バイオハザード Re:2 (6100字)

 Steamにて『バイオハザードRe:2』をプレイ。

 購入したのは日本版のCERO:D規制の、要するに一番スタンダードなバージョン。国内ではZ指定のZ版もあるが、Z版でもゾンビの手足や首の欠損表現に規制がかかっていることに変わりはないらしい。

 海外版だとゾンビの手足や首が飛ぶので、死んだかどうかなどがわかりやすいのだが、日本版だと欠損部分が黒くなるだけなので、分かりづらいという問題がある。

 Steam版だとMODを適用することで海外版と同じ表現を再現できるが、私はそのままプレイした。慣れてきたらさほど問題ない。



 オリジナル版の『バイオハザード2』はプレイしたことがある。『バイオ2』は無印に比べるとホラー演出としては減退し、どちらかというとパニック映画的な演出になった印象があった。

 ゲームシステムやシナリオはよくできていた。レオンとクレア、どちらを表でプレイするかによって裏の展開が大きく変わったし(たとえば、クレア編表だとシェリーはGウィルスに感染するが、裏だと感染しない)、表でのプレイが裏に影響する仕組みも用意されていた(表でイビーを弱体化させると裏で強化されてしまう、など)。また、4つのシナリオをプレイすることでシナリオの全体像が見える仕組みも面白かった(レオン編だとエイダの生死は不明だが、クレア編裏ではエイダがロケットランチャーを投げている、など)。

 ハンク編や豆腐などのオマケ要素も豊富で、なかなか長く遊べるいいゲームだった。


『バイオ2』は個人的に思い出深いゲームである。初回はレオンでプレイしたのだが、マグナムを取り損ねたまま進めてしまったのである。本体がないのにマグナム用のカスタムパーツを見つけてしまった時の絶望感といったらなかった。

 その頃になると手に入るのはマグナム弾ばかりで、ハンドガンやショットガンの弾はどんどん枯渇。研究所ではできる限り弾をケチりながら突破したのだが、ラスボスと対峙したときにはショットガンは弾切れ。制限時間のある中、ハンドガンのみでやり合う羽目に。


 ハンドガンの弾はまあまあ残っていたのだが、何発当てても死にゃしない。あっという間に弾がなくなり、残りは銃に込められた18発のみ。

 もし、ここで弾切れになった場合、最初からやり直すしかなかった。ここまで来てやり直しかよ! ……と、半ば諦め気味になっていたところ……最後の1発でラスボスが倒れたのであった。


 電車に乗り込むまでの道中、そしてエンディングを見ている最中、ずっと「本当にこれで終わりなのか? 何かあったら終わるんですけど」と冷や冷やした。


 その後、豆腐サバイバーまでプレイしたが、初回ほど緊張感のあるプレイを体験することはなかった。



 私はもともと"Re:2"にはあまり興味はなかった。『バイオ』が面白かったのは"2"までで、"3"はイマイチだったし、"4"はウェスカーが復活するという話を聞いて興醒めし、完全にこのシリーズに対して興味を失った。未だに"4"がどんなゲームかすら知らないままでいる。

"Re:2"はデモ版をプレイしたものの、銃を構えてしばらく静止していないと銃撃の威力が最大にならないという謎仕様が気に入らなくて、購入には至らなかった。


 しかしあるとき、YouTubeで"Re:2"のプレイ動画を観る機会があった。どうせプレイしないつもりだし、ネタバレを気にせず観てやろうと思っていたのだが、観ていると、心のどこかから声が聞こえてきたのである。「ゲーマーならやれよ」と。

 というわけで、仕方なくプレイすることにした。



 このゲームには3段階の難度がある。最難関のハードコアでは敵が強化される他、アイテムの最大所持数も大幅に減らされる。さらにオートセーブ機能はなく、インクリボンでセーブする。


 インクリボンでセーブする、ということから、私はこれは「旧作経験者は初回からハードコアでやれ」というカプコンのメッセージではないかと受け取った。それで、レオン編をハードコアでプレイした。

