MANEATER

 Epic Gamesにて無料で配布していた"MANEATER"をプレイ。

 プレイヤーはサメの赤ちゃんになって、その辺の生き物を捕食することで成長し、バラクーダやアオザメなどと水中界の覇権をかけて争い、サメハンター達を皆殺しにする。

 暢気に泳いでいる馬鹿な人間を躍り食いしてうまうまするゲームである。


 発売当初は日本語訳がめちゃくちゃで、それがかえって面白かったらしいが、現時点ではまともな訳になっている。ただ、字幕表示がいい加減で、たまに表示されなかったりする。



 ゲームとしてはかなり大味で、内容にしろボリュームにしろゲームバランスにしろ、プレイステーションの黎明期のゲームのようなテイスト。斬新だが大味で薄味。

 序盤は拠点近くに強力なアリゲーターがうろついているため、かなりシビアなサバイバルを要求されるが、序盤を乗り切ってアリゲーターを逆に食えるようになると難度は一気に軟化。最終的には敵なしになり、消化試合、作業になってしまう。とはいえ、一方的に魚や人間を食いまくるその大味さが爽快でもあり、変に難度が高いよりはマシだとは思う。


 序盤はアリゲーターなどの危険生物を避けながら、ハタやカメなどを捕食してレベルアップしていき、成長してきたらでかい魚や人間を食いまくって成長していく。

 人間はサメが泳いでいても「わあサメだー」とか叫んでいるだけで真面目に逃げようとしないので食い放題。このゲームで一番おいしい獲物は人間である。楽に食えて栄養満点。


 馬鹿な人間を食い漁っているとサメハンター達がやってくるので、一定時間逃げ隠れて撒くか、返り討ちにする。一定数ハンターを倒すとボスハンターがやってきて、そいつを倒すとサメの部位パーツが手に入る。

 ボスハンターは登場時にカットシーンが入ったりするものの、別に強くない。いろいろ武装しているが、ボートに乗っているのをうまく狙って食えば一発で倒せる。おびき出すために大量のハンターを食わなければならないのが面倒なだけ。


 ボスハンターを倒したり、コレクションアイテムを集めたりすることで、サメは部位パーツを入手できる。部位パーツは各部位ごとに数種類あって、取り付けることでサメを強化できる。パーツによっては電撃を放ったり毒を吐いたりできるようになる。部位パーツは溜め込んだ栄養を消費することでアップグレード可能。

 部位パーツは強いものと弱いものの落差が激しい。あんまり強くないシャドウシリーズだと、最後までそこそこ緊張感のある比較的いい感じのゲームバランスになるが、ボーンシリーズで全身を固めると不沈要塞化し、全ての敵を一方的に粉砕できるようになる。



 このゲームの特徴は、ディスカバリーチャンネルの番組っぽい雰囲気になっていること。観たことがある人なら一発でわかる独特の雰囲気。『ベーリング海の一攫千金』みたいなドキュメンタリ番組っぽさと、ところどころでサメやその他に関するうんちくがナレーションで挿入される科学番組っぽさ、サメの心情を勝手に代弁する大きなお世話なナレーションが入る動物番組っぽさが混ざっている。ナレーションで語られているうんちくは、事実もあるが、ウソも多分に混ざっている。



 ストーリーは皮肉が効いているが、おおむねお馬鹿な内容。

 サメハンターのピートは、父親がサメに殺されたことからサメに復讐心を抱いている。『白鯨』のエイハブよろしくメガシャークを追っているのだが、ドキュメンタリ番組収録中、サメを仕留め、その腹をかっさばいて赤ちゃんサメを取り出したとき、そいつに腕を食われてしまう。その赤ちゃんサメがプレイヤー。

 そういうわけで、ピートは腕の敵としてプレイヤーを狙い、プレイヤーは母親の敵、あるいは生まれて初めて食ったピートの腕の味が忘れられなくて、ピートを襲うべく水中でのサバイバルを生き抜き、いろんなものを食って成長していく。


 その後、再びプレイヤーとピートは邂逅するのだが、ピートは船に乗り上げてきたプレイヤーに片足を食われる。その際に、プレイヤーにガソリンをぶっかけて燃やそうとして自分の船を吹っ飛ばし、息子を爆死させ、自分も半身を火傷する。結局、ピートが息子やら腕やらを失ったのは、プレイヤーのせいというよりは自業自得だったりする。


 復讐心に駆られたピートは、プレイヤーにとって用済みの、全く見当違いの海域に毒を撒いて無駄に環境汚染した挙げ句、機雷やテスラバリアを装備したわけのわからん船を持ち出してプレイヤーに決闘を挑む。


 しかし、すでにサメを辞めて化け物と化していたプレイヤーには敵わず、ピートは残った足も食われてしまう。しかし、こんなこともあろうかと、ピートは船にダイナマイトを満載しており、サメもろとも自爆したのでした。めでたしめでたし。

 そして、番組はあまりにグロい映像満載だったため放送できなくなり、ネット配信することになったらしい。


 しかし、爆発の直撃を受けたにも関わらず、プレイヤーはしれっと生きていたりする。



 総評は、フルプライスで買うほどのものではないが、適当に遊べる気楽なゲームではある。ディスカバリーチャンネルの視聴者なら雰囲気だけでも楽しめるだろう。



 なお、本物のディスカバリーチャンネルでは年に1回サメ特集月間があり、サメの保護活動の様子や、いろんな人がサメとの触れ合いに挑戦する内容を放送している。

『サメVS人間』という番組もあったが、もちろん、サメと人間が殺し合う内容ではなく、泳ぎの速さ対決だった。

 ナショジオでも『サメVS人間』という番組があったが、こちらはサメに噛まれても大丈夫なスーツを作った人が、自ら実験台になって噛まれてみるという番組。

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