第九話 一人用ベッドに二人


 ………………「……ん?」おはよう………義弥………。


「……なんで隣で寝てんだよ」ここは医療施設よ?私もあなたも………同じ様に傷だらけなのだから……ベッドで安静にしている様に……言われたの………。


「普通病人は同じベッドで眠らねぇよ!」それはそうでしょう………だって……私たちは怪我人ですもの「揚げ足とんな……はぁ……もう良いわ」………そう……良いのよ……私の温もりを感じてくれて。


「………はいはい……」………ふふ……そのなげやり感……嫌いじゃないわ……。


「ばーか」その罵倒も……可愛らしくて良いわね……。


「……どうしたら怒るんだよあんた」……私?そうね………私は……どうしたら怒るのかしら………考えた事も無かったわ。


 昔から……人に怒られるのは好きだったし………人から貶されるのも好き………だから……怒る感情が……欠落しているのね………全てを快楽と興奮に変えてしまうから………。


「そうか」えぇ………「なら俺は、あんたを怒らせてみてぇな」………私を?「俺は人の嫌がる事が好きなんだ」知ってるわ………それが……あなたの戦い方でもあるもの。


「だから……あんたを怒らせてやる」

「そうすりゃ……俺の傍に居るのも嫌になるだろ」


………ふふ………そうかしら?本当に?そう思うのなら………是非……私で試して欲しいわ………。


 それでも……私が嫌がる事なんてない………どんな嫌がらせも………暴力も………。


 私はあなたの………その全てを……飲み込んであげるから……。


 ふふ………素敵ね………どんな事をしてくれるのかしら……………。


 あなたの力で………どうか…私を困らせてみて?


 私が………あなたの傍に居てあげるから……。


「絶対に怒らせてやらぁ」絶対に喜んであげる……。


 ふふ……よろしくね……義弥……。


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