EVIL DEAD :THE GAME

 Epic Gamesにて"EVIL DEAD: THE GAME"が期間限定で無料配布されていたので入手してプレイ。

 本作は日本語版の発売が予定されているが、今のところ英語のみ。多少英語が読めないとプレイに支障があるが、まあ読めるだろう。

 "EVIL DEAD"は、邦訳タイトルでは『死霊のはらわた』という映画シリーズのこと。血やらなんやらが飛び散りまくるスプラッタ映画の代表格である。

 だから邦訳では「はらわた」という言葉がタイトルにくっついたのだろうが、泥臭いイメージになってしまった感もある。原題の"EVIL DEAD"の方がかっこいい。

 そして、殺人鬼がバカな若者を殺しまくるのではなく、スカした若者が死霊を惨殺しまくるという、立場が逆転した映画シリーズでもある。初期はそれでもホラー感があったが、だんだんコメディ色が強くなっていった。


 本作はサバイバー4人と死霊1人による非対称対戦ゲームということで、"Dead by Daylight"とよく比較される。

 しかし、実際は"DbD"とはあまり似ていない。どちらかというと"LEFT 4 DEAD"の方が近い。みんなで死霊どもをぶち殺しながらタスクをこなしていくゲーム。



 このゲームにおけるサバイバーのタスクは少し複雑。まず、マップにランダムでスポーンする3枚の地図を入手する。地図がどの辺にあるかは右上に英文で表示されている。たとえば「DEAD END周辺にあるよ」と表示されていたら、全体マップを見て"DEAD END"と書かれてあるところに行って探せばいい。25mくらいまで近づくと、ビックリマークが表示されて地図の位置が判明する。


 地図を入手したら、今度はカンダリアン・ダガーとネクロノミコンを手に入れる。これはマーカーが表示されるからわかりやすい。

 この2つはそれぞれ、一定時間防衛すれば入手したことになる。

 ここまでのタスクには制限時間があり、時間内にダガーとネクロノミコンのページを入手する必要がある。時間をオーバーすると負け。


 ダガーとネクロノミコンのページを入手すると制限時間はなくなるが、マップ内に嵐が吹き荒れ、徐々に行動可能エリアが狭くなる。嵐に曝されるとライフがごっそり減るので、エリア外に出ないようにしなければならない。


 この段階に入ったら、次は赤い悪霊の群れを退治する。この悪霊は最初からマップにいるが、ダガーとネクロノミコンのページを持っていないと攻撃が通らず、一方的に攻撃されるので、最初は近づいてはいけない。

 悪霊の位置はマーカーで表示されるので、近づいてダガーを使うと、ビームみたいなエフェクトが出て悪霊を攻撃できる。


 悪霊のゲージをゼロにすると、ネクロノミコンが現れる。ネクロノミコンを一定時間防衛すればサバイバーの勝利。ただし、ネクロノミコンにはライフゲージがあり、ライフがなくなると破壊されてしまい、敗北となる。


 サバイバーは暗いところにいると徐々に恐怖ゲージが増えていく。恐怖ゲージが一定まで貯まると、悪霊に取り憑かれる可能性が出てくる。取り憑かれると同士討ちさせられるので、できるだけ恐怖ゲージを溜め過ぎないようにする必要がある。

 恐怖ゲージは明るいところにいると減る。また、仲間と一緒にいると増えにくい。しかし、バグだかなんだか知らないが、車に乗っていると、味方と一緒でも結構な速さでゲージが増える。



 死霊側は、サバイバーのタスクを妨害するのが目的。死霊は、初期状態では実体化しておらず、サバイバーから見えないし、こっちも直接は手出しできない。ただ、音で近くにいるのはバレる。

 死霊は赤いもやもやみたいなのでポイントを集めて、そのポイントを消費することで、死霊を召喚したり、宝箱に罠を仕掛けたり、誰かに取り憑いて自分で操作したりして、サバイバーの邪魔をする。

