祁答院沙耶歌編

第一話 始まり


 おやおや、何処の誰かと思えば、八峡くんじゃあないか。


「あ?」そんなにボロボロになるまで特訓して、何か成果でもあったのかい?


「うるせぇな」あらあら、意固地になっちゃってまあ。


 ん~?うふふ、どうやら何か考え事があるみたいだねぇ。


 だから、特訓に集中できずにボロボロになったんだ。


「見てんじゃねぇよ、帰れ」うふふ、そう邪険にされたら、なんで集中できなかったのか。意地にでも聞きたくなっちゃうじゃないか。


 なんだいなんだい?なにかあったのかい?ボクで良ければ話を聞いてあげない事もないよ?


「どっか行け」んー?つーれないなぁ。せっかく、ボクが聞いてあげてるのに。もういいよ。八峡くんなんか知らないや。


つーん、つーんだ。………「……はぁ」……本当に良いのかい?八峡くん。


「あ?良いっつてんだろうが」またまた~。話すだけ話してみれば良いじゃないか。


 ボクとキミの仲だろう?「どういう仲だよ」うふふ……気になっちゃうかい?


「消えろ」あ~じょうだんじょうだん。冗談だよ、ささ、折角だからお茶でも飲みながらさ


 ほら、其処に自販機があるからお茶でも買ってあげるよ。お茶菓子に……はい、どら焼き。


「……なんで持ってんだよ」うふふ、知らないのかい?ボクはどら焼きが一番の大好物なんだ。


 その大好物をキミにも渡すんだからさ、その代わり面白い話を聞かせておくれよ?


「いらねぇよ」む、どら焼きを邪険にするつもりかい?


 それはいけないね。どら焼きは、とーっても美味しんだからね。


「知らねぇよ」むー。そこまで意固地になるなら、もう知らない。どら焼きもあげなーい。


「そうか、じゃあな」え、本当に帰るのかい?


 そっか、そっか。帰ってしまうんだね。なら仕方が無いか。


 ふーん………ふーん……ふー……ん?


「……はぁ」うふふ、なんだい?やっぱり話を聞いて欲しかったのかな?


「違ェよ」じゃあ、なんだい?それ以外の要件でなにかあるのかな?


「どら焼き食いに来たんだよ」……うふふ、キミも、素直じゃないねぇ。


 でもいいさ。一緒にどら焼きでも食べて、その後キミの話でも伺う事にするよ。


 このボク……宗教団体の教祖様である、祁答院けとういん沙耶歌さやかがね。

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