第3話 ⑥


 日本選手権大会の結果はメダル圏外だったが、高校生ながらファイナリストになったというところを記者たちから高く評価され、俺はついに雑誌に載ることとなった。それと軽い気持ちで、誰かが撮って投稿していたレースの動画リンクを貼ったツイートを拡散した翌日、学校へ行くとクラスの皆からスゲェスゲェとチヤホヤしてもらえた。

 ははは、なんか気分が良いなぁこういうの。昔の俺は部活の成績で全く注目も期待もされなかった。三段跳びのT橋やマイルリレーのメンバー、個人競技に加え駅伝もあったもりまい、そして400mの後輩Ⅿ下。陸上部では大体彼らが注目されてばかりだった。競技成績が部内でもドベクラスだった俺は、注目や期待、憧れなんかはいちばん縁が無かった対象だった。

 今じゃあ俺は、注目と期待が集まるエース君だ。あの速く走るセンスがからっきしだった愚図が、人生をやり直したらハイスペック人間へと変わっている。皆から凄い凄いと称えられている。

 これこそが、俺が求めていた、夢見ていた世界!何かで凄いレベルになって上に立つ、そんな男になりたかった。ずっとそんな自分を妄想してばかりの人生だった。

 たとえこれが神みたいな奴からもらった不正な恩恵のお陰だろうが構わない。偽りの力でも良い。それでも俺は上へ行きたかったのだから。才能ある奴が見ている景色ってやつをこの目で見てみたかったんだ。たとえズルしてでもだ!

 だから俺は躊躇わない。引継ぎというチート性能を使って上へ行くことになんの遠慮もしない。これからも俺は存分にズルしまくって上へ行ってやる!!



 全国IHまでの間にもそれなりに大きな試合はあった。国体予選でもある大阪選手権大会。その少年A部に100mで出場。国体には短距離種目は100mか400mしかないからな。久々に100mでデカい試合に出ることにした。

 10秒30を出して1位を獲り、見事国体への出場権を獲得。いつの間にか10秒前半台のスプリンターへと成長を遂げていたことに喜びを感じられる。

 さらに学区内の小さな記録会で400mも走ってみた。48秒10だった。当時部内で400m最速だったⅯ下よりも速くなっていた。彼は少し悔しそうにしていたな。スマンな、ズルして得た力だから気にするな。


 といった小イベントを色々挟んだ後、またあの夏がやってきた。

 7月30日からの5日間、俺にとっては3度目の全国IH。場所は大分県。

 当時の俺はこの全国IHに応援で来ないかと顧問から誘われていたのだが、その時の俺は予備校や模試があるとかを理由に、愚かにもマイルメンバーやT橋の輝かしい全国での競技を観に行って応援しなかったのだ。

 あの時のことは数年経ってから後悔したなぁ。受験勉強なんか後でいくらでもできたろうに、何故1度きりしかないあの時間を、あの機会をみすみす捨てるなんてことを選んだのか。愚かにも程があったわマジで。

 ま、今回は応援どころか選手としてこの大分にやって来たんだけどな!暴れてやるとしますか!


 1日目から3日目までの間は競技が無いので観客としてスタジアムに入り浸った。400mでは後にオリンピックのマイルメンバーに選ばれる男が優勝。46秒前半台だった。その翌日の100mでは柳生が大会新を出して優勝。2位には大池が入った。さらに3日目には4継リレーの決勝があり、アンカーを走る柳生が怒涛の5人抜きを実現させてチームを優勝に導いた。


 そして4日目でいよいよ200mの出番がきた。本来なら柳生がこの種目でも優勝して3冠を達成することになっている。だが今回は、悪いけど阻止させてもらう!!

