進む

 正直、男女比が合わないとか、そんなことはどうでもよかった。


 少し遅めに教室を出たせいで、雨が降ってきてしまった。傘は持ってきていないが、まあ差さなくてもいいや、と思える程度だったから、走って帰る。


 僕は片想いをしている。さっきカラオケに行った2人ではない。可愛いとは思うし、もし付き合えるなら、嬉しい話だ。

 でも、僕にはそれ以上に優先したいことがあった。

 

 家に着くと、私服に着替えて、傘を持ち、電車に乗り、ある人の家に向かった。

 僕の想いが、彼女に届くかはわからない。同じクラスの人と上手く関わっていけば、彼女は案外簡単に作れるのかもしれない。

 でも僕は彼女に会いに行きたかった。

 ノリの悪い奴と思われたかもしれない。それでもいい。

 彼女とずっと一緒にいられるのなら、友だちなんて要らないとすら思える。

 彼女の家のある駅を出ると、雨は上がっていた。


 選択肢なんかいらない。初めから心の奥底で一つに決めているのだから。


「あ、今日あの人まだ学校だった……」

 


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