PC:間違い探し

I'm on Observation Duty

 Steamにて"I'm on Observation Duty"をプレイ。


 モノクロ画面の監視カメラのモニターをして、異常を発見したら報告するゲーム。要するに間違い探し。


 私は記憶力に全く自信がない。特に短期記憶が苦手で、覚えようという気力すら起きない。私のモットーは「余計なことは覚えない」である。どうでもいいこと、調べればわかること、メモして見返せばいいことなどは記憶する努力をしないことにしている。

 だったら記憶ゲームなんか買わなきゃ良さそうなものだが。


 私がこのゲームをプレイしたのは、自分がいかに記憶力がないかを再認識するためである。



 監視対象はOLD HOUSEとNEW HOUSEの2種類。各家には5つの部屋がある。

 最初しばらくは何も起きないので、その間に各部屋の状態を記憶する。しばらくすると、物がなくなったり増えたり移動したり、ドアが開いていたりするので、それを報告する。報告してしばらく経つと、その異常は取り除かれる。

 未報告の異常が4つになるか、特定の異常で対処を間違うとゲームオーバー。

 監視時間は0時から6時まで(実時間で30分)。それまでにゲームオーバーにならなければクリアとなる。


 記憶力のある人なら初見でも異常に気づけると思うが(初見殺しがいくつかあるから、一発クリアはたぶん無理)、普通の人はまず見落としが起き、2時くらいで死ぬ。ただ、何度もプレイしていたら覚えてくるので、だんだんと長生きできるようになってくる。


 たった2つのステージしかなく、一見するとボリュームが少なそうだが、そう簡単にはクリアできず、意外と遊べる。

 参考までに、私が2軒クリアまでにかかったのは5時間だった。



 異常の報告は、「異常が起きている場所」→「異常の種類」の順で項目から選んで行う。誤報はいくらしてもペナルティはないが、一度報告するとしばらく次の報告ができないから、手当たり次第に乱発することはできない。

 結構見落としがちなのは、場所の項目に"Outside(屋外)"があること。窓の外の異常は全部屋外扱いとなる。


 本作に日本語訳はないが、プレイに必要なのは簡単な英単語の知識のみなので問題ないだろう。

 ゲーム開始時にモールス信号と共に表示される英文は、「異常があったら報告してね」というだけの内容。その後、未報告の異常が3つになったとき、1回だけ「未報告の異常が溜まっていて、このままだと死ぬよ」という警告がなされる。……そう。監視カメラのモニターをやっているだけなのに、なぜか死ぬのである。なんで? 貞子?


 問題は英語の読解よりも、何と報告すれば正解なのかわからないことがあること。

 OLD HOUSEの方は、幽霊と侵入者の区別が付きづらかったり、リビングで見かけた侵入者を「屋外」で報告しなければならなかったりする。

 NEW HOUSEは、窓の外の現象は全部「屋外」として報告する必要があるのに気づきにくい。あとは、物が変形するのは全部"Distortion"。

 動いている物体を"Object Movement(物体が動いている)"ではなく"Extra Object(物が増えた)"として報告しなければならないケースがいくつかあるのもややこしい。今までなかったものが追加されているのだから"Extra Object"なのはわかるが、その物体が動いているんだから"Object Movement"でも間違ってないだろと思うのだが。

 この辺、もうちょっと直感的にならなかったのかと思う。マウスで対象をダブルクリックしたら報告になるとか、どちらで報告してもOKとか。



 このゲームはホラーに分類される。ただ、このゲームで起きる怪現象のほとんどは、物が増えたりなくなったりといったもので、別にさして怖くない。現実で起きたら怖いが、間違い探しゲームなんだから、起きて当然の現象である。


 しかし、たまにジャンプスケアがある。この「たまに」というのが絶妙で、いい感じに不意打ちを食う。「なんだ、雰囲気が不気味なだけで大したことないな」と思い始めた頃に来る。

