Rise of Industry

 Epic Gamesにて"Rise of Industry"が期間限定で無料配布していたのでプレイ。


 本作は日本語訳なし。日本語訳MODがあるらしいが、私は使用しなかった。この手のゲームに慣れているなら、英語のままでもプレイに支障はない。



 本作は、1930年代を舞台に、資源を採掘して工場に運び、組み合わせて製品を作って販売して利益を上げる、経営シミュレーションゲーム。


 マップはいくつかの地域に分かれており、本部を設置した地域以外で採掘や工場を建てるには、オークションで権利を獲得する必要がある。

 また、ライバル会社が存在しているのも特徴。ライバル会社は純粋な商売敵で、資源を買ったりなどの協業はできない。



 このゲームは輸送コストが重いところに特徴がある。物を遠いところに運ぼうとすると、結構なコストがかかる。

 つまり、輸送ルートや輸送手段がこのゲームでは重要になるのだが、そのシステムの要となる倉庫からの輸送コストが、なぜか産地から直接輸送するよりも高く設定されている。そのため、できるだけ倉庫は使わず、産地から直送した方がいい。変な仕様である。



 このゲームは標準の設定だと、初心者向けにチュートリアルが表示される。しかし、これに従うと、「できるだけ使わない方がいい」倉庫を作らされたり、序盤から鉄道を作らされたり、挙げ句に、ものすごく効率の悪い、マップ外との取引を勧められたりする(マップ外から資源を買ったり、製品を輸出することができるが、極力利用しない方がいい)。

 つまり、チュートリアル通りに勧めると破産するという罠仕様である。とっとと消して無視しなければならない。



 各地域には町があり、町にはショップがあり、そこに製品を持ち込んで売って利益を上げるのがこのゲームの目的だが、ショップに並べられる製品はランダム。需要のない製品は生産しても利益にならないので、まずは需要を確認してから生産するものを決める必要がある。


 資源の確保も大事。このゲームでは、魚と砂は水辺、原油、ガス、石炭、鉄鉱石、銅鉱石はそれぞれの採掘地でしか採れない。これら資源が確保できないと、マップ外から割高で買わねばならなくなる。そのため、最初の本部は資源のあるところに設置したい。

 ただ、1地域だけだと全ての資源はカバーできないので、ゲームが始まったらすぐに借金をしてでも資源のある地域の権利を買って、ライバル会社に抑えられる前に全ての資源が確保できる状況を作りたいところである。

 それさえできれば、あとはそれほど難しくない。序盤は原油などの利益率の高い資源をそのまま売って稼ぎ、態勢が整ってきたら、高く売れる製品をピンポイントで開発して生産して販売していけばいい。



 町は、製品を運び込むことで発展していく。ある程度発展するとイベントがあり、それをこなすとショップが増える。

 また、町では不定期にオークションがあり、道路の速度が早くなるとか、建設費用が安くなるとか、大口の取引契約を結んだりできる。


 それとは別に、旱魃や地震などのトラブルもある。自然災害は結構大雑把に深刻な被害をもたらす。たとえば旱魃が起きると水の生産量が半減し、水を使った生産物の生産量が一気にダウンする。



 このゲームの一応のクリア目標は、町にプロトタイプショップを開かせ、そこに車を運ぶこと。達成すると一応「おめでとう」的な画面が表示され、「続行する」を選べばそのまま続行される。



 コンセプトは悪くないのだが、ゲームバランスがあまり良くなく、楽に儲かるものと苦労する割に全然儲からないものの差が激しかったり、ライバル会社に資源を抑えられるとどうにもならなくなったりするのは気になる。

 また、インターフェースが洗練されておらず、輸送が重要なゲームなのに、その輸送システムが煩雑なのも問題。各施設から手動でいちいち設定しなければならず、一括で輸送状況を閲覧したり設定したりできるシステムがない。

 序盤が極端に厳しいが、そこを切り抜けてしまうと、あとはプレイが惰性になってしまうところも問題。


 そもそも、チュートリアルが的外れな罠という時点で、このゲームの開発者は自分のゲームの特徴を理解していないのだと思う。開発者が思っているゲームと、実際のゲームとの間に乖離があるから、変なことになっているのだろう。


 一応遊べるが、微妙なデキのゲームである。

 もしプレイするなら、設定でライバル会社をなしにしてプレイしたほうがゆっくり落ち着いて遊べるんじゃないかと思う。ライバル会社は資源を確保するのを邪魔するだけで、ゲームを面白くする存在ではない。資源の売買取引が可能だったりして協力することもできるなら、また違ったと思うのだが。

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