第二話 喧嘩腰


 ふむふむ……成程、つまりは八峡。キミは強くなる為には士柄武物が必要。そう言いたいんだね?


「あぁ、強力な士柄武物がありゃ……」贄波先生にも勝てる?うふふ、そんなワケないじゃないか。


 言っておくけど。あの先生は規格外だよ。東院くんや飫肥先生とは違うベクトルでの怪物さ。


 いくら強力な武器を手に入れても、贄波先生との距離は縮まらないよ。


 いや、むしろ慣れない武器を使うから、距離は広がってしまうかな?


「じゃあどうするんだよ」うーん……案外簡単な話だと思うんだけどなぁ。


「どうすんだよ」贄波先生に近づきたいのなら、キミが贄波先生になれば良いだけの話さ。


「あ?」言っても分からないかい?キミはバカだからねぇ。


「喧嘩売ってんのか」とんでもない。むしろバカであればいい。


 無知であればある程に、キミは見識を広めるチャンスがある。


 試しに、贄波先生の動きをトレースしてみれば良い、それがキミの強さに繋がるきっかけになる筈だよ。


「………」おや、おやおや。その顔はなんだい?まるで信じられない様な表情で。


 なんだい、ボクのアドバイスを無視して、強力な士柄武物の方が良いと思っているのかい?


「そうだな」む。なんだい、ボクはキミの事を心配して言ってるのにさ。


「ま、話すだけ話した」なんだい、もう帰るのかい?


「道具小路先生に士柄武物を聞いてくる」そうかいそうかい。


 せっかくのボクのアドバイスを無視するなんて、キミはなんて酷い奴なんだろうね。


「意味分かんねぇ事言うお前が悪い」あぁそうかい。そいつは悪かったね。ならこれで話はおしまいだ。さっさと、先生の所にでも行くと良いよ。


 ボクはここでゆったりと、大好きなどら焼きでも食べているからさ。


「じゃーな」ふーん。八峡くんなんて、知らないや。


 ……………

 

 ……………さて、携帯電話を、と。

 

 ………………やあ道具小路先生、少しお話がしたいんだけど、構わない?


 そっかそっか、それは良かった。それじゃあ、値引きのお話をするね?―――。


 ………ふふ、八峡くん、喜んでくれるかなぁ?

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