DEATHLOOP

 Amazon Prime会員特典で配布された"DEATHLOOP"をプレイ。


 本作は"Dishonored"を開発したArkane LyonによるFPS暗殺ゲーム。

 24時間経過すると時間が巻き戻ってしまう島で、その時間ループを断ち切るために8人を暗殺する、という内容。



 ゲーム序盤は長めのチュートリアルステージとなっていて、指示に従って進めることになる。

 ある程度進めるとチュートリアルが終わって、自由に行動可能になる。


 本作には4つの場所と4つの時間帯がある。そして、1つの時間帯には1つの場所しか行けない。たとえば、朝に研究所に行くと、研究所にいる間は時間経過しないが、研究所を離れると時間経過して昼になる。

 つまり、1日に4回行動可能、ということ。4回行動を終えるとタイムリープして朝に戻る。


 各場所は時間帯によって様子が変わり、朝に入れた場所が昼には閉鎖されていたりする。

 また、朝に特定の行動を取ることで、昼に起きるはずだったイベントが起きなくなったり、逆に今まで起きなかったイベントが起きるようになったりする。


 プレイヤーは各時間帯、各場所の情報を収集して、いつ、何をすれば、都合のいいことが起きるようになるかを調べていくことになる。

 そうやって、入れなかった場所に入ったりして、さらに情報を集められるようになる。


 一見難しそうだが、何をやればいいかはリストで表示されるので、プレイヤーはそれに従えばいいだけだったりする。自分で考える必要はあんまりない。



 システム周りはハック&スラッシュと"Dishonored"を組み合わせたようなもの。

 プレイヤーは銃器3種類と特殊能力3種類(内1つは固定)を装備できる。


 銃は特定の場所に落ちている他、敵からもドロップする。レア度が設定されており、高レアほど強い。


 特殊能力は、暗殺対象であるヴィジョナリーと呼ばれる人物が持っており、暗殺すると入手できる。瞬間移動や透明化など、"Dishonored"の超常能力といろいろ似ている。


 銃・特殊能力・キャラクターは強化パーツ(トリンケット)を付けて強化ができる。トリンケットも銃と同じく、特定の場所で入手できる他、敵からランダムドロップしたりする。


 これらは1日が終了すると全て失われ、初期化する……のだが、チュートリアルをクリアすると、レジドゥムと呼ばれるパワーを銃などに注入することにより、次の日に持ち越しが可能になる。


 レジドゥムを注入したアイテムは、フィールドに落として置いてきても、次の日には手元に戻る。

 ただし、アイテムをレジドゥムに変換した場合は戻ってこなくなる。



 本作では、"DARKSOULS"っぽい侵入システムがあり、本作をクリアしたプレイヤーが、他のプレイヤーのゲームに侵入することができるようになっている。

 このシステムは任意でオフにできるが、オフにした場合はCPUから侵入を受ける。対人戦をしたい場合は別だが、オフを推奨。



 タイムループする中で情報を集めて8人の暗殺を行う、というのは一見面白そうだが、その実、やっていることはゲーム中に表示される指示に従って進めるだけで、意外と頭を使わない。

 むしろプレイヤーが推理力を働かせる余地がないと言ってもいい。意外と攻略手順に自由がなく、ゲームが定めた通りに進めないとクリアできないようになっている。推理ゲームとしては非常につまらない。


 しかも、情報収集の効率が結構悪くて、2つのイベントを同時進行させたりがしづらくなっている。

 序盤はやるべきことが多いのでマルチタスクも可能だが、後半になると複雑な手順が決まっているイベントが多くなってきて、1日1イベントしか進められなかったりする。それも、昼に「朝から準備を進めないと話が進まない」ことが判明したりとかする。で、仕方なく1日スルーして無駄に潰すことになる。後半に行けば行くほど、楽しさよりも面倒くささが目立ってくる。


 一方、自分で考えようとすると、膨大なテキストに目を通す必要があり、これはこれで結構大変だったりする。最初は「これ、全部読まなあかんの?」と卒倒しそうになりながら頑張って読んでいたのだが、そのうち、実は読まなくても指示に従えばいいだけだと気付き、努力がまるで無駄だったことを知って卒倒しそうになった。



 メインクエストが、延々と指示に従ってダラダラと情報を集めるだけの単調な感じになっているのに対し、サブクエストに関しては、結構ノーヒントでプレイヤーに考えさせたり、シビアな操作を要求させたりするものが多い。

 ただ、ゲームバランスがめちゃくちゃで、サブクエストはやる気が起きないくらい難しいものが多かったりする。そして、苦労する割に見返りが少なく、やるだけ損な雰囲気が。



 戦闘に関しては、意外と簡単。暗殺ゲーということで、なんとなくノーアラートで進めないとダメそうな雰囲気が漂っているが、本当にノーアラートを目指さなければならない状況は2回くらいしかなく、たいがいの局面では普通に撃ち合っても問題ない。

 プレイヤーの体力は低めに設定されているため、多勢を相手にするとさすがに厳しくなるが、特殊能力を駆使すれば、結構なんとかなるようになっている。


 一方、ガチでノーアラートを目指さなければならない局面では、かなりシビアなステルスを要求されることになる。

 もともとが適当に撃ち合ってもクリアできる設計ということもあって、真面目にステルスしようとすると、結構見つかりやすい。

 特に、変なタイミングで敵プレイヤー(CPU)の侵入を受けることもあり、そうなるとステルスなんかやってられなくなり、台無しになる。



 メインクエストでは、最低一回は、とある建物でノーアラートを目指さなければならない。発見されると自爆ボタンを押されて爆発に巻き込まれて死ぬ。

 全体的にヌルい本作において、ここだけやたらと難しい。どうもバランスが狂っている感じのするゲームである。極端に簡単か、極端に難しいかしかない感じ。ちょうどいいバランスというものが本作にはない。



