第三話・  ストーカーの正体



 お兄ちゃん!お兄ちゃん!


「どうした?」ま、また!また誰かが付いて来るの!


「またか」う、うん。お兄ちゃん救けて……。


「任せろ」あ……お兄ちゃん、自分の危機になるかも知れないのに……。


 ボクの為に体を張ってくれて、命を張ってくれて……。


 うぅ……格好良すぎて、頭がどうにかなっちゃいそうだよぅ……。


「……正体分かったぞ」あ、お兄ちゃん。


 正体が分かったって……「この人だ」え?……駕与丁先生?


 なんで駕与丁先生が、ボクを追いかけてたの?


 ボク、凄く怖かったんだよ?


「ごめんね」ごめんねじゃ済まされないよぅ!


 追いかけ回されるの、もう止めて下さいね。先生。


「止めて下さいよ先生」「ごめんね」わわ、お兄ちゃんが先生を追っ払ってくれた。


  お兄ちゃん、ボクの為に……。


 うぅ……ドキドキするよぅ。


 これが……恋なんだね。


 ボク、お兄ちゃんに恋をしてるんだ……。


 でも……きっと、ボクがお兄ちゃんの事を好きだなんて。


 きっときっと……迷惑するかも知れない。


 気持ち悪がられるに違いないよ……。


 それでも、ボク。


 お兄ちゃんの傍に居たいよ……。


 お兄ちゃん……ボクと一緒に居てくれるかな。


 お兄ちゃんの好きな人が居ても、それがボクでなくても、気にしないから。


 ただ、お兄ちゃんの傍に居させてくれないかぁ。


  ねえ、お兄ちゃん。


「おい」……あ、お兄ちゃん。


「これでもう大丈夫だぞ」うん、ありがとう。お兄ちゃん。


  お兄ちゃんには助けられっぱなしだね。


 だからお兄ちゃん。今度はボクが、お兄ちゃんが困ってたら、救けてあげるよ。


「気にすんなよ」ううん。ボクがやりたい事だから。


 そうすれば……ボクはもっとお兄ちゃんの傍に居れるから。


「あ?」な、なんでもないよ。


 そうだね、手始めに、今度の厭穢祓いの時、ボクを呼んでよ。


 きっと、役に立つと思うからさ。


「お前が?」うん。怖い物もあるけど、厭穢はへっちゃらだよ。


 だからね、お兄ちゃん。


 僕を連れてってね?


 お兄ちゃんの為なら、ボク、なんでもするから。


 ね?


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