ARMORED CORE VI

 久々に発売した『アーマード・コア』のナンバリングタイトル。Steam版でプレイ。

 ロボットを組んで操縦して戦うロボゲー。荒み切った世界でロボパイロット傭兵として戦い抜く。


 前作ではオンラインでの協力プレイが可能だったが、本作では対戦のみとなっている。対戦も、前作のようにマスゲームみたいな要素はなく、シンプルにアリーナで戦って勝敗を決めるだけ。



 このシリーズはナンバリングごとに若干仕様が変わるが、今作において大きく異なるのは、ブレードやグレネードなど、強力な武器に長いクールダウンが入るようになり、連発できなくなったこと。今までのようにブレードで斬りまくったりできないので注意。


 また、"SEKIRO"から衝撃ダメージのシステムが輸入されている。武器には衝撃ダメージが設定されており、衝撃ダメージが蓄積することでスタン状態になる。これを本作ではスタッガーという。

 スタッガー状態になると大きな隙ができ、その間に攻撃を受けると直撃扱いとなり、ダメージが大きくなる。直撃時のダメージアップ率は各武器ごとに設定されている。

 本作ではいかに敵をスタッガー状態にし、スタッガー中に強力な攻撃を当てるかが重要になっている。一方で強力な武器には長いクールダウンがあるため、相手のスタッガーに合わせたクールダウン管理が必要になる。

 あと、このスタッガーの仕様に合わせてか、無誘導のロケット武器はなくなっている。


 その他、ラジエーターが削られていたり、武器やパーツの数も絞られていて、今までのシリーズと比べると全体にシェイプアップした感じになっている。なぜか近接武器だけはやたらと種類が豊富なのだが。



 このゲームの最大の問題にして最大の障害は、最初のミッションが難しすぎること。

 本作の伝統として、ケームを開始すると、まずはチュートリアルも兼ねて、いきなりACに乗って戦闘させられる。そしてクリアすると「今この瞬間から君はレイヴンだ」とか言われる。


 いつもならこの最初のミッションは簡単なのに、今作はめちゃくちゃ難しい。

「これでチュートリアルミッションなら、本編はどれだけムズいんだ」と絶望する人もあるかもしれないが、そこは安心して欲しい。実はこのミッションは相対的に今作で一番難しかったりする。


 バージョンアップの際に調整が入り、これでもだいぶマシになっているのだが(初期アサルトの火力がかなり上がった)、それでも未だに強烈な初心者狩りミッションであることに変わりはない。しかも、これをクリアしないとテストモードで操作練習すらできない。ひどい。


 私はこのシリーズを初代からほぼ全部プレイしてクリアしている歴戦のレイヴンでありリンクスでありイレギュラーだが、それでも初期バージョンのヘリには20回くらいやられた。なので、あれに負けまくって絶望している人はご安心を。あれに負けるのはヘタクソだからではないし、この先これより難しいミッションがどんどんと出てくるわけでもない。最初にピークを持ってくるフロムがおかしいだけである。


 ヘリに勝てない人は、まず、キーコンフィグを見直すといいだろう。TYPE-Bを試してみると、もしかしたらやりやすくなるかもしれない。

 初期設定のTYPE-Aの方がやりやすい場合でも、少なくともアサルトブーストの配置だけは変えたほうがいい。初期だとLスティック押し込みになっているが、これだと戦闘中に暴発しやすい。

 私のおすすめは、スキャンとキー配置を交換すること。スキャンは最も戦闘中に暴発してもリスクがない。ブーストにする手もあるが、それだとクイックブーストを解禁した際に、クイックブーストが暴発する可能性が出てくる。


 ヘリは必ず斜め左方向から登場し、登場後しばらくは隙があるので、残骸ACにアクセスしたら、すぐヘリの登場ポジションに移動。そしてロック可能になると同時に攻撃を開始しつつ、飛んでヘリにブレードを当てる。

