SFC版『ドラゴンクエストIII』をもう少し真面目にプレイする

 私は最近、『ドラクエIII』が無性にプレイしたくなってwii版『I・II・III』を買ったわけだが、私がプレイしたかったのはオリジナルのFC版であって、リメイク版には興味がなかった。リメイク版は絶対に簡単になっているし、いらない要素が増えているからである。


 実際、SFC版『III』は、ゾーマを倒すまでの道程がかなり簡単になっていたし、性格だのすごろくだの盗賊だのといった余計な要素が付加されていた。私がプレイしたかった『III』はこんなのじゃない。


 しかし、『III』とは別物のキャラメイクゲーとして考えると、それはそれで遊べるゲームではある。

 FC版『III』の目的はゾーマを倒すことであり、ゾーマを倒したら他にすることはないから、勇者一行がゾーマを倒す以上の力を手に入れる必要は全くない。

 一方、SFC版『III』は性格などによって複雑化したキャラメイクシステムの他、クリア後に隠しダンジョンが追加されたり、隠しボスが追加されたりしている。キャラの育て甲斐があるゲームではあるのだ。



 私は1周目は勇者(男)、商人(女)、僧侶(男)、僧侶(男)で始めて、商人を賢者に、僧侶を戦士と盗賊にしてプレイした。

 これは全員ベホイミが使える分厚いパーティー編成なので、ゾーマを倒すまでは低レベルかつ楽勝でいける。勇者Lv29でゾーマを倒してしまった。ついにLv30を切った。フバーハもベホマもなかったが、アホみたいに強い追加装備(吹雪耐性のある鎧や盾があるおかげで、フバーハなしでもゾーマの吹雪ダメージを減らせるのが大きい)と盗賊のエンカウント減少スキル、そして賢者の石+ベホイミのおかげで楽々クリアである。


 しかし、クリア後には様々な問題が生じた。

 まず、このゲームにおける最強防具である光のドレス(守備力最強の上に魔法・ブレス耐性がある)は女性専用のため、男はどうやっても限界がある。クリア後の隠し要素に挑んでもあんまり強くならないのでやり甲斐がない。


 勇者、戦士、賢者は男でも魔法とブレスの両方に耐性を付けられるが、戦士は素早さが低いせいで、耐性を重視すると守備力が下がってしまう。盗賊はブレス耐性のみ付与可能。つまり、男がクリア後に人権を獲得するには、勇者か、賢者か、盗賊から転職するなどして素早い戦士になる必要があるわけである。

 なのに、ウチの男どもときたら、クソ遅い戦士と盗賊。話にならん。

 パーティー唯一の貴重な女性は、よりにもよって賢者にしてしまった。賢者は素早さを上げて水の羽衣と魔法の盾だけで充分耐性が獲得できるのに、光のドレスなんか装備しているせいで、一人だけものすごく分厚い防御性能を誇っている。もはや戦士より丈夫。わけわからん。


 というわけで、やり直すことにした。今度はクリア後のことを見据え、全員女性にしておく。この世界の男は、少なくとも冒険者には向いていない。オルテガやサイモンが志半ばで倒れたのも、きっと男だったからだろう。オルテガの場合は舐めプして1人パーティーの上にバギクロスやライデインなんか使うからMPが尽きてベホマが使えなくなっただけではあるが。


 パーティー編成も、クリア後のことを考えて組んでおく。

 まずは武闘家。男武闘家は呪文やブレスで焼かれ放題だが、女なら光のドレスで耐性が付けられる。FC版と同じ仕様なら、Lvが高いほど会心の一撃が出るはずなので、転職はしない。

 あとは、商人と盗賊。商人はLv20で、盗賊はリムルダールで悟りの書を拾い次第賢者にする。……そう。SFC版では2冊の悟りの書が取れる。

 盗賊は武闘家以上に素早さが伸びるので、賢者に転職するには最適だし、そもそもこのゲームでは盗賊は必須である。盗賊がいないと小さなメダルその他のアイテムの取りこぼしがないかを確認できない。


 このパーティーは、ラーミアを復活させるところまでは何の問題もなかった。

 しかし、バラモス戦で突如として試練がやって来る。

 バラモス挑戦時のLvは勇者26で、1周目のペースから考えて楽勝だと思っていた。しかし、このパーティーには様々な欠陥があった。まず、ベホイミの使い手が賢者しかいないこと。そして、盗賊が何も出来ないこと。攻撃してもダメージは通らないし、回復呪文は覚えていない。薬草じゃ文字通り焼け石に水。

 そして、武闘家に耐性がないこと。1周目は戦士が魔法の鎧+ドラゴンシールドだったから高いHPと耐性防御で余裕だったが、武闘家はHPが低い上に耐性がなく、バラモス戦ではかなり辛い。


