第四話 祓ヰ師は異常者集団
お邪魔します…………八峡、まだ寝てるのね?………ふふ。
可愛い寝顔……これが五十市くんを見殺しにした人がする顔なのね………。
でも……もう、私には関係の無い事………今は、私が彼の味方だから…………。
安心して……私が傍に居てあげるから…………。
「ん……あ?」おはよう、八峡。いえ、義弥……って呼んでも良いのかしら?
「……なに部屋に入ってんだよ」ふふ、彼女だから……部屋に勝手に入っても良いでしょう?
「良くねぇよ……クソがッ」気性が荒いのね………もしかして寝起きは悪い方?
「気分悪いわ……はぁ……」気分が悪いの?なら、私が寝かしつけてあげましょうか?
抱き締めて……耳元で子守唄を歌って……義弥が眠るまで……傍に居てあげる……。
「来んな。気分悪いんだよ」だから、私が………治してあげ「触んなって言ってんだろうがッ!」ッ……痛い……頬……殴ったの?
「……ぉ、俺は、悪くねぇぞ」……ふ、ふふ……痛い……痛いわ……ふふふ………。
ねえ……ねぇ………「な、んだよ……」やっぱりあなたって最低な人ね。
「いやッ勝手に部屋に入ってくる方が最悪だろっ!!」そうね……でも……でも別にそこはどうでもいいの。
あなたは最低な人。五十市くんを見殺しにして………逃げ出したその精神性は紛れも無い事実。
「ぐッ……」言葉を詰まらせたの?……なら図星なのかしら……誰も彼もがあなたをクズだと言う。……誰も彼もが……あなたを無価値と言う。
「ッ!テメェッ!俺をそう呼ぶんじゃねぇ!!」ッ………「俺は無価値じゃねぇ!俺はッ!無価値なんかじゃねぇ!!」………ふふ、ふふふ。
胸倉を掴んで………その振り上げた拳で………私を殴るの?………最低ね………でも、素敵。
「……は?」私はね………義弥。痛いのが好きなの……苦しいのが好きで………辛い事が好き。
絶望する瞬間が好き、不幸に陥る瞬間が好き、屈辱を得た瞬間が好き。
自分自身がぼろ雑巾の様に扱われるのが好き。
自分自身が紙コップの様に使い捨てられるのが好き。
自分自身が使用済みのナプキンを見る様な目で見られるのが好き。
暴力を受け入れて、罵倒を受け入れて、恥辱を受け入れて、嘲笑を受け入れるのが………大好きなの。
不幸こそが私の幸せだから。
痛みこそが私の癒しだから。
絶望こそが私の希望だから。
義弥……あなたは私を極限にまで嗜虐してくれる………素敵な人。
「……なんだよ……頭おかしいぞっ」ふふ………嬉しい言葉ね……でも、知らないの?
祓ヰ師に……頭がおかしくない人間なんて……いないのよ?
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