DARK SOULS II (4500字)

 "DARK SOULS: REMASTERED"の記事を書いたついでに、"II"をざっとリプレイした。


 なお、私がプレイしたのは旧版で、"SCHOLAR OF THE SIN"ではない。"SCHOLAR OF THE SIN"の内容は旧版と大差ないが、一部の敵や重要アイテム、NPCの配置が変わるなどしている。



 私が初めてプレイした"DARK SOULS"シリーズは"II"だった。PS3を持っていなかったため、"Demon's Souls"と無印はプレイできなかった。"II"がSteamで買えるようになってようやくプレイできるようになった。


 "II"の最初の印象は最低だった。本気でクソゲーだと思ったくらいである。高難度の死にゲーだとは聞いていたから、難しいことは覚悟していた。しかしこれは、難しいんじゃなくて、単にクソっているだけなんじゃないかと思った。



 "II"のクソっぷりを列挙していこう。


 ロックオンシステムが罠。

 ロックオンシステムの使い勝手が悪いのはこのシリーズの伝統だが、"II"は特に酷い。攻撃中にターゲットが勝手に切り替わって攻撃が空振りしたり、ロックオンにもかかわらず、明後日の方向に攻撃を繰り出して盛大にミスる。

 ロックオンしているのに攻撃が空振る原因は呆れるもので、開発者は親切にも、「ロックオン中でも自由な方向に攻撃できるようにしよう」として、ロックオン中に方向キーを倒しながら攻撃すると、そっちの方向に攻撃を繰り出せるようにしたらしい。

 任意の方向に攻撃したいならロックを外せばいい。ロックオンを使うのは、敵の方向に攻撃を繰り出して欲しいからである。阿呆としかいいようがない。

 "III"ではこのクソ罠システムのオンオフ機能が付いたが、"II"にもアップデートで付けてくれりゃ良かったのにと思う。本当にやりにくい。


 一回のけぞると抜け出せない。

 敵味方共に、のけぞりモーションがあまりに大きすぎるせいで、一度のけぞると抜けることができない。プレイヤーなら地獄に直行、敵ならこっちのスタミナが切れるまで攻撃し放題になる。


 敵の強靱度が異様に高い。

 というわけで、開発者は難度を上げるために敵の強靱度をめちゃくちゃ高くした。そのせいで、多くの敵がカウンターを入れてものけぞらず、逆カウンターを食らってしまう。そしてこっちがのけぞってあの世行きである。

 そのためこのゲームでは、いちいち敵の攻撃が終わるまで律儀に待ってから攻撃しなければならない。テンポが悪い。


 敵の攻撃の一部が強制のけぞり。

 じゃあ、こっちも強靱度を高くして殴ったらいいかというと、そうもいかない。敵の攻撃の多くは、めちゃくちゃ強靱削り値が高いか、あるいはのけぞり確定になっている。

 対人戦はまた別だが、攻略では強靱値の値はあまり意味が無い。重装鎧の価値が相対的に低いと言える。


 いちいち敵を全部排除しないと進めない箇所が多い。

 もともとこのシリーズは多対一が圧倒的に不利なゲームだが、状況によっては強行突破した方がいいこともある。たとえばボス戦で戦力を温存したいときは、敵を回避して素早くボス部屋に飛び込むのも手である。

 しかし本作は強行突破するのが難しく、たいがい場合、いちいち敵をほぼ全滅しないと先に進めない。ボスと再戦したいときなどにテンポが悪い。

 この問題は特にDLCエリアで悪化している。


 霧や吹雪で視界不良の上に透明な敵。

「虚ろの影の森」の一部エリアは霧に包まれており視界不良。そのうえ透明でロックできない敵がいる。何かのアイテムで霧が晴れるとか、ロックできるようになるといったこともない。クソエリア。

 幸いこのエリアは狭く、たいした用もないが、フロムはこのクソ仕様が気に入ったらしく、DLCで「吹雪」という形で再び使ってきた。

「壁外の雪原」は、マップが頭に入っていれば簡単に抜けられるが、知らないと遭難確実。間違ってソウルなど落とそうものなら回収は困難を極める。


 アマナの祭壇。

 アマナの祭壇は遮蔽物がほとんどない広い空間で、下は浅い水場。追尾性能の高い攻撃魔術を超遠距離狙撃してくる奴と水中に隠れている敵、それから、やたら素早く攻撃が的確な近接の敵が分厚い布陣を敷いてお出迎え。

 それだけでも厄介なのに、水場の多くは深くなっており、入ると死ぬ。どこが落ちるかは松明を焚くと見えるが、松明を持つと盾が持てないし、水場でローリングすると火は消える。


 土の塔の風車。

 土の塔では風車を松明で燃やせば毒の沼がなくなるのだが、ノーヒント。

 設定によると、風車の動力で毒の沼を汲み上げているらしいのだが、エリアの構造をよく見ても、それとわかるような描写はなく、気付きようがない。

 しかも風車は、松明を持った状態で車軸に近付き、調べないと燃やせない。このゲームでは、火矢や火の呪術を当てることで、オブジェクトは燃えるようになっている。なのに風車だけが松明を持って近づいて調べないと火が付かないのである。わかるわけがない。

 結局このギミックは、攻略サイトで事前に知っているか、オンラインプレイしていて「この先松明が必要だ」などのメッセージが書かれていて気付くかのどちらかだろう。


 隠し扉の開き方。

 このシリーズでは、隠し扉は攻撃することで見つかる。しかし本作だけは、壁の前で決定ボタンを押さないといけない。

 それ自体は構わないが、場所によっては攻撃しないと開かないのである。どっちかに統一して欲しい。


 商人の近くに敵が複数。

 これは前作でもあった問題だが、商人の近くに敵がいて、いちいち全部倒してからでないと商談ができない。戦闘中に間違って商人を攻撃してしまったら敵対されるし、巻き添えを食って死なれても同様。


