第二話・お礼

 あ!お兄ちゃん!「おぉ、璋か。あれからどうだ?」うん。ボクを追っかけて来る事は無くなったよ。


 お兄ちゃんが傍に居てくれたから、勘違いしたのかなぁ?「そりゃよかった」うん!本当に良かったよ!


 あ。それでねお兄ちゃん。今は一人?「あぁ、一人だな、暇してんだ」だったら……ボクとお茶しない?


「お茶?」うん!お兄ちゃんにお礼がしたくて……ダメかなぁ?


「……良いよ、行こうか」っ!やったぁ!それじゃあお兄ちゃん行こぉ?


「おい、引っ張るな」えへへっ!だって楽しみなんだもん、お兄ちゃんと一緒!!


「……ったく」早く早く!


  嬉しいなぁ。お兄ちゃんと一緒だぁ。お兄ちゃんと一緒に居ると……体がポカポカしてきちゃう。


  ……はぁ……お兄ちゃん。もっとボクと一緒に居てくれると良いなぁ。


 ……あ、お兄ちゃん。ここだよ。この喫茶店。「ここか?」うん!ボクの家も喫茶店やってるけど、常連さんが此処も美味しいよって言ってたんだ。


「へえ、喫茶店やってんのか?」あ、うん。そうだよ。えと、あのね、此処のホットケーキが美味しいんだ。


「そうか」うん、だから早く入ろ?


「へえ、シックだなぁ」ねえお兄ちゃん。

「ん?」お兄ちゃんは何を食べるの?


「あー……ティラミス?」へえ。お兄ちゃんって大人だね。


 ボクはティラミスのコーヒーパウダーが苦手なんだぁ。

「そうか」うん。だからいつもは甘い物しか食べないの。


「ふぅん」……あ!来たよお兄ちゃん!ホットケーキ!


  お兄ちゃんのは後から来るんだね。「……先に食べて良いぞ」え、いいの?


 じゃあお兄ちゃん。先に食べるね。いただきます。はむ……ん~~っ! お兄ちゃん、これ美味しいよ!


「そうか、良かったな」うん!あ、お兄ちゃん!お兄ちゃんも食べて!はい、あーん!


「え?」え?じゃないよ。絶対に食べなきゃ、損だよ。これ。


  だから、はい、あーん。「……あむ」どう?お兄ちゃん?「……美味い」おいしい!?えへへ、良かったぁ!


「お、俺のも来たか」んー? わわ、お兄ちゃんのティラミス、なんだかおいしそうだね。

  

「……食べるか?」え、良いの?「おら、口開けろ」うん、あーん……んぅ……お兄ちゃん大きいよぅ。


「あー、悪い」口周りにチーズが付いちゃった。ボク、口が小さいんだ。

  でも、おいしいね、来てよかったなぁ。


  ………御馳走様。美味しかったねお兄ちゃん。


「あぁ」今日は楽しかったなぁ。

 ありがと!お兄ちゃん。


「おう……そういやさ」……?どうしたの?

「お前の家、喫茶店だっけ?」あ……うん。そうだけど。

「今度、お前の店にでも行こうか?」……あー……うん。その内、ね?

  

 うん。その内。紹介出来たら紹介するよ。

 今は、ちょっとね?

 だから、待っててねお兄ちゃん。


 すぐに、紹介出来る様になるから。

  ……ううん……してみせるから。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る