辺留馨編

第一話 出会い

 貴方が……そう、貴方が、八峡、義弥?


「誰、この別嬪さん」別嬪……私?そう言われるの……少し、照れる。


 もしかして、貴方……私のこと……好き?…………いいえ、ダメ。ダメよ。


 彼は、五十市くんの仇敵………痛い目を見るって………そう皆と、決定したんだから………。


「なんだなんだ」私の名前は……辺留べるかおる………五十市くんの、同級生………貴方の……上級生……に、なるわ。


 今から……貴方を痛めつけるから………「え……えぇ?」


 何故、なんて聞かないで……貴方は、五十市くんを、見殺しにした。


 それ、だけで………私が、私たちが動く……理由になるんだから………。


「こんな別嬪に痛めつけられるのか……」………ちょっと……やめて……褒めるの、慣れてないから……。


 ……あ、分かった。貴方は逃げようとして……そう言ってるのね。


おだてて………隙を見て……逃げ出そうって………そう言う事なんでしょう?


「事実を言ったまで」じ、事実……なら、何処が、別嬪さん、なのかしら?


「まず癖毛」こんな……髪が………?「あと儚げな表情」……ただ、暗いだけ、なのに………。


「少し不健康そうだけど」……そう、私は……別に別嬪さんなんかじゃ……「顔は整っていて綺麗だ」………綺麗?私が………。


 私よりも…………津貴子や………黒姫の方が………何倍も、綺麗……なのに。


 よくも……そんな嘘を、ペラペラと………「俺は好み」こ、好み……だなんて………。


 う、嬉しいけど……それでも、ダメ。もう、みんなで……決めた事だから。


 貴方を切り刻む……士柄武物遣いの私が、そうする………抵抗しなかったら………ほんの少し、掠り傷だけで……済ませてあげる。


「そりゃ勘弁」……ヤル気?………良い、なら………思う存分、切り刻んであげる……。


「……鋏?」これが……私の士柄武物しがらぶぶつ………。


 さけべ……金切雀かなきりすずめ


「逃げたい」ダメ………私からは………逃げる事は、出来ないの。


だって……私、粘着質……だから。


何処までも追い詰めて……何処までも追跡する……ストーカー体質だから……。


貴方はもう……逃げられない。


「こんな別嬪さんに追われるなんて最高か?」……もぅ…調子、狂う……。


そんなに言い過ぎると………本気に、なるから。


それが嫌なら……黙って、ただ、斬られて………。

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