 サバイバーを全滅させるか、勝利条件を満たせなくすれば勝ち。

 敵を配置したり、罠を仕掛けたりと、TRPGのゲームマスターみたいな役割である。ただ、GMと違って接待する必要はないわけだが。


 死霊側は楽しいっちゃ楽しいが、勝てるかどうかは自分の腕よりも、サバイバーがちゃんと連携してるかどうかにかかっている気がする。単独行動するサバイバーがいたら、そいつを集中攻撃してダウンさせ、もし他のサバイバーが助けに来るようなら、ダウンした奴の周囲に敵や罠を配置しまくれば芋吊る式に倒せる。

 逆に、きっちり4人固まって連携され、手早く地図を集められたらどうにもならない。

 死霊の強さは結構レベルに反映されるところがあるので、レベルの低い内はかなり辛い(それでも、サバイバーが連携できていなかったら楽勝だったりするわけだが)。勝ち負けにこだわらず、GM的な役割そのものが楽しめる人でないと辛いかもしれない。



 このゲームでは、サバイバー側はきっちり連携する必要がある。1マッチあたりのプレイ時間が30分程度と長めで、その間ずっと同じ4人で連携する必要があり、独断で適当に動くと、悪霊側に見つかったら集中攻撃を食らってあっという間に殺られる。"DbD"みたいに適当野良プレイでもなんとかなるような雰囲気ではなく、かなり協力プレイ寄りの仕様になっている。そのため、野良でやるのはあまりおすすめできない。できれば4人集めてプレイしたいところ。

 お友達がいない人は、1人でもできる悪霊でプレイするといいだろう。もしくは、AI相手にソロプレイするか、1人用モードのミッションをプレイするか。


 また、このゲームでは各キャラを使ってプレイすることで経験値を得られてレベルアップし、それによってスキルを獲得するシステムになっている。レベル格差は結構でかいので、キャラが育っていない内は勝ち負けを気にしない方がいい。



 ソロプレイにしろ、ミッションにしろ、サバイバープレイは初見だと意外と難しく感じるはずである。このゲーム独特の立ち回り方がわかってくるとそんなに難しくないのだが、最初は結構辛い。


 ソロプレイは、味方のAIが特定の状況で途端に役立たずになるのが問題。終盤の悪霊退治からネクロノミコン防衛では勝手にバタバタダウンしていくことが多い。

 特に問題なのは、自爆する敵や無視していいトラップを回避しようとせず、無意味にダメージを受けに行ってしまうことと、味方がダウンした時、敵が近くにいても救助しようとして、一方的に殴られてそいつもダウンすること。

 こうしたことから、AIパーティーは崩れ出すと一気にダメになる。その場合は1人で戦うしかない。


 このゲームのバランスは4対1でちょうどいいようにできているから、1人というのはめちゃくちゃキツい。それで、はじめの頃はソロプレイのAI相手のゲームでも厳しく感じる。アホAIのせいで全然勝てないと。

 しかし慣れてくると、アホAIを引き連れていてもちゃんと安定して勝てるようになる。対戦プレイを始めるなら、まずはソロプレイで勝てるようになってからの方がいい。

 そして、ソロプレイで勝てるようになるために、まずはミッションをプレイした方がいい。ミッションをプレイすると1人での立ち回り方がわかる。



 ミッションは、原作のワンシーンをゲームで再現するモードとなっている。現時点では全部で7つある。

 ミッションでは、ほとんどの場面で多対一の状況を切り抜けねばならない。最初は「こんなの無理だろ!」と思うが、やっていると慣れてくるもので、簡単にクリアできるようになる。ミッションがクリアできるようになればソロプレイは楽勝になる。



 ミッション1はいきなり難しいが、エリートの倒し方がわかるとだいぶ楽になる。ザコは殴ると怯むし、すぐ無敵時間の長いフィニッシュ攻撃ができるので簡単に倒せるが、エリートは怯みにくく、こっちが近接攻撃を2~3発入れるとカウンターを繰り出してくる。そのためエリートは離れて銃で倒すほうが楽。ただ、弾をかなり使うので、弾薬に余裕が無い場合はリスクを承知で近接も絡めなくてはならない。


