるだろう。


 そして、実はこのエリアにこっそり隠されているスケッチカードやワイン、仮面、蹄鉄を見落とし、後で「ああん? ワインの最後の一本ってどこにあるの?」と、見当違いなところを探して10時間ほど時間を無駄にしたあげく、ようやく見つけて「なんでこんなところにワインがあるねん! アホか!」と叫ぶことになるだろう。それはもう、とっても楽しい体験である。



 パズルに関しては、そのほとんどは簡単。探しものさえ終われば、解くこと自体はちょっと考えるだけで済むものが多い。中にはほどほどに難しくて、解くのが面白いパズルもある。


 ただ、一方で、ヒントが不十分で総当りしないと解けないやつや、ヒントがそもそも間違っているものもある。


 特に、チェスパズルの2問目は、正解がわかっても、なぜそれが正解になるのか、理解できなかった。


 このパズルでは、普通のチェスのルールに特殊ルールが5つ追加されている。

 そのルールに従って、白の駒が移動可能な場所をすべて答えろ、という問題なのだが、その正解はなぜか、特殊ルールの内のいくつかを無視したものになっている。


 私は可能性を総当たりしていてたまたま解けたが、この正解には全く納得していない。どうルールを読んでもこの答えになるはずがない。


 日本語訳が間違っているのかと思って英文でも確認したが、訳は間違っていなかった。つまり、問題文か答えのどちらかが間違っているわけである。


 なお、このパズルの正解は、公式がSteemの掲示板にて公開している。どうしてもわからなかったら、それを見てもいいと思う。なにしろこの問題はヒントが悪い。



 一方、このゲームならではのいい点もある。それは、珍しく紙と鉛筆が必要なパズルゲーム、ということ。

 図や情報を全部暗記できる人なら必要ないだろうが、普通はノートにヒントをメモりながらパズルを解くことになるだろう。これは結構楽しい。



 とにかくこのゲームは、極悪探しもののせいでパズルに集中できないことが一番の問題だったが、それは解消されたので、だいぶ良くなった。


 ただ、極悪探しものがスルーできるようになると、本作のプレイボリュームは6時間程度になるのではないかと思う。となると、価格のわりにはボリュームが……ということになるかもしれない。


 しかし、どこにあるかもわからないものを20時間も30時間も探し続けるのが楽しいかと言われると、別に楽しくはなかったので(私のクリアタイムは42時間だったが、この時間のほとんどは探しもの)、このアップデートは絶対にやるべきだったし、やってくれてよかったと思う。

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