第九話 転生術式

 ふふ、とっても気分が良いわ。


 大好きな人と一緒に居る事が出来るのって、こんなにも良い気分なのね。


 体は今にでも壊れてしまいそうなのに、この痛みを我慢出来る、生きる事がこんなに希望に満ち溢れている。


 大好きな人がいるんですもの。死に恐れている暇なんて無いわ。


 明日は何をしましょうか?やかいの為にお弁当でも作ってあげましょうか。


 それとも……私のお部屋にご招待して、そしてやかいと一日中過ごすのも悪くないわね。


 ……うーん、でも、やかいはえっちだから、私の部屋に来るって言う事はつまりそういう事よね。


 どうしましょう。わたし、やかいを興奮出来る様な下着なんてもっているのかしら。

 そもそも、わたしはそういった行為をしたことがないし……ちゃんと出来るか心配だわ。


 ……ふふ、やっぱり、好きな人がいるって良いわね。こんなにも楽しく感じるのだから。


 さぁて、とりあえずは早々に家に帰って……少し眠りましょう。


 楽しいことがありすぎて、体がとても持たないわ。


 少しでも睡眠をとっておかないと………んん?あれ、あれあれ………、あなた。


 どういう事かしら?あなたは確かにくーろんが始末したと思ったのだけれど。


 くーろんが私の言う事を違える筈はないし……なんとかして生き残ったのかしら。


 それで、私が命令したと思って来たってところ?んー。困ったわ、例えそうだとしたら、私は今からあなたに殺されてしまうかも知れない。


 でも、あなたは分かっているのかしら?


 私を殺しに来たって事は、私に殺されても仕方が無い事なのよ?


 ……私をただの病弱な女性だと侮らないで欲しいわ。私は、ちゃんとした転生者なのだから。


 さあ。殺したい程に憎んでいるのでしょう?なら来なさいな。


 ちゃんと殺してあげるから………〈唯我顕彰ゆいがけんしょう

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る