 エリートのカウンターを回避するとさらに2~3発攻撃できるが、その次のエリートのカウンターは回避できない(回避にはクールダウンがあり、連発できない。死霊側だと何秒クールダウンがあるか表示されているのだが、サバイバー側にはないからわかりづらい)。無敵攻撃ができるなら、このカウンターに合わせて無敵攻撃を出すことで回避の代わりにできるが、できない場合は深追いせず、1度回避したら、銃でヘッドショットを狙えるなら一発撃ち、一旦離れた方がいい。

 無敵攻撃はむやみに使わず、自爆する敵のフィニッシュに使ったり(自爆しなくなる)、エリートのカウンター攻撃を潰すのに使うといい。


 ミッション2は丁寧にアイテム探しをし、なるべくダメージを食らわないように立ち回ればいいから、そこまで難しくない。



 問題はミッション3。自爆するザコと分身の術を使うエリート相手に1人で戦う必要がある上に、結構厳しい制限時間まである。


 制限時間はあるが、初見ではじっくりアイテム探しをし、アイテムの配置を覚えることが先決。そうすることで、次のプレイで時間短縮ができる。

 車での走行ルートや置き場所も決めておく。制限時間が厳しいので、時間短縮のために車は有効に使いたい。戦闘に巻き込んで壊すのは避けたいが、遠くに乗り捨てるのも時間のロスになる。


 1回目のラッシュは、農場の柵を利用すると、敵が引っかかってくれて楽に戦える。戦闘が始まったらすぐに柵の向こうに移動するといい。背後からくる敵には要注意。ヘッドショットだと1発、アタリどころが悪いと2~3発で倒せる。ザコは自爆中もライフゲージが残るため、死んでいないと勘違いして無駄弾を撃ちがち。まずは無駄弾を撃たないようにする必要がある。これは何度かやっていれば慣れる。


 2回目のラッシュでは、ビックリマークに近づく前に、先に道路沿いの屋根のあるところ(野外作業場?)に行って近接武器を拾っておいた方がいい。いくつかあるが、おすすめは消防斧。

 エリートは倒すのに時間がかかると分身の術を使ってくるが、かといって焦って倒そうとすると結構なダメージを食らってしまう。分身はザコと同じく近接2発程度で死ぬので、あまり気にせず、ミッション1と2で培ったエリート対処を基本に、なるべくダメージを食らわないように戦うといい。回避が使えるかクールダウン中か、銃に弾が何発残っているか、敵の攻撃に合わせて無敵攻撃を出せるかをきちんと管理しながら戦うのである。分身は本体が死ぬと消滅するので、本体のライフが低いなら、分身は無視して一気に本体を倒してもいい。

 ザコはできるだけ近接+フィニッシュで自爆させずに倒して弾薬を節約したいが、このミッションでは弾薬は余るほど拾えるので、必要なら惜しみなく使ってもいい。レア度を見ればわかるが、このミッションの銃はめちゃくちゃ強い。


 3回目のラッシュは敵が少ないので楽。制限時間の方が問題。ここまでで弾薬がたくさん残せているなら、銃を撃ちまくるだけでなんとかなる。


 ミッション3をクリアできる腕があれば、以降のミッションはそんなに行き詰まることはないだろう。たまに罠武器があって、間違った武器を選択するとめちゃくちゃ厳しくなることがあるが、それは何度かやればわかること。



 一応1人でも遊べるが、できればサバイバープレイでは4人集めたいところである。知らない人と野良プレイしたいゲームではない。

 死霊プレイはそういう意味では気楽。ただ、ものすごく待ち時間が長い。時間帯によってはすぐマッチすることもあるのだが。また、死霊側にはAI戦がないため、いきなり実戦になってしまう。


 遊べる友達がいるならわりと楽しいゲームだが、1人でやるなら定価の4400円は高いと思う。今は無料なのでとりあえずもらっておけばいいが、1人プレイ前提なら、買ってまでプレイすべきとは勧められない。死霊プレイで楽しめるなら充分価値はあるが、待ち時間の問題がある。

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