 その後は極力ヘリの真下や側面に張り付くようにして戦うと楽。


 離れてしまった場合は、できるだけヘリの正面に立たないこと。遮蔽物を利用して隙を伺い、こっちに飛んできた時にヘリの下や側面に入る。

 危険なポジションで攻撃を優先するのは得策とは言えない。撃ち合って勝てる相手ではない。まずは懐に飛び込む隙を伺う。


 側面や下の安全なポジションに付けたら、ライフルやミサイルを撃ち込み、敵をスタッガーにする。

 ライフルやミサイルの火力は低いが、当て続けることでヘリをスタッガーにできる。このときにアサルトブーストで急接近するなりしてブレードを当て、時間の許す限りアサルトやミサイルも当てる。


 なお、スタッガーでなくても、首尾よくヘリに近づけたらブレードを当てるといい。アサルトやミサイルではほとんどダメージが通らないが、ブレードはよく効く。


 いきなり最難関クラスのミッションをやらせて、クリアしないと練習すらできないという、何を考えているのかわからんアホなゲームだが、そこさえ乗り切れば、以後は普通に『アーマード・コア』シリーズとして遊べる。



 通常、このシリーズは、最初は気ままな無所属傭兵として、ストライキ中の労働者を殲滅するなどのエグいミッションをこなす。そして中盤あたりから世界が破滅しそうになり、それに関係するミッションが増えていく。

 しかし今作では、あまりスト中の労働者を殲滅するタイプの細々としたミッションはなく、ほぼストーリーに関係したミッションで構成されている。たいがいのミッションでACやそれに相当する敵が登場し、あまり息抜きミッションがない。プレイが一貫して重い印象。連続でミッションをこなすのは結構しんどい。


 分岐はほとんどなく、ほぼ一本道だが、途中で選択ミッションがあり、1周プレイでは全てのミッションをプレイできない。

 また、2周目、3周目で初めて登場するミッションもあるため、全ミッションをクリアするには最低3周かかる。

 エンディングの分岐条件は難しくない。2周目では前回選ばなかった選択肢を選べばいいし、3周目は3周目にだけ登場するミッションを選んでいけばいい。



 シリーズの伝統として、作戦区域内にコンテナがあって、開けるとパーツが手に入る、というのがあるが、今作ではそれに加えて、特定の敵を倒すとバトルログが手に入り、集めるとパーツがもらえるシステムと、壊れた機体から情報ログを抜き出すシステムがある。

 結構嫌らしい隠し方をしており、また、どこに何が何個あるかは表示されないため、探すのはかなり面倒くさい。バトルログのみ、ミッション中にあるログを全部取ったか取っていないかが表示されるが、何個中何個取ったかまでは確認できない。

 全部自力で集めるのは大変で、最終的には攻略情報に頼ることになるだろう。収集要素が多く、面倒くさい。



 ストーリーは、相変わらず滅びかけた荒んだ世界で企業と政府機関みたいなのと民間ゲリラみたいなのが争っている中で、金次第でどこにでも味方する傭兵を演じることになるが、今作の主人公は最初から「コーラル集積地点を目指す」という目的があるところが大きく異なる。

 このシリーズの主人公は、たいがいは単にフリーの傭兵稼業をしているうちに世界が滅びそうになって、それ関係の仕事が来るようになってやばいことに巻き込まれる感じが多い。最初からやばい仕事に首を突っ込むつもりで来ているのはあまりなかったパターンである。


 あと、なんだか知らないが、もうひとつのAC、『エースコンバット』シリーズとちょっと似た、一人のエースが戦況を変え、世界を変えるという英雄譚的な熱血ストーリーっぽくなっているのが本作のストーリーの大きな特徴。

 今までの『アーマード・コア』では、いくら優秀なレイヴンやリンクスでも、世界の大きな流れは変えられないという、醒めたストーリーであることが多かった。フロムのゲームはだいたいそうで、プレーヤーの選択がある程度世界の行く先を変えはするが、だいたいそこに待っているのは、あんまり良いとはいえない未来だったりすることが多い。プレーヤーが激闘の果てに世界を救ったりする感じではなかった。

 しかし、今作はなぜか『エースコンバット5』や"ZERO"あたりをやっているときのような高揚感を煽るストーリーになっている。後半の展開は、プレイする"AC"を間違えているんじゃないかと思ってしまうほど『エースコンバット』的。どうしたフロム。