 そこで、何の役にも立っていなかった盗賊を外して3人パーティーにした。そして、バラモスさんのお宅でLv上げをして勇者にベホイミ、賢者にバイキルトを修得させた。3人パーティーだと1人あたりの獲得経験値が多くなるのでLvはすぐに上がる。本当はフバーハが欲しかったが、そこまでLvを上げるのは大変なので妥協。


 あとは、武闘家は攻撃、勇者と賢者はベホイミをかけつつ、隙を見て勇者がマホトーン、賢者がバイキルト→ルカニ→スクルトとかける。死亡時の蘇生は世界樹の葉頼み。

 最終的にバラモスを倒せたのは勇者Lv32だった。……はっきり言おう。FC版『II』のシドーより苦戦した。まさかバラモスごときでこんなに地獄を見るとは。


 今回の件で、パーティー編成の重要性を改めて認識させられた。ベホイミの使い手が1人減るだけでバラモス戦の難度は跳ね上がる。


 あと、昔の私がLv37というかなり高いレベルでようやくバラモスを倒していた理由もわかった。当時は勇者、戦士、賢者、魔法使いというパーティー構成で、魔法使いが足を引っ張っていたのである。


 ゾーマ戦では少なくとも賢者の石があるので4人パーティーの方が有利だが、バラモス戦では通常、ベホマラーやベホマズンは覚えていないので、すぐ死ぬ仲間がいるなら外して戦った方が有利になる。

 仲間に回復呪文の使い手がいないなら、いっそ勇者と戦士の2人パーティーの方がいいかもしれない。ベホイミの使い手が1人だと、3人を回復しつづけるのは困難である。


 ところで、2周目でようやく気付いたが、SFC版のバラモス君は、自分のことをちゃっかり「大魔王バラモス」と称している。あまりに自然に言ってのけているので1周目には気付かなかった。

 調子こいてうっかり口が滑ったのだろうが、ゾーマ様を差し置いて勝手に大魔王を僭称するとはいい度胸である。そんな態度だからちゃんと蘇生してもらえず、骨だけの姿にされてしまったのかもしれない。



 バラモスを倒してアレフガルドに行けば、あとは簡単。賢者が2人なり、武闘家に光のドレスを着せれば、このパーティーの不安材料はなくなる。バラモスよりもゾーマ戦の方がずっと楽だった。



 このゲームは最終的には、光のドレスと破壊の鉄球というふざけた最強装備(勇者の装備一式より強い)が無限に手に入るようになるので、これらが装備できる女の戦士、武闘家、盗賊、賢者を最終職業にするのがいい。

 ただし、これらの装備を買い放題にするには隠しボスを倒す必要があるので、これらの装備なしでも戦えるパーティーを組む必要がある。このゲームにおいて盗賊が最強と言われるのは最強装備を手にした状態を想定してのことで、破壊の鉄球なしだと火力が低すぎて非常に厳しい。



 なお、wii版でクリア後の隠しダンジョンに行くには、ゾーマ戦前に冒険の書を記録しておき、ゾーマを倒してエンディングで"The End"が出たらそこで中断セーブして終了し、冒険の書からやり直せばいい。冒険の書の名前に「ロト」と付いていたらOK。

"The End"が出た後は何も操作できないので、その状態で中断セーブするのは変な感じがするが。



[追記]

 さらに真面目にプレイしてみてわかってきたことだが、実はグループ・全体攻撃の武器は会心の一撃が出ないらしい。つまり、破壊の鉄球を装備すると、武闘家の一番の特徴が失われてしまう。これはいただけない。


 こうなると、破壊の鉄球が本当に最強の武器と言えるかは疑問符が付く。結局、戦士は魔神の斧、武闘家は魔獣の爪を使った方が強いんじゃないのか? 破壊の鉄球は盗賊や賢者向きの武器なのかもしれない。単体用の武器と破壊の鉄球を両方持っておいて、敵によって使い分けるべきなのか? 思ったよりも奥が深い。

 一方、防具については考える余地はない。光のドレスが最強なのは疑う余地はない。


 なお、バイキルトを使った際も会心の一撃は出なくなるから、バイキルトを使う前提での戦闘なら攻撃力重視で武器を選んで問題はない。



[さらに追記]

 ゾーマ城まで行けるようになれば、Lv1からLv30くらいまではすぐ上げられるようになる。一方でLv40台からはそう簡単には上がらなくなり、成長が停滞する。

 つまり、ひとつの職業に固執するよりも、転職して複数の能力を獲得した方が有利になる。


 このゲームにおける、一応の最強キャラ育成パターンが見えてきた。最初の職業はなんでもいいから、性別は女で、最終的に賢者から盗賊に転職するのがもっとも手っ取り早く万能最強キャラに仕上がるようである。

