第3話 この騒がしいギルドにリア充を!
「ここが異世界かぁ!」
近代ヨーロッパみたいな街並みに俺は感嘆していた。
俺は遂に異世界にやってきたんだ!
こんなにワクワクすることはないぜ!
「私にとっては見慣れた光景だわね」
隣のアクアがさも普通そうに言う。
まぁこいつはしょっちゅう来てるらしいし当たり前か。
でも俺にとっては初めての異世界!
楽しみで仕方がねぇ!
「俺はこれからここでハーレムを作るのか!楽しみだなぁ!」
「何言ってるのあんた。知ってる?この世界ではゴミクズみたいな人間の方が何故かモテるのよ」
「はぁ!?どうゆうことだ?」
早速怪しいぞこの世界。
「カズマさんみたいなヒキニートでもお嫁さんが貰えるし、チンピラの鏡みたいな男も嫁を貰えるほどこの世界はおかしいわ」
「えぇ……」
兄貴がモテるとかこの世界おかしい。
日本では圧倒的に俺の方がモテたのに。
「まぁでもカズマさんはたくさんお金を稼いでるっていう部分もあるわね」
「なんだよ結局金じゃねぇか!」
金かよ!まぁ兄貴は悪知恵だけは回るからな。
そんなこんなでアクアと話していると、一際大きな建物にたどり着いた。
すると、アクアが楽しそうに説明してくれた。
「ここが冒険者ギルドよ!ここで冒険者になることが出来るの!早速いきましょう!」
「は?ちょっと待てよ!」
早速扉を開けたアクアはずんずんとギルドに入っていく。
見知りなのか、そんなアクアに近くの冒険者らしき人が声をかけていく。
「アクアさんちーす!」
「今日も盛り上げてくれよなー!」
「花鳥風月待ってるぜ!」
俺は特に説明も無しにずんずんと歩いていくアクアについて行く。
こいつ、自己中だなおい。
挨拶ひとつひとつにしっかりと挨拶を返すアクア。女神だから多少は頼られているのだろうか。
ある1人の冒険者が声をかけた。
「おい!宴会プリーストじゃねぇか!ちょっと1杯やらねぇか!カズマの奢りでよ!」
チンピラっぽい冒険者がアクアに声をかける。
が、やはりアクアはしっかりとそれに対応する。
「いいわね!だけどごめんね。今ちょっと忙しいから1杯だけいただくわ!」
1杯は貰うのかよ。
チンピラからジョッキを受け取るとアクアは一気にあおり、飲み干した。
そして一言。
「ぷふぁー!やっぱシュワシュワは最高ね!すみませーん!シュワシュワもう1杯持ってきて頂戴!」
そう言うと楽しそうなアクアはチンピラの向かいに座り、酒盛りを始めた。
「おぉ!さすが宴会プリースト!いい飲みっぷりじゃねぇか!」
「ええ!シュワシュワは最高だもの!今日もじゃんじゃん飲むわよー!あ、カエルの唐揚げも追加でー!」
その声を筆頭に多くの冒険者達が集まってくる。
「おい!俺も混ぜてくれよ!」
「何?カズマの奢りだって?んじゃ遠慮はいらねぇな!」
「私も飲むわよ!入れなさいな!」
冒険者達が酒を飲みまくり、騒ぎ、暴れまくるこの現状。その中心にいるアクアは椅子の上に立ち、何やら始めた。
「んじゃ、いつものいくわよー!花鳥風月!」
我慢ならなくなった俺は、なぜの芸を披露するアクアに叫んだ。
「おいてめぇ!俺を放置すんなや!何飲んだくれてんだ!」
すると、もう既に頬が赤いアクアは笑いながら俺に言ってきた。
「そこに胸が大きいお姉さんがいるから適当に話しかければしてくれるわよー!それじゃ!花鳥風月ー!」
「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」」」
完全に人任せにするアクア。
俺を気にせず盛り上がる冒険者。
そして、放置された俺。
この世界はダメかもしれねぇ……。
この騒がしいリア充にも祝福を ななし @nanashi_39
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