 総評は、コンセプトは面白いが、ちゃんと消化しきれていないゲーム、といった感じ。

 "Dishonored"の方が、侵入経路にしても、暗殺方法にしても、プレイヤーが自分で考えて行動する余地が広くて面白かった気がする。

 本作は、めっちゃくちゃテキストを読ますわりには、プレイヤーが自分で考えて選択できる余地が少ない。

 プレイヤーが考えて「そうか、こうすればいいんだ!」と発見する感じではなく、とにかく指示に従って進めるだけになりがちで、そこがつまらなく感じるところだった。


 一方、ノーキルノーアラート前提のゲームデザインではなく、適当に撃ちまくることを前提にした、緩い感じのステルス暗殺ゲーという戦闘周りのコンセプトは面白くて良いと思う。ノーキルノーアラートステルスゲーもそれはそれで緊張感があっていいが、せっかくいろんな銃とか特殊能力とかを登場させるなら、それをバンバン使って戦える方が面白い、というのもある。



 以下、ちょっとだけネタバレありで内容に関して。



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 上にも書いた通り、本作は基本的に難度が低いが、一部、やたらと難しいクエストがある。


 ひとつは、メインクエストのフィア関連。フィアは自爆癖があるらしく、発見されるとすぐ自爆する。おかげでノーアラートキルを目指さなければならないが、フィアの居城は妙にノーアラートで侵入しにくい。

 特に、フィアの部屋の近くにいる警備がすんごく邪魔。割れないガラス越しにいて狙撃できない上に、すぐこっちを発見して叫んで、フィアが自爆ボタンを押す羽目に。これで何度やり直したかわからない。


 一応自爆は解除できるらしいが、未だにどうやったら解除できるかわからない。解除方法は作業室に書かれていたが、肝心の配線がどこにあるか知らない。

 知っていたとしても、あの敵がわらわら襲ってくる中、あの短時間でそれを切り抜けて解除するのは事実上不可能だと思う。何を考えてあそこだけあんなに激ムズにしたのだろう。いっそ、解除方法がない方が、プレイヤーに「起動されても解除すればいいんだな」とか余計なことを考えさせなくていい気がする。事実上無理な解決方法を提示するのは罠でしかない。


 しかし、なんでフィアだけあんなに極端にムズいのだろう。他はみんな楽なのに。

 他のヴィジョナリーで一番倒すのが難しいのはアレクシスだろうが、彼ですらイベントで絶対本人を特定しないとメインクエストが進まないという面倒さを除けば、正面突破して全員殺してもなんとかなったりする。

 このメーカーのゲームバランス感覚は狂ってるんじゃないのかと思う。



 サブクエスト総じて無意味に難しい。簡単なほうに属する占いの館の8択問題ですら、全部自分で調べてメモっておかないといけない。あの膨大なテキスト群から、必要なテキストを見つけて探すのは非常に面倒。

 そのうえ、ひとつだけヒントがない。この島で一番の芸術品は何か? とかいうのがノーヒント。まあ、このクソゲーを開発した本人の正確を知っていれば、自画自賛したいのだろうということは推測が付くわけだが、それがわかるには、結構ちゃんとプレイしないといけない。


 時間制限のあるやつは総じてクソい。爆発する箱とか、毒ガス部屋とか。毒ガス部屋は解除方法は紙に書かれているが、肝心のレバーがわからず相当探した。たまたま毒ガスを吸っても死なないパークを付けていたからじっくり探せたが、パークなしであの制限時間内に探し当てるのは無理だったと思う。


 ロボットを組み立てるのとかもめちゃくちゃ面倒。頭が時間・場所限定だったり、クランクを他所で調達して配達したり。やり方がわかるまでが大変だし、わかっても複数の時間・場所にまたがってこなさなければならず、非常に面倒くさい。


 なんでメインクエストはあんなにヌルいのに、サブクエストだけ激辛でノーヒントなのか。しかも報酬がだいたいクソという。クソゲーな上に報酬がイマイチじゃ、やる気が起きない。



 戦闘のゲームバランスも結構めちゃくちゃで、強いスラブが強すぎる気がする。特にエーテルとフーガはやばすぎる。エーテルは強化すると、動かなかったらパワーを使わない上、攻撃しても解除されなくなる。ステルスで狙撃し放題に。

 フーガは敵を無力化できる上に同士討ちさせたりも。

 シフトやネクサスがどうしても必要なときもあるが、特に条件がなければエーテルとフーガでだいたいいける。


 武器は、サプレッサー付きのサブマシンガンがやたらと優秀。これで狙撃もできるので、狙撃銃の意味がほとんどない。あとは高火力のショットガンでもあれば、ヴィジョナリーと接近戦になった時も安心。フーガで戦闘不能にしてショットガンを撃ちまくり。これでだいたい勝てる。



 コルトとジュリアナが実は親子というのはわかったが、なんでコルトがループを止めたがっているのか、そして何度も失敗しているのかについては、正直よくわからなかった。そもそも、島の人達がループしたがっている理由もよくわからないが。前の周回の記憶を保持できないなら、いくらループしたって無意味だと思うのだが。

 あのテキストをちゃんと読みまくれば、納得できる説明があったのだろうか。

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