 私はジャンプスケアが好きではないが、このゲームの演出はうまいと思う。



 気になるのは、初見殺しがいくつかあり、対処法を知らないと即ゲームオーバーになること。ゲーム的には好かないが、ホラー演出としてはありなので、評価に悩む。

 また、タイミングによってはゲームオーバーが回避不能な場合もある。気付いたときにはもう間に合わないという。頻繁にカメラを切り替えまくれということなのかもしれないが、もっと猶予が欲しいところ。



 ただ、このゲームにおける真の敵は、初見殺しのジャンプスケアなどの大技ではなく、物がなくなっていたり増えていたりといった、怖くもなんともない異常の方。あまりにどうでもいいために見落としがちで、そのせいで異常が溜まってゲームオーバーになる。

 気づかなかった異常は次のプレイでも見落とし、何度やってもなかなか見つけられない。このささいな異常を探すために部屋をくまなく凝視しなければならないが、いつ大技が来るかわからないから、あんまり凝視したくもない。この葛藤が面白いところ。



 この手のゲームは種がわかったらつまらなくなるものだが、このゲームはだいたい種が割れてきたあたりで、別の恐怖を体験することになる。いつか大技が来るとわかっていながら、ささいな見落としを探すために心を無防備にして細部をチェックしなければならないのである。

 何も起こってほしくないけど、起こらなければ起こらないで「何か見落としてるんじゃないか」と不安になり、なにか起きるとほっとするという、変な心理状態になる。



 間違い探しの難度は、4時くらいまでは多少見落としがあってもいけるが、6時まで生存するには小さい異常を全て知った上で、わりと素早く片付けないとクリアできないバランスになっている。

 即死異常は1回のゲームで連発されることはなく、運が良ければ対処が楽なのが1回しか出ないこともある。そうなると比較的楽。


 小さい異常は、OLD HOUSEは一部わかりにくいのがある。すんごいちっこいものがなくなっていたり増えたり。あまりフェアとは言えない。

 NEW HOUSEはそこまで細かい間違いはない。見りゃわかるものばかり。



 定価は350円なので、気になるなら気軽に購入してプレイできる。気になる点はいくつかあるが、値段を考えれば文句ないデキである。




 ネタバレありの話について。



 HUGE MANについて。

 NEW HOUSEに稀に出てくるやつだが、こいつはなぜか「侵入者」と報告した後で、さらに"!!HUGE MAN!!"と報告しなければならない。しかし、この項目はこの時だけ一番下に表示されるので、知らないとまずわからない。こういう特殊演出はわかりやすいようにして欲しい。「侵入者」がこの時だけ"HUGE MAN"に変わるとか、侵入者のすぐ下に項目が追加されるとか、やりようはあるはずである。いきなりルールが変わるのは好かない。



 ティモシーについて。

 OLD HOUSEのキッチンでたまにチカチカ光っているのがあるが、その光をクリックするとメッセージが流れる。「3:30にバルコニーで、ネルソン・マンデラの死んだ年を入力しろ」と言っている。何年かは調べればわかる。このメッセージを聞いたプレイで3:30以降になると、報告項目に"input"が増えるから報告する。すると枠が出現するので、そこに答えを入力する。もちろん西暦で。

 このイベントの意味は、私にはわからない。


 ネルソン・マンデラは「マンデラ効果」の語源となった人である。80年代に死亡したと勘違いしている人が多かったとか。「マンデラの死んだ年を入力しろ」という問いは、たぶんマンデラ効果から来ているのだと思う。


 このゲームでは、変わっていないものが変わったように勘違いすることがよくある。だから、このゲームとマンデラ効果の関係はわかる。

 たいがいの人は、このゲームをプレイしていたら嫌というほどマンデラ効果を実感するだろう。自分の記憶がいかにいい加減かを思い知ることになる。

 ただ、それとティモシーがどう関係するのはかわからない。



 即死侵入者について。

 たいがいの侵入者は発見からタイムオーバーまでまあまあ余裕があるが、たまに見つけた時点で既に間に合わないことがある。巡回をトロトロするなということなのだろうが、理不尽な気がする。

 侵入者がいた場合、可能なら即カメラを切り替えて、別の部屋に移ってから報告した方がいい。たまに切り替え不能な侵入者がいて、その場合はその場で素早く報告するしかないが。

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