 土の塔を昇った先が熔鉄城。

 熔鉄城は「溶岩に沈んだ城」なのだそうだが、それが土の塔でめっちゃくちゃ高いところまでエレベーターで昇った先にある。

 私は初回プレイではこの問題は気にならず、なんでファンの多くが口うるさく問題視するのかわからなかったが、シリーズをプレイしてから"II"をプレイすると確かに気になった。このシリーズでは、溶岩エリアはデーモンや混沌の魔女の住処であり、地下深くにあると相場が決まっている。なのに高いところにあると違和感がある。物理的にも変だが、シリーズの設定としても矛盾しているのである。


 ボスの多くがつまらない。

 本作のボスは、攻撃が大振り過ぎて楽勝か、事故死しやすい動物系ボスか、単体だと弱いのでとりあえず複数で襲ってみましたの3種類となっている。総じて楽しくない。

 敵の技を見切り、攻略を組み立てて戦うのが楽しいボスは、DLC2の煙の騎士や騎士アーロンくらいしかないかもしれない(逆に言うと、こいつらは楽に勝つ方法がなく、ガチでやりあう必要がある。本作で最も嫌いな人も多いだろう)。

 もっとも、『リマスター』をプレイして、実は無印のボス戦の多くもつまらなかったことがわかったので、これはシリーズ共通の欠点だったようである。"III"になるとこの点は大幅に改善された。


 ……と、実に問題の多いゲームであり、初回プレイ時、私は最初の40時間は何度「このクソゲーが」と言ったかわからなかった。途中でやめようとすら思った。こんなクソゲーを真面目にプレイする必要があるのか? と自問自答した。


 今回再プレイしたときも、初めの数時間の印象は最悪だった。そういえば"II"ってクソっていたよな、シリーズ最低と言われるのも無理ないなと改めて思った。



 しかし、不思議なことだが、終盤までプレイしていくと、そのクソさがだんだん気にならなくなっていく。これは初回プレイでもそうだったし、今回もそうだった。


 その理由は、ある程度レベルや武器の強化度が上がってくると、快適性が増すからだと思う。

 このゲームは、特にレベルが低いときはじりじりとした攻略を強いられる。チマチマした戦い方をすることになって、本当に心底つまらない。

 しかし、レベルが上がってくると攻撃力やスタミナが上がるので、敵を片付けるスピードが上昇する。そうなってようやく、このゲームが本来あるべき適正な状態になるわけである。

 そして、まあまあまともなプレイ体験ができるようになってくると、このゲームの良さも見えてくる。



 "II"のいいところは、死んでいる武器が少なく、どの武器もまあまあ使えること。また、両刃剣などの本作にのみ登場する武器種や、武器の組み合わせによって変化する二刀流のモーションの変化など、いろいろ面白いシステムが用意されている。

 そのため、自分好みの変わった武器で攻略することもできるし、使ったことのない種類の武器を使ったときに、新しい発見があったりもする。いろいろな武器を使ってみる楽しさがあるように思う。


 武器を強化するために必要な石が、シリーズ中、最も入手しやすいこともそれを後押しする。無印や"III"だと、武器強化用の石はそこそこ貴重なため、本当に使える武器だけ強化したい。しかし、強化して使ってみないことには、その武器が使えるか使えないかの判断もできない。使えない武器に貴重な資源を投資してしまうリスクがある。

 "II"はその辺が気軽だし、どの武器もまあまあ使えるから、強化して丸損になることもあまりない。


 ソウルを稼ぐのも簡単。

 本作では篝火に「篝火の探求者」というアイテムをくべることで、そのエリアだけ再周回できるようになっている。もちろん周回するごとに敵は強くなり、獲得ソウルも増えるのだが、このシステムを利用して、ボスの巨人の王をひたすら倒して手早くソウルを稼ぐことができる。

 キャラカスタムをする上でソウルが足りないなら、巨人の王で稼げばいい。


 つまり本作は、シリーズで最もキャラカスタムがやりやすく、幅も広い作品といえる。1周目の終盤に入れば、好きな格好、好きな武器、好きなステータスで遊べるようになる。



 あと、本作はシリーズ中、最もデスペナルティが少ない。

 このシリーズでは、死ぬとソウル(経験値兼貨幣)を落とし、回収せずに死ぬとロストする。

 身代わりアイテムを装備しているとそれを防ぐことができるが、本作では身代わりアイテムを修理すれば再利用可能。しかも修理費は激安。旧バージョンでは1500、現バージョンでは3000。"SCHOLAR OF THE SIN"では15000に値上がりしたそうだが、それもサルヴァに到達すれば関係なくなる。サルヴァには変な木があって、ムチで叩くと嬉しそうな声をあげつつ壊れた装備を修理してくれるのである。

 本作がいかにクソゲーで、クソな理由で死んでも、変態の木をムチで叩けばノーペナルティになる。なので、そんなにマジになって怒ることもない。「絶望を焚べる」本作は、実はシリーズで最も絶望から遠いのである。



 本作は、1周目の終盤(50~100時間程度)までストレスフルなプレイに耐えられる気長な人向けのゲームと言える。どれだけやってもクソなゲーム性にイライラするだろうが、そこを越えると案外気軽に遊べるゲームになる。

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