第六話 界守綴編・お出かけ
おはようございます。
本日も敵襲の気配は無く、私の式神及び結界を破られた形跡もありません。
それでは日課である肉体の封印を施しますね。
なのでまずは服を脱がさせて頂きます。
さあ、私に全てを委ねて、そのすべてを私にさらけ出して下さい。
……おや?義弥様、随分と従順で。
その方が私の方も楽で良い事です。無駄は無い方が良いですから。
……………………。
これで良し、義弥様、それでは服を着させてあげますね。
………え?何故「服を着替えさせる事に頑ななのか」?ですか。
そうですね。それが私の仕事と言えば……まぁそれ以外にもありますが。
こうして作業をしている中に、ふと過去の事を思い出してしまうのです。
幼少の頃、服の脱げない弟を私が手伝っていた記憶を、です。
昔では手間の掛かる弟に苛立ちがありましたが……今では、もっと構ってやるべきだと思ってました。
失ってから気付くものがある、と言う奴です。
……「俺と弟を重ねている?」………はい。最後に弟と出会ったのは丁度義弥様と同じくらいの年齢でした。
昔だったら、こうして近づいて……肌に触れられたのに。
今ではもう、それすらする事が出来ない。
幼い頃は、お休み前に額にキスなんて真似事もしてましたね。
……大丈夫です。辛くはありません。
今は貴方が居ますから。ですからどうか、死なないで下さい。
私に守らせて下さい。
……ありがとうございます。
今度は、今度こそは。
貴方を死なせない様に、この命を以て尽力しますので。
………着服は完了しました。それでは朝食に致しましょう。
本日のご予定は学園でのランニングなど……え?今日は学校に行かない?
では本日はどちらへ?………街に繰り出す?
前から行ってみたい場所がある?しかしそれは……。
……いえ、了解しました。
義弥様の行動に口を出す事はありません。
例えどの様な場所でも、私が義弥様をお守りしますので。
では、何処へ行きたいのでしょうか。
………はぁ…………え、お、温泉街………ですか?
ここから距離は少し遠いですね。
どちらかと言えば少し山奥となりますが……。
それがダメなら?「パチンコ行く」?
義弥様はまだ16の筈です。故に規則上、賭け事に熱を上げては駄目です。
田舎の方は緩かった?それでもです。私が居る限り、緩ませはしませんので。
それでは義弥様、お出かけの準備を。
行きましょうか。温泉街に。
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