 予選...21秒10で組1位通過。

 準決勝...21秒00で1位通過。火吉に勝った。

 そして決勝。去年のこの舞台にいた柳生、大池、火吉。この3人とまた走れることに嬉しさを感じている。かつての俺にとってこいつらは雲の上の存在だった。俺の脚じゃ届かないレベルの奴ら。

 そんな奴らとこうして競い合えるのだから、ズルした甲斐があったと思う。まぁいけないことなんだけどな。

 選手紹介が終わってスタートブロックに足をかける...号砲の音を合図にスタート。

 カーブを駆ける、加速していく。俺はアウトコースの方で走ってるから後ろから足音がたくさん聞こえてくる。3人のライバルたちが迫ってくる。

 直線に入ってトップスピードまで加速。あとは余計に力を入れることなくそのままの力で走るだけ。柳生がきた。先頭へ行こうとする。並ぶ、競る、張り合う。そしてゴール。この時は少なくとも柳生の背中が目の前に映ってる、なんてことはなかった。ほぼ同着かどうかも分からない。



 「速報、優勝したのは......7レーンを走りましたNNS君、桜ノ宮高等学校 大阪!!

 タイムは 20秒65!大会新記録です!!」



 悪いけど、チート使って勝たせてもらいましたわ。


 なんてことはもちろん心の中だけで呟く。やっと学生の中で日本一になれたな。とりあえずはここからが俺の伝説の始まりってことで。「柳生の3冠を阻止」した男...から始めようか。

 因みに柳生のタイムは20秒66だった。

 

 そして残るはマイルリレー。予選は俺抜きでのメンバーで走った。それでも十分速く、予選を突破。翌日俺を入れたフルメンバーで準決勝に臨んだが、全国のレベルは凄まじいもので、惜しくも決勝には行けなかった。終わった後、H本やⅯ下が泣いていた。俺も少し泣いた。決勝に行けなかった悔しさもあるが、高校でこいつらと一緒に走るのがこれで終わりなんだという事実の方に俺は涙してしまった。

 こうして、日本陸上競技界に十分爪痕を残しての俺のインターハイは幕を閉じた。

 とても充実した3年間だった。昔とは比べ物にならないくらいの楽しい競技人生だった。こういう人生を送りたかったとずっと思い続けて生きてきた。それが叶った。高校生の時に散々味わってきた劣等感や後悔を払拭できた気がした。




 「まずは、おめでとう!全国で優勝とかホンマ凄いわ!NNSならスポーツ推薦でどこでも行けるけど、受験するねんな?」

 「ありがとう。そう、俺普通に受験して大学へ行くわ。というわけでまた色々情報交換といこっか」


 インターハイが終わってからの夏休みは、受験勉強すると皆に宣言した裏で、自室や色んな所で娯楽に浸る生活を送っていた。もちろん部活にも参加して練習しているが。

 夏休みのある日、約束していたもりまいとの勉強会をカラオケルームで行った。赤本や最近の入試シーズン事情について色々情報をやり取りして、それが終われば何か雑談しながらのカラオケ遊びをする。ちょっとしたデートだ。

 そしてこの日は、特別なイベントが起きた。


 「え...?NNS?ここで...?」

 「ここ以外でどこでやるんだよ。というか、嫌だったら今すぐ出て行っていいよ。今後は二度としないって約束するから」

 「ううん。こういうことは、NNSなら良いよ。シたいなら......いいよ」

 「感謝!(モミモミモニュ、さわさわ......)」

 「あっ、ひゃ...。そこ......っ。んん!」

 

 目標だった「好みの異性とのおさわり・エッチ」が、ついに叶う時がきた。1年の頃からの積み重ねが功を奏し、もりまいが体を許してくれたのだ。前回も胸を触るまではオーケーしてくれたが、今回は最後まで許すとのこと!やったぜ!

 

