第七話・タマゴ

お兄ちゃんお兄ちゃん。


もっともっとお兄ちゃんの傍に居たいなぁ……。


ボクを受け止めてくれるお兄ちゃん。ボクを可愛いって言ってくれるお兄ちゃん。


大好き……お兄ちゃん……。お兄ちゃん……はぁ……んっ………ぁ……。


ふ、………ぅ………お兄ちゃん………。


……どうしたらもっとお兄ちゃんと仲良くなれるかなぁ……。


………あ、そうだ。コレで、お弁当を作ろう。


お兄ちゃんを想って出て来たんだから………これを食べて貰えばきっと……お兄ちゃんの事が好きって事、分かって貰えるはず。


ふふ………そうと決まれば………。


楽しみだなぁ。お兄ちゃんはどんな顔をして食べてくれるかなぁ?


ふふ……お兄ちゃん。早く遭いたいよぉ………。


――――――お兄ちゃん。


「ん?投刀塚か」うん。投刀塚璋だよ。


お兄ちゃん、お昼の時間だけど、ごはんは用意してあるの?


「あ?いや、まだだけど」ほんと?良かったぁ。実はね、お兄ちゃんの為に、お弁当作って来たんだぁ。


「マジ?」うん!だから食べて貰いたくて……お兄ちゃん、食べてくれる?


「あぁ、食う食う」えへへ……ボク、料理が得意だから、こういうので役に立てるの、嬉しいなぁ。


じゃあ、お兄ちゃん。どうぞ。「おう。いただきます」はい、お口に合うと嬉しいな。


「ハンバーグ中にチーズ入ってんじゃん」うん。作るのも簡単だよ。どう、おいしい?「あーうまいうまい」良かったぁ。


ほらほら、他にも食べて?「ポテトサラダも美味いな」黒胡椒入れてるから味にしまりがあるでしょ?


 「んでこれ……卵焼きか」あ……うん。卵焼きだよ。ほら、お兄ちゃん。食べて?


「おう、あー……」………どうしたの?お兄ちゃん。「これ砂糖?それとも出汁?」え?なんで?


「俺甘いの苦手なんだよ」……お砂糖入ってるけど……「あー……悪い、じゃあ無理だ」……なんで?


「え?なんでって」なんで食べてくれないの?ボク、頑張って作ったのに?


食べてよお兄ちゃん。「だから」食べてよ!!「うわッ!なんだよ……」ダメなの?食べてくれないの?ねえ、ボクのを、食べてくれないの?


ねえ、お兄ちゃん……食べてよ、お兄ちゃん!


「……あむ、……うん、これでいいか……」………え、へへ。うん。


ごめんねお兄ちゃん。ボクが一番頑張って作ったのだから……絶対に食べて欲しかったんだ。


 「そうか……なあ、これ……」ん?どうしたのお兄ちゃん?


「これ……何入れた?」なにって……ナニだよ?


「あ?」えへへ……ボクのまごころ。たーっぷり入れたから。


もっともっと食べてね?


 お兄ちゃん。


     



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る