 難度は、難しいミッションはアセンブルによってだいぶ簡単にできる。これはシリーズ共通だが、今作は特にその傾向が強い。通常、このシリーズでは、汎用的なACを組めば、それでほぼクリアできるのだが、今作はミッションに合っていないアセンブルだとものすごく苦戦することが多い。逆に合わせればめちゃくちゃ簡単。


 武器のバランスもあまり良くない感じで、やたらと強いのと、まるで使えないのが混在している。

 特に今作はライフルが使えない。いつもならライフルは射程距離の長さや継戦能力に優れているのだが、今作のライフルは射程が短く、どの武器も弾数が全体に多いために継戦能力も長所にならない。

 逆に、長距離ショットガンやガトリング砲、プラズマライフル、プラズマミサイルあたりがめちゃくちゃ強い。

 プラズマ系は爆風が広いため、雑魚掃討に非常に便利。ボス戦でもダメージが通りやすい。弾速が遅いので高機動型AC相手は苦手だが、大型の敵にはかなり有効。

 ショットガンやガトリング砲は衝撃の蓄積に優れている。近距離でぶっ放して敵をスタッガーにし、肩武器を撃ち込んだり、パイルバンカーのチャージショットをぶち当てたりするのが本作における王道的なボス戦となる。


 あと、地上戦では軽量タンクが強い。行き詰まったら軽量タンクに両手ガトリングや長距離ショット、肩レーザーや肩グレを積んでいくといいかも。


 最初のミッションがキツい理由はこれ。アセンブルを変えられず、相性の悪い機体であのヘリと戦わなければならないからあれだけ苦戦するわけで、高出力のジェネレーターを積んだ高機動ACを組んで、プラズマ系武器とパイルバンカーを装備すれば何の苦労もなく瞬殺できる相手である。



 チュートリアルミッションが難しすぎるのは、いくらなんでもフロムは調子に乗りすぎたと思うが、それ以外に関しては、久々に登場した『アーマード・コア』のナンバリングタイトルとしては満足のデキ。なによりついにPCでACが操縦できるようになったことが嬉しい。


 ただ、ブレードが連発できなくなったのは、ちょっと爽快感を欠いている気もする。スタッガーシステムの兼ね合いなのはわかるが、もう少しなんとか折り合いをつけられなかったものか。



[追記 2023.09.22]

 まだ全ミッションSランクが取れていないが、ひととおりやり尽くしたと言えるので、ネタバレありで個人的な感想をざっと述べておく。


 今作はだいぶ"DARKSOULS"に寄った内容だったと思う。初見だと「どうやって倒すんだこれ」というシチュエーションが多く、しかし、アセンブルと戦術次第で見た目ほど難しくなく撃破可能なところは、かなりそれらしい。

 でかいボスの下に潜ると意外と安全なところは"DRAKSOULS"にありがちな典型的な攻略法。最初のヘリと戦っている時、私が思ったのは「いきなりネズミの王的なクソボスを出すなよ!」だった。"DARKSOULS II"をプレイしたことがある人なら、この感覚はわかってもらえると思う。


 従来の『アーマード・コア』では、ACを超える兵器はあまり登場しない。戦場において一番の脅威はACであり、ACを超える兵器は滅多にない。

 プレイヤーはその、圧倒的な兵器を駆って格下の兵器を次々に破壊していくのが、本来の『アーマード・コア』の特徴だった。

 だからこそ、敵ACの登場は印象的だし、一番の脅威でもあったわけである。


 しかし本作では、ナインボール・セラフ級のとんでも兵器が多数登場する。従来だと最後の方にしか登場しないような敵が、最初からバンバン出てくる。この辺が"DARKSOULS"っぽい。



 ただ、確かに見た目上はナインボール・セラフ級のボスは多数登場するのだが、実際に戦うとそんなに強くなかったりもする。

 従来の『アーマード・コア』では、敵味方ともに、あからさまな隙は存在しなかった。しかし今作では、強力な武器には長いクールダウンがあるし、スタッガーにすると大きな隙ができ、そこに強力な武器を撃ち込めば簡単に大ダメージを与えられる。