 「太もも......くすぐったい。胸の次はそこばっかり...」

 「もりまいの脚、俺好きだぞ。いっぱい走って努力してきたこの脚...きれいだ。もっと触っていたい」

 「あっ...♪いやらしい手つきで言う言葉やないよそれぇ...。私も、シてあげるね」


 もりまいの尺八テク、とても気持ちいい。すぐにイってしまって白く汚してしまう。お互い気分が盛り上がり、とうとう繋がった。


 「ああっ💛気持ちいい!おかしくなるううううう...!」

 「今日は完全にハメを外そうぜ!おおお、もりまいの中最高っ!腰が止まらねぇ!」


 仲が良い・親しい異性とのエッチはとても楽しくて気持ちいい。お互い大声でわけのわからないことを叫び合って、同時に絶頂した。


 「おおおおおおおおっ!(ドピュ!)」

 「んあああああああっ!(プシャアアアア!)」


 もりまいの顔や体に俺の白濁汁を犬のマーキングみたいにぶっかけてフィニッシュ。インターハイのレースと同じくらい気持ちいいゴールだった。


 「駅伝、応援するからな。いっぱい」

 「うん、頑張る...♪」


 素敵な夏休みを堪能した後に訪れる2学期。本来のこの時期では俺は受験勉強の虫になっていた。が、今はもちろんこのルートでのいつもの自分と何も変わらない贅沢でやりたい放題の日々を送っている。したくないことは一切しない。勉強なんか1秒もしていない。そんなのしなくても俺は大学に受かるから。

 夏休み明けの模試は全教科9割。満点は流石に取らなかったが。今の俺はスポーツでも勉強でも自由に大学を選べる立場になった。苦労などしないで勝ち組の将来を確立する。誰もが憧れて妄想したであろうこのルートを俺はものにした!

 

 最っ高だ!!!


 というわけで残りの高校生活もそれはそれは楽しく自由なものだった。





 「はっはっ...!ああっそこぉ💛もっと突いてぇ💛」


 Ⅿ中ともエッチした。前回の絡みが彼女との距離をさらに縮めて、ついには体を完全に許してくれる仲に出来た。Ⅿ中の中はとても良かった。ガチムチ体型なだけにあそこの締まりも凄くよくて俺のイチモツが常にギュウギュウと刺激されてメチャクチャ昇天した。

 さらにⅯ中もけっこう性欲が強いみたいで、3回戦までイった。終わったころには彼女はほぼ全身白い液体に汚されていた。


 「はぁ......凄かった。最後はずっとイってたかも...。また、シたいなぁ💛」

 「とても良かったよⅯ中。俺もまたヤりたいよ」


 Ⅿ中とはセフレ関係になって毎週1回以上エチエチした。それが原因かどうかは知らないが、ソフトボール部は国体で優勝した。Ⅿ中がかつてない程の凄い活躍を見せたそうだ。俺も国体では高パフォーマンスを発揮して、100m10秒20台をマークして入賞した。

 




 「うおーー!ホラーナイト今年も来たー!ゾンビが歩いてる、リアルやなー!」

 「普通に歩いてるだけでも楽しめるよなー夜は。じゃあホラー化したアトラクションへ行こか。今年はジョーズがホラーになってるそうな」

 

 10月のある日には、推薦で大学を決めた里砂ちゃんとユニバデート(俺はそのつもり)をした。お互いユニバ通だということもあって、かなり楽しめた。ユニバのホラーナイトはこの年から大体4年間はくっそ楽しかったなー。呪怨とか貞子のコラボは十分楽しめた。


 「は~~~楽しかった。なんか里砂たちがやってたことって、デートみたいやったな。なんて、ね。えへへ」

 「ん?俺は最初からデートのつもりだったぞ?カップル気分でスゲー楽しかった」

 「え......カップル...。そっか、カップルかぁ。うんそうかも。里砂も楽しかった!じゃあまた一緒に行く?NNSの受験が終わった時とか」

 「良いねー。またデートしようや」


 里砂ちゃんともしっかり良い思い出をつくった。まぁエッチまでは行かなかったが、楽しい思い出ができたから良いや。彼女も俺のことけっこう意識してるっぽいし。





 陸上競技で大成功した。女子とも良い思いをしまくった。そして大学受験も難無くクリア。本来は滑り止めの大学へ入ったのだが、今回はちゃんと本命へ入った。同志社大学だ。

 だからそこからの4年間は俺の知らない世界が待っているのだろう。楽しみだ。

 陸上競技もここからさらに大躍進していく。次は世界の舞台だ。


 俺の高校生活は、昔とは比べ物にならないくらい楽しくて、色があって、くっそ充実した3年間だった。

 

 

 




*不定期更新になりますが、もう少しよろしくお願いします!

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