第四話 