 盗賊は成長が早いからLv40以降もレベルを上げやすいし、素早さが上がりやすく、MPが伸びるので転職後も呪文を使いやすい。また、ドラゴンシールドを装備できるので、ブレス耐性が高くなる。

 力とHPが伸び悩むのが欠点なので、前衛職並みの物理攻撃力が欲しいなら、性格をおとこまさりかごうけつにしておく必要がある。後衛ならそれほどこだわる必要はないが、HPを増やすためにタフガイか一匹狼にしておくと良さげか。

 装備は、破壊の鉄球、光のドレス、ドラゴンシールド、ミスリルヘルム(不思議な帽子)。素早さが上がるため防具の守備力の高さは重要ではない。なので、不思議な帽子があるならそちらがいい。


 武闘家はLvによって会心の一撃が出やすくなるという特性上、転職することがデメリットになる職業なのが辛いところ。また、バイキルトがかかっているときや破壊の鉄球を装備すると会心の一撃が出なくなる仕様も辛い。MPも伸びないので、転職前に充分な最大MPになっている必要があるのも問題。

 いっそ、会心の一撃への未練を捨てて、力が伸びやすい盗賊みたいなもんとして考えた方がすっきりするかもしれない。ただし、ドラゴンシールドが装備できない分、ブレス耐性は若干低くなる。


 戦士は、MPが伸びないことと、性格をでんこうせっかにしてもなかなか素早さが上がらないのが問題になる。はっきり言って、戦士をでんこうせっかにするのは無意味だと思う。素直にHPや力の伸びる性格にした方がいい。

 戦士を素早くするなら、でんこうせっかの盗賊で素早さをカンストしてから戦士に転職して、星降る腕輪を付ければいい。こうするとなかなかエグい戦士が誕生するが、装飾品で性格を変えられないので、素の性格選びは重要になる。おとこまさり、ごうけつ、タフガイあたりがいいのではないかと思う。

 魔法の鎧とドラゴンシールドを装備することで光のドレスと同等の耐性を獲得できるので、男なら最終的に戦士にするのは一考に値する。男キャラへの未練は捨ててルイーダの酒場に預け、新たに女キャラを作った方がいいとは思うが。


 女が最終職業を賢者にするメリットはあまりないが、後衛役にするなら問題もない。男の場合は水の羽衣が装備できるメリットが非常に大きい。ドラゴンローブの方が防御力は高いが、魔法耐性がないので水の羽衣の方がいいだろう。守備力は素早さで補える。



 神竜は守備力が高い一方で攻撃呪文耐性がないらしく、メラゾーマが普通に効く。攻撃呪文が輝く数少ない機会である。

 このゲームはもともと攻撃呪文の出番が少ないが、SFC版ではボスのHPが高くなったことから、ますます出番が減った。後衛が攻撃呪文で攻撃するよりも、回復や補助に回った方が安定するからである。SFC版ではゾーマにメラゾーマが効くようになっていたが、前衛の攻撃も同じくらいダメージが通るので、だったらノーコストで連発できる方がお得である。

 一方、神竜は守備力が高すぎて物理攻撃が通りにくい上、ターン制限があって早く倒さなければならないから、バイキルトから攻撃する手間をかけるよりも、メラゾーマを連発した方が手っ取り早い。

 神竜は最終的に15ターン以内に倒さねばならなくなるから、15ターンメラゾーマを撃ち続けるのに必要なMPは180となる。


 ただ、15ターン以内に倒しても、手に入るのはエッチな本であり、そんなもんは必要ないのだが。性格をセクシーギャルにしたいなら、ガーターベルトを装備すればいいだけである。というわけで、通常は25ターン以内に倒せればいい。この場合も、攻撃するよりはメラゾーマ連発の方が早いから、前衛に賢者の石を持たせて、後衛がメラゾーマを撃つことになるだろうと思う。神竜の攻撃パターンにはムラがあり、すんごいヌルい攻撃の時もあるので、その隙を突くなら勇者はギガデイン、前衛は物理攻撃する。

 前衛がフバーハやザメハ、あるいはバイキルトを使えると非常に役に立つが、必要となる機会は神竜戦くらいしかないから、それだけのために修得させておく手間をかけるべきかは微妙。



 商人を生け贄にして町を作るイベントだが、SFC版ではあの後、商人が仲間に復帰するイベントが追加されていた。FC版ではどうでもいい商人を適当に作って生け贄にし、オーブが手に入ったら存在すら忘れられる不遇の存在だったが、仲間に復帰するようになったことで、自分の作った町を歩いて専用セリフを聞けるという特権に与れるようになった。

 つまり、あえて一時期3人パーティーにして、後に商人を復帰させるというロールプレイも可能になったわけである。たとえば、初期パーティーに商人を入れておいて町に預け、3人でバラモスを倒す。そして、リムルダールで悟りの書を手に入れたら迎えに行って、賢者にするとか。

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