第九話 上の空


「どうしたあしきた」ん?あ、形くん。なにが?


「いや……なんでもない」そう?………うーん……「あしきた」……ん?どうしたの?形くん。


「だいじょうぶか?」え?なにが?何が大丈夫なの?「……なにをつくってるんだ?」え。これ?あはは、えと、これはね。


 えぇと……なんだろうこれ。なんのオブジェ?「……だいじょうぶか?」あ、はは。大丈夫大丈夫。


「ほんとうか?」うん、大丈夫。形くんは優しいね。うん、私は大丈夫。……大丈夫大丈夫………。


「けむりでてるぞ?」うん、大丈夫だから………え?なに?うわっ!!わわわっ!これ、爆発するっ!!


「あわわ」どうしよっ!あ、絡繰機巧ッ!動け〈翁〉ッ!


 それ投げ飛ばしてッ!思い切り遠くに!いっけえええ!!「……すごくとんでいった」あっぶなー、なにあれ……。


「えぇ……あしきたがつくったんだろう?」え?私!?うそッ……あんな危険なもの作ってない……と、思う。


「ほんとうにどうした?さいきん、うわのそらだぞ」う、ん………ちょっとね。


「そうだんならのるぞ?」あぁ大丈夫だから、形くん、心配してくれてありがと。


 ……ただこれ、人に話そうと思えないからなぁ………。


 ………それに、形くん。こういう恋愛とか性知識とか分からないし……。


「ん?えいのまると、やかいか」え、八峡ッ!?うそ、何処ッ!?


「そこにいる」わわっ、ちょ、ちょっと私、隠れるねっ!


「なんでだ?」詳しい事はちょっと……あ、でもすぐに行っちゃった……。


 はあ……良かったぁ………「?」あ、はは。うん、なんでもないよ。


 ………うぅう……一週間長いなぁ……あと何日?


 ……まだ六日間もある?ウソでしょ?たった一日?


 …………はぁああ……八峡に会いたいなぁ。なんであんな事言っちゃったんだろう。


 そりゃ。八峡がえっちな事をするから……だよね。


 でも、人が居る時なら、八峡も手は出してこないし……もうちょっと緩めても……良かったかなぁ。


 いやいや。その甘さが八峡を付けあがらせちゃう。ダメダメ、そんなの。


 ……でも、私がこんなに辛い思いをしてるって事は……八峡もきっと、そう思ってる、よね。


 一日でも会ってないのにこんなに胸を締め付けられる思いをしてるから、性欲の強い八峡はそれ以上なんじゃないかな?


 ………あれ?八峡って、私が居ない時、どうやって性欲を発散させてるの?


 ……自分で?……いやでも、八峡、かっこいいし……女ととっかえひっかえしてる時もあったって言ってたし……。


 もしかして………私が居ない時に、他の女でも連れ込んでる?


 ………あはは、まさかそんな。流石の八峡でも、そんな…クズみたいな………。


 ……………するかもしれない。


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