この騒がしいリア充にも祝福を
ななし
第1話 この恥ずかしい弟にも転生を。
俺の名前は佐藤雅人。
高校2年生。
兄が死んでから約4年ほど経っている。
あの引きこもり兄貴がクソダサい死を晒してから4年である。
今は天国で楽しんでるのかな?
そんなクソダサい引きこもりの兄の弟が俺がである。
そんな俺が今何しているかと言うと、
「雅人くん!次はどこでデートする?」
彼女と手繋いでデートしてました。
うひょー!残念だったなぁ!俺は兄貴とは違うんだよ!クラストップカーストに君臨するリア充なんですよぉ!あんな引きこもりニートと一緒にされては困るんだよ!
「そうだな。お家デートとかどうだ?」
「えーお家デートしちゃうのー?」
俺の彼女の御剣美咲は、そう言いつつも満更でもなさそう。
これはいけるな!
俺は極力イケメンになるように眼力を強くして言う。
「もうそろそろ、いいだろ?」
「……もう、しょうがないな!」
頬を赤らめてちょっと嬉しそうに言う美咲。
きたぜぇ!念願のお家デート!
俺はこの時を待っていた!
兄貴は童貞のまま儚く死んだけど俺は違う!
ちゃんと卒業してから死ぬんだよ!
はっ、天国で兄貴が泣いてるぜ!
信号待ちで止まる俺たち。
雑談はまだ続く。
「お家デートするのはいいけどどっちの家でやる?」
もうやるって言っちゃってますね。
これは帰りに薬局寄らないとなぁ!
「俺ん家でいいよ。親帰るの遅いし」
「ん。りょーかい!」
嬉しそうに微笑む美咲。
おそらく俺の頬も緩んでいるだろうな。
俺は嬉しさをぶつけるように足元の石を蹴ろうとする。
が、石にミートせず、俺は地面を思いっきり蹴ってしまう。
「うおっとぉ!」
その拍子にバランスを崩し、俺は前のみれにつんのめる。
そのため車道へと出てしまう。
それだけなら良かったんだ。
そこにタイミング悪く、トラックが通りかかり。
更には手を繋いでいた彼女も犠牲になる。
結果。
「きやああああああああああ!!!」
俺たちは2人揃ってトラックに轢かれた。
◆◇◆◇
「………う……んー…」
……ここはどこだ?
目の前には真っ暗な空間に光輝く椅子が1つ。
……まじでどこだ!?
俺が困惑していると前からとてつもなく綺麗な女性が歩いてきた。
やがてその女性は、目の前の椅子に座ると、同じく椅子に座っている俺に言った。
「ようこそ死後の世界へ。私はあなたを導くためにきた女神です。残念ながら、元の世界でのあなたの人生は終わりました。」
「………………え?」
なに?死後の世界?何それ聞いてない。
え、俺死んだの?嘘でしょ!?
俺は動揺しながら女性に尋ねた。
「お、お姉さん?オレシンダノ?」
冷や汗ダラダラかきながら恐る恐る尋ねる。
綺麗なお姉さんは悲しそうな瞳で答えた。
「はい。残念ながらあなたはお亡くなりになりました。」
「嘘だろぉ!?」
俺は思わず立ち上がる。ガタッという大きな音に青髪のお姉さんはビクッと驚いた。
「ち、ちなみになんで死んだんですか俺」
「え、えーと…。あの覚えてないですか?」
少し言いずらそうなお姉さん。
え、なに?俺どんな死に方したの?
「すみません覚えてないです。」
俺はおずおずと答える。
すると、青髪のお姉さんは死因を語った。
「それはですね…」
超楽しそうに。
「石を蹴飛ばそうとして外して転んでその拍子にトラックに轢かれて死ぬとかー!しかも彼女さんも道連れとか可哀想すぎでしょ!ぷー!久しぶりに面白い死因を見れたわね!うちのカズマさんくらいダサいわね!ぷーくすくす!」
急に本性表しやがったなこの青髪ねーちゃん。
でも思い出した。
そうだった。俺は石を蹴飛ばそうとして地面を蹴って死んだんだったな。それで美咲も道連れ。
確かにダサい。
兄貴に文句言えないくらいダサい。
「地面蹴って死ぬとか!ぷー!」
にしてもこの女。さっきから笑いすぎじゃないか?死後の世界というからにはおそらくこの女は女神かなんかだろうけど。こんなんが女神?人の死をバカにする女神がいるとか知りたくなかったぜ。
「はー!面白いわね!あなた!」
「うるせぇ!この青髪!バカにしてねぇでさっさと俺をどうにかしろよ!」
「いや、ごめんなさいねー!ちょっと面白くって!くくっ!ダメだわ!やっぱ笑えるわよこんなの!ぷはぁー!」
こいつぅ!可愛いだけで中身ダメなやつだ!
俺は未だに笑い続ける青髪ねーちゃんに尋ねる。
「お前ほんとに女神か?偽モンじゃねえのか?」
すると、青髪のねーちゃんは嬉しそうにふんっと割と大きな胸を張って答えた。
「そうよ!私は日本を司る女神、アクア!あなたに死後の選択肢を与える女神よ!」
ふーん。このねーちゃんアクアって言うのか。
名前からしてなんか水属性ぽい名前してんな。
俺はさらに尋ねる。
「んで女神様?死後の選択肢って何があるんですか?」
「そうね。いつまでもバカにしてないで説明しましょうか!」
こいつ、今思いっきりバカにしたっつったぞ。
俺はこの女神に、不信感と不安と不快感を募らせながら、死後の選択肢を聞くことにした。
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