第2話 このチートで異世界転生を
「要するに恋愛も何も出来ない地獄みてぇな天国に行くか、異世界転生するかってことか?ビッチ女神」
「なぁ簡単に言えばそうだわね。あとビッチ女神はやめなさいよ。水の女神よ」
俺はこのアホそうな女神から死後の選択肢について説明してもらった。
選択肢としては2つ。
天国にいくか異世界転生するか、だ。
まぁ、恋愛もエロい事も出来ない天国に行くくらいならもう決まっている。
「んなもん異世界転生するに決まってんだろ」
俺は当たり前の選択肢を青ビッチ女神に伝えた。
どう考えても異世界転生に決まってる。
エロい事できるし、異世界転生といえばあれだろ?魔王倒してハーレム作れるやつだろ?やるに決まってる。
「ま、それが妥当だわね!」
ビッチ女神もうんうんと首を縦に振っている。楽しそうだなあの女神。
「んじゃ、さっさと連れてってくれよ。ビッチ女神」
「いいけどその前に1つ、あなたに女神の加護を与えましょう。あと私はアクア様よ」
「はぁ、女神の加護ねぇ…」
胡散臭いことを言い出すビッチ女神アクア様。なんだよ女神の加護って。
気になったので俺は聞いてみることにした。
「なぁビッチアクア様。女神の加護ってなんだよ」
するとビッチアクア様は、手に持っていた束になっている紙を目の前にぶちまけて言った。
「要するにチートよ!あなたに他の人にはないような最強の能力、スキル、武器防具を授けましょう!あとビッチは余分よ」
俺は目の前にぶちまけられた紙を1枚1枚目を通していく。
「ふむふむ。『最強魔剣の使い手』、『無限の魔力の持ち主』、『どんな攻撃も無効化する防御結界』ねぇ。なぁアクア。『どんな女性も魅了するハーレム能力』とかないのか?」
「ないわよそんなもの。あなたは一体何しに異世界に行くのよ。あと様をつけなさいな」
ちっ。異世界でハーレム作ろうと思ったのに。
どうせ異世界いくならすげぇ強くて便利な能力が欲しいので慎重に考える。さっきからアクアが「似てるようで似てないわね」とか「声はそっくりだからびっくりしたわよ」とかボソボソ呟いてるが無視だ無視。
俺が慎重に考え込んでいたら、アクアは呟くことはやめ、だるそうな声で言ってきた。
「ねぇ〜早くしてくれないかしら。早く戻らないとダクネスとめぐみんに怒られちゃうのよ」
こいつ、人が真剣に考えてる時に!
てかダクネスとかめぐみんとか誰だよ。
めぐみんに至っては名前からして頭おかしそう。
イラッとした俺は慎重に考えるのをやめ、アクアに聞くことにした。
「おい。1番いいやつどれだよ。ほら、女神のオススメみたいな?魔王倒せそうなやつ」
するとアクアはキョトンとした顔で言ってきた。
「魔王ならちょっと前に倒されたわよ。」
「はぁ!?」
何それ!
魔王がいない異世界とかそれもう異世界じゃねぇ!
それより俺の勇者マサトハーレム計画がァ!
やる気を無くした俺はアクアに再び尋ねる。
「んじゃ、あれだ。女にモテそうなやつ。」
俺はそう尋ねるとふと思いついたアクアへの仕返しをすることにした。
散々バカにしやがって。
ちょっとくらい見返してやる!
「もしくは、アクア。お前が欲しい」
こう言えば大抵の女は落ちるのだ。
俺が日本で鍛えたイケメンだからできるモテ術である。
さぁどうだと心で言いながらアクアを見ると、なぜかアクアは笑いを堪えていた。
と言うよりは懐かしむような微笑みを浮かべていた。
そして、アクアは言った。
「あなた達兄弟はやっぱりよく似ているわね」
兄弟?
ってことはもしかして…。
「アクア。お前もしかして兄貴を知っているのか?」
アクアはその微笑みをそのままに少し胸を張って言った。
「まぁね。カズマさんもここに来たし、私が色々お世話してあげたしね!ほんとにダメ人間なのよあのくそニート!」
この女神もあのヒキニートには随分と苦労したらしい。
ま、その大変さは俺が1番よく知っている。
親戚が来ても、大晦日もお正月も、兄貴は部屋から出てこなかったからな。
そんなことよりだ。
「ってことは、兄貴も異世界にいるのか?」
そう言うと、アクアはさも当然のように答える。
「ええ。毎日楽しそうに過ごしているから安心しなさい!あのヒキニート、最近は家に引きこもって自堕落な生活を送っているわよ!」
そして、アクアは少し悲しげな瞳で付け加えた。
「素敵なお嫁さんももらって、ね」
「………は?」
兄貴に……お嫁さん……?
嘘……だろ……?
「おい今すぐその嫁に言っといてくれ。今すぐ離婚しろって」
「私には無理だわよ。お嫁さんのほうがカズマさんにベタ惚れだからね」
何その人。男見る目ないの?
あのヒキニートだぞ?
あれにお嫁さんが……。
「アクアさん!俺にチートをくれ!あの兄貴ぶっ飛ばしてくる!」
俺は思いっきり立ち上がるとアクアを急かす。
有り得ねぇ!あのくそニートに負けるのは嫌だ!
「わ、分かったから落ち着けなさいよ!色々まだやることがあるのよ!」
アクアに押しとどめられ、俺は座り直す。
するとアクアは簡潔に説明をし始める。
「あなたに与えるチートは『最速の剣士』よ。」
そう言うと、アクアは散らばっている紙から1枚拾い上げ、手を添える。
すると、俺の頭上から1本の日本刀がおりてきた。
俺は流れでその刀を手に取る。
鞘にしまってあるその刀は光輝き、妙な光沢を放っていた。
「これってなんすか?」
俺の問いに、アクアは答えた。
「あなたの武器よ。チート能力としてはその刀を使用した時の自身の速さ、俊敏力が大幅アップするわ。剣の技術や力ではないからそこは勘違いしないでね。」
なるほど。だから『最強の剣士』ではなく、『最速の剣士』なのか。
なんだよ最速の剣士って。
でも、なんかかっこいいからこれでいいか。
「ありがとうアクア。んじゃさっさと連れてってくれ。」
「せっかちね。まぁ分かったわ。あ、言語を習得する際に副作用でバカになるかもしれないから気をつけてね」
そう言ったその瞬間、2つの巨大な青白く輝く柱が現れた。
するとアクアが、胸を張って言ってきた。
「しばらくは私がフォローしてあげるから安心してちょうだい!」
正直、不安しかねぇ…。
でも、こんな綺麗なねーちゃんと冒険できるなら我慢するか。
「分かったよ。しばらくの間よろしくな。アクア。」
「ええ!任せてちょうだい!」
その声を聞いて、俺は青白く輝く柱のような門に飛び込んだ。
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