 従来のシリーズでは、二脚に肩グレなんか装備してもほとんど役に立ちゃしなかった。四脚やタンク以外では、重装備するよりは機動力を重視したほうが良かったが、今作では明確に当てられるチャンスがあるため、大物がめちゃくちゃ有効。その影響で、結構大味なゲーム性になっている。



 最初のヘリが一番苦戦したのは間違いないが、それ以外で苦労したミッションについてざっと言及する。



●ウォッチポイント襲撃


 バルテウスは、戦い方がわかると楽勝。近づいて重ショットなりパルスなりを撃ち込んでスタッガーにし、高火力な肩武器を撃ち込めばいい。前半戦があることを考えると、パルスよりは重ショットやガトリング砲のほうがいいだろう。

 しかし、このゲームの仕組みがわかっていない序盤にこいつを相手にするのはかなりキツかった。撃っても撃っても全然ダメージを与えられてないじゃん状態。今作のボスは堅すぎやしないかと文句たらたらだった。

 結局、一周目はプラズマライフルとプラズマミサイルで倒したと思う。装備の揃っていない序盤ではプラズマライフルが優秀。


●集積コーラル到達


 2ゲージあるのは卑怯なり。しかも攻撃パターンが変わる。

 ここまでは、私はミサイルを多用していた。しかしこいつにはミサイルの多くは当たらない。

 何度もやられている内、実は二脚でも、ミサイルを積むより肩武器を積んでスタッガー中にぶち込んだほうが効果的なのでは、と思い始めるようになった。


 結局のところ、このボスにおける正解とは、高機動タンクで重ショット2丁、対アイスワーム兵器2丁という構成だろう。斬りつけに来たところをかわしてショット、スタッガー中に全門開放。これで一気に削れる。意外と大味。


 もしくは、全部中射程の高火力兵器という手もある。アイビスシリーズは空中で静止することが多く、その隙にプラズマライフル2丁+肩レーザー2丁を全門解放してぶち込むと全弾命中する。


 なお、このミッションで登場する骸骨車輪的なクソ敵は、火炎放射器などの装甲を貫通してダメージを与えられる武器がかなり有効。ミサイルもよく当たってくれる。


●武装採掘艦護衛


 このミッションで登場する敵は、みんな火炎放射器がよく効く。ACやボス敵と違ってAPが少ないので、近づいて炙ればあっという間に落ちる。それに気づくまではかなり苦戦した。


 このゲームでは単発の高火力兵器がめちゃくちゃ強いが、このミッションでは珍しくその戦法が通用しない。肩に大物を背負うよりもミサイルの方が使い勝手がいいという、本作ではかなり珍しいミッションとなっている。


●コーラル輸送阻止


 結局、このゲームでは、高衝撃の武器と高火力武器を積んで、敵の隙やスタッガー中に全門開放すればたいがいのボスは沈む。それしか言っていない気がするが、本当にそうだから仕方ない。それにいつ気付くかがこのゲームの攻略における最大のポイント。それがわかると、ボス戦はかなり楽に感じるようになる。重ショット+対アイスワーム兵器でだいたいなんとかなる。

 重ショットが当てにくい、またはザコも多く掃討する必要があるならライフル2丁とかでもいい。ライフルでスタッガーにして全門開放。


 一方、今作ではスナイパーライフルなどの長射程の武器が存在しないため、こうした逃げる標的を全機撃破するミッションは結構キツい。

 四脚を使ってミサイルを駆使することになるが、このミサイルが案外アテにならず、なぜか外して逃していることがあったりする。

 クリアそのものは難しくないが、ランクSを取るので結構苦労した。せっかく全輸送機を撃破したのに、ミサイルの使い過ぎでランクAになったり。かなり鬱陶しいミッションである。


●ザイレム制御修正


 覚えゲー。めんどい。

 終盤になると、ボス戦よりもこういうミッションのほうが辛く感じる。


 なお、各ルートのラスボス群に関しては、隙に全門開放を徹底すればそこまで苦戦しないし、撃破しさえすればたいがいランクSになるので、意外と苦労せずに済む。

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