金髪と最強と首輪
車で移動する間。
八峡義弥は東院一に対して語る。
「お前さ」
「そう暴言吐くけどよ」
「本当にそれで良いと思ってんのか?」
と八峡義弥は問う。
「つまらん説教か?」
東院一は面倒臭そうな表情をした。
八峡義弥は手を挙げて話は此処からだとサインをする。
「お前も大人になれば」
「結婚するだろ」
「だが」
「お前は結婚出来ない」
「断言出来る」
「何故か分かるか?」
八峡義弥はそう問い掛ける。
珍しく東院一は考える素振りをする。
そして口を開いた。
「妾に釣り合う者が居ない」
「簡単な事よな」
「はい違います」
「正解は東院一だからです」
と八峡義弥は言う。
東院一はほう、と頷いて見せた。
まだ喋っても大丈夫そうだ。
だから八峡義弥は話を続ける。
「お前がお前の性格をする限り」
「誰もお前を愛そうとはしないだろ」
「愛が無ければ恋は実らない」
「恋が無ければ愛は実らない」
「簡単だろ?」
「そんな簡単な事が」
「お前には出来ない」
「愛嬌も愛くるしさも無いお前に」
「愛を得る事など難しいとは思わねぇ?」
そう八峡義弥は言う。
その言葉に東院一は笑みを浮かべると。
「知るか」
「妾に釣り合わぬ男など要らぬ」
「しかし」
「もしも処女を捧げて良いと思える者が居るのであれば……」
八峡義弥の頬を片手で掴む。
そして引き寄せると、紅き瞳が八峡義弥を写し出す。
「強引に犯して手籠めにしてやろう」
「妾以外に愛せぬ様に調教し」
「妾以外の命令を聞けぬ様に恐怖で縛り付けてやろう」
「愛など所詮は鎖よ」
「縛られれば解く事は出来ぬ」
「ならば」
「恐怖で縛る事も」
「なんら違いは無いだろう」
「………」
その言葉に八峡義弥は。
強引に東院一の手を引き剥がして言う。
「じゃあ」
「鎖を付ける時には注意しねぇとな」
「ちゃんと支配出来る様に」
「首輪も付けてやるよ」
「ほう?」
「妾にか?酔狂酔狂」
「妄言も甚だしいわ」
「だが」
「縛られるのも悪くはないかも知れぬな」
「支配出来るかどうかは知らぬが」
其処で会話が途切れる。
ぶぅん、と車が動いている。
其処で八峡義弥は運転手に聞いた。
「あ?」
「上等だコラ」
「別にそんな気は無かったが」
「其処まで舐め腐れちゃあ男が廃らぁ」
「んな舐めたきった態度取った事」
「後悔させてやっからよォ」
「ベッドに来いや」
「三秒でイかせてやる」
そう言って八峡義弥は親指を地面に差した。
「ふ」
「無謀な話よな」
「今回の仕事」
「貴様が良い戦果を」
「挙げたら考えてやっても良い」
其処で八峡義弥は、ん、と何か気が付く。
そして八峡義弥は運転する結界師に話を聞いた。
「あのすんません」
「車って停まらない感じ?」
と言った。
この様子では。
まるで八峡義弥も討伐に参加する様な感じだった。
「マジで俺も参加?」
「嘘だろ?」
「ふ」
「厭穢相手」
「妾一人で十分ではあるが」
「しかしそれでは興が乗らぬ」
「そんな時に貴様が現れた」
「少なくとも」
「退屈はせぬだろう」
八峡義弥は叫んだ。
「俺を戦力に数えるなや!」
「俺ァ雑魚狩りと弱い者イジメしかしねぇ主義なんだよッ」
「降ろせッ!降ろしてくれぇ!!」
そう叫ぶがしかし。
車は止まる事無く、目的地へと行くのみだった。
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