 しかし、しばらくプレイして、その考えは間違っていたことに気付いた。


"Re:2"では表編からタイラントが登場し、延々追いかけられることになる。タイラントの追跡を逃れるには事前にゾンビを排除したり窓を封鎖して逃走ルートを確保しておく必要があるのだが、初回プレイだとそんなことはわかるはずもないので、だいたいゾンビ、リッカー、タイラントに同時に襲われる羽目になったりする。こうなると最初からやり直した方が早い。

 しかし、やり直すのであれば、いきなりハードコアでやる意味がない。何度もリトライしながらハードコアをクリアするのも、低難度でひととおりプレイして攻略手順を覚えた後でハードコアをプレイするのも、本質的には同じだからである。先々の展開を知った上でプレイすることに変わりない。

 というわけで、スタンダードでプレイし直すことにした。


 実のところ、スタンダードもハードコアも、初見プレイでの難度という意味では大差はなかったりする。このゲーム独特の符丁を知っているかどうか(どういう状況なら無傷でゾンビを避けられるか、など)や、後の展開を知っているかで難度に大きな差が生じる。


 結局、初回プレイを楽しくプレイするなら、難度アシステッドでプレイした方がいい。アシステッドなら、最初からやり直さなければならないほど最悪な事態に陥ることはまずない。

 ホラーは、そこそこ心に余裕があってこそ恐がれるもので、スタンダード以上の難度だと恐がっている場合ではなくなってしまう。気持ち悪いクリーチャーに自ら接近して脇を走り抜けたり、ナイフで刺し殺したりする必要がある。そうすると、せっかくのホラーテイストや緊張感は味わえなくなってしまう。ナイフで斬りつけまくっておきながら「怖い」とはならないだろう。



"Re:2"の難度が高い理由は、主に2つ。

 ひとつは、前半でタイラントに延々と追っかけられるため。タイラントの追跡があるからこそ、警察署の間取りの把握や事前の準備が必要になる。追跡を受けながら探索をするのは緊張感があっていい反面、初見難度を不要に高くしすぎてしまう。逆に、対策が分かってしまうと緊張感もなくなる。

 もともと原作では、タイラントが登場するのは裏編のみだった。それを踏襲して、"Re:2"でも表編ではタイラントを出さない方が良かったのではないかと思える。初回プレイのゲームバランスを悪くしている要因だろう。


 もうひとつは、サバイバルナイフに耐久力があり、すぐ壊れること。

 このゲームにおけるナイフはものすごく有効な武器で、倒れているゾンビや後ろを向いたリッカー、G1などに有効な他、G生体やイビーをやり過ごすにも使える。しかし、すぐ壊れてしまうという欠点がある。銃弾を持たせることも大事だが、肝心な場面でナイフを残せているかも重要になる。


 とある条件をクリアすると無限ナイフが手に入るのだが、これの有無で難度は大きく変わる。無限ナイフがあれば気兼ねなくゾンビを排除できるし、倒れているゾンビの生死確認もノーリスクでできる。すんごい楽。……死体を斬りつけまくるのは、このゲームで一番の残虐行為のような気がしなくもないが。

 しかし、慣れてきたプレーヤーがさらに楽できるようにするよりも、アシステッドやスタンダードでは最初からナイフの耐久力をなしにした方が良かったのではないかと思える。ハードコアだけ耐久力があるようにすれば良かったのでは。

『超魔界村』の魔法の鎧もそうだったが、カプコンはしばしば、初心者ほど苦労し、熟練者ほど楽できる謎のバランスでゲームを作る。無限武器にしても、ランクSやランクS+を取れる人なら、もう必要ないだろう。わけがわからない。



 スタンダードでやり直した後は、さほど問題なくクリアできた。初回(と言えるのか?)のクリアタイムは4時間17分でランクA。ハードコアでプレイした時間を含めると6時間くらいと思われる。ランクSは3時間30分以内だそうなので、これは比較的楽に達成できそう。目指すかどうかはともかく。


『バイオ』シリーズは、初回はドキドキしながらプレイして、2周目以降は攻略手順を効率化してタイムアタックしたりするものが多い。しかし"Re:2"は、クリアするために攻略手順の効率化が必要となる。ホラーとは相性の悪いバランスだと思う。



 続いてクレアの裏編をプレイ。後で分かったことだが、本作の表編と裏編には、あまり大きな違いはない。武器が1種類追加されること、タイラントの登場タイミングが早いことと、最後にどうでもいいラスボスが追加されることくらい。また、表編でのプレイが裏編に影響を与えるシステムもない。

 オリジナルにあった大きな長所のひとつがなくなってしまっている点はいただけない。これなら裏編なんか必要なかった気がする。


 レオンとクレア、どちらが楽かは、おそらくクレアの方が若干楽な印象がある。

 レオンの武器は使い勝手がいいが、弱点を突いた攻撃手段に乏しい。ショットガンでゾンビを手早く倒せ、対G戦で弱点を狙撃するのは楽な反面、リッカーやG生体が辛い。終盤に火炎放射器が手に入ると一気に楽になるのだが。

 クレアはクセの強い武器が多いが、早期に硫酸弾と火炎弾が使える。ゾンビ戦では苦労する代わりに、リッカーやG生体などは楽に倒せる。


 オリジナルの『2』だと、クレア編で登場するアイアンズ署長は、初登場時には猫を被っており、また、シェリーには全く関心を示していなかった。しかし、今作ではいきなりゲスさ丸出しで登場。シェリーを捕まえてナニかしようとしている変態になっている。そういうわけでシェリー編は、変態署長から逃げるゲームに変わっていた。これはオリジナルよりも良くなった点だろう。



 裏編をクリアすると開放される"The 4th Survivor(ハンク編)"は、本編と同じく覚えゲーで、あまりテクニックは必要としない。回復アイテムやサブウェポンが多めなため、わりとゴリ押しでもいける。

 私は初回プレイで屋上まで行ってリッカーに殺されたが、ここまで来るとほぼコース全体を把握できたようなもんなので、どこでどの武器を使えばいいか、どこで何を残すべきか、どこで防御力アップハーブを食うかはだいたいわかった。そのため、2回目で比較的楽にクリア出来た。

 終盤のゾンビやらイビーやらがごちゃごちゃ出てくるところは、わざと掴まれてサブウェポンで強行突破した。いちいち倒そうとするより、その方がてっとり早い。


 豆腐は、オリジナルと"Re:2"だとナイフの役割が異なるため、プレイ感覚がだいぶ異なる印象。"Re:2"の豆腐は、要所でわざと掴まれに行ってナイフをぶっ刺すゲームになっている気がする。未クリア。


 無料追加DLCの"Ghost Survivor"も覚えゲー。いい加減、同じことの繰り返しで嫌になってきたので、まだきちんとプレイしていない。



 実績のエコロジスト(14000歩以内クリア)、エコノミスト(回復アイテム不使用)、ミニマリスト(アイテムボックス不使用)は、レオン裏、クレア表をクリアするついでに解除した。これらはアシステッドだと簡単で、一気に3つ同時に解除することも可能だろうが、私はミニマリストだけ別にクリアした。エコロジストを解除するには無駄なアイテムを取りに行きたくないが、ミニマリストを解除するならバックパックは全部取っておきたいため。

 これら実績を解除する際、アシステッドでのプレイで、クリアタイムはレオン裏、クレア表ともに2時間15分程度だった。つまり、ハードコアでSランククリアしようとすると、アシステッドと同じペースで進める必要があるわけである(ハードコアSランクの条件は、表は2時間30分、裏は2時間)。なかなか厳しい。


 ハードコアは攻略中だが、さすがに攻略手順を知っていて、独特の謎な操作性にも慣れ、かつ、無限ナイフありだとだいぶ楽。特に無限ナイフがあるだけで初回プレイとは全くの別環境。ゾンビを掃討しても弾が余る。初回とは比べものにならない。

 無限武器に興味はない。私はアドベンチャーゲームのタイムアタックは好きではないし、このシリーズで無限武器を取っても使った例しがない。



 原作は英語音声、日本語字幕のみだったが、"Re:2"には日本語音声がある。私は英語音声でプレイした。やはり『バイオ』は英語音声の方が雰囲気が出るだろう。たぶん。

 日本語音声でどうなっているかは知らないが、英語音声だとクレアの言葉遣いが悪くて面白い。



 総評は、『バイオハザード2』のリメイクだと考えると、旧作の良さがことごとく潰されているので納得がいかない。別物ゲームとして捉え、かつ、オリエンテーリングがメインのゲームだと考えれば、そう悪くない。



[2021.04.26 追記]

 レオン表をハードコアでクリアした。ランクSは狙わず、備品保管所のバックパック、マグナム、マグナムのカスタムパーツ、隠し燃料を取って、クリアタイムは2時間50分。

 G1はナイフで戦うと驚くほど楽なのだが、ハードコアでも楽だった。銃で戦うとめちゃくちゃ弾を消費する。完全なる初心者殺しの罠である。

 バックパック、マグナム、燃料を取らなければ時間短縮できるが、かなり厳しくもなる。レオンはボス戦でマグナムか火炎放射器のどちらかは欲しい。ショットガンだけだと弾が足りなくなりそう。

 クレアだとこの辺の時間のかかる探索を省略しやすいから、タイムアタックをするならクレアの方が有利かもしれない。やるつもりはないが。


"The Ghost Survivors"もクリアして「保安官の意地」を解除した。リハーサルは練習用とのことだが、敵やアイテムの配置が本番とは異なるため、あまり練習にならない。結局は本番を何度もプレイして配置を覚えるしかない。


 狭いコンビニで100体のゾンビを倒す"No Way Out"は、ゲーム中には特に説明がないが、ウェーブの概念があるよう。50体までは10体ずつ、それ以後は20、15、15体と入ってくる。

 たとえば、11体目から20体目までは、早く倒していかないと次々とゾンビが入店してきて大変なことになるが、20体目は始末するまで21体目以降の敵は入ってこないので焦る必要はない、ということ。この仕組みはゲーム中にわかるように表記があってもいいと思う。不親切。

 というわけで、ウェーブの始めは高火力武器を使って早め早めに敵を倒した方がよく、ウェーブ終盤に残った敵はハンドガンなどを使って弾を節約していくと戦いやすい。

 ロケット弾やボンベによる誘爆は、ピンチの時のために残しておく手もあるし、敵の出現順を覚えているなら決め打ちしてもいい。私はそういう面倒くさいことは覚えたくないので、わりと適当にやっている。ロケットは最終ウェーブまで温存して、ウェーブの頭に白い奴めがけて撃つと良さげな感じがする。


 ハンドガンの使用を60発以内に抑えると無限弾薬が手に入るらしいが、例によって取れる人には無用の長物なので無視。むしろ極力ハンドガンで倒すようにした。



[2021.04.30 追記]

 クレア編ハードコアとランクSクリアを達成し、全実績を解除した。


 クレア編ハードコアは表でプレイ。ランクSクリアは狙っていなかったのでゆっくりプレイしており、備品保管室のサイドバッグやサブマシンガンを取る気で準備していたのだが、タイラントの追跡パターンが悪くてS.T.A.R.Sオフィスやリネン室に近づくことができずに諦めた。結果としてタイム短縮に繋がってしまい、2時間30分クリアできそうなペースになってしまった。結局、序盤でトロトロしていたのが響いて、クリアタイムは2時間36分と少し足りなかったのだが。


 クレアはサブマシンガンがなくても戦える上、地下から下水道にかけてレオンよりも大幅なショートカットができるためにタイムアタックはしやすいが、ラスボスがレオンよりも強いことと、Gの弱点を狙撃できる高火力武器に乏しい点が厄介。

 G3は硫酸弾で足止めはできるが、グレネードランチャーでは決定力に欠ける。結局は何かで弱点を狙わないと倒しきれない。サブマシンガンを取らない場合、強化弾とスパークショットが候補になるが、どちらも弾数が少なく、スパークショットは扱いにくい。そのうえ、G4をミニガンで倒しきれなかったことを考えて、武器を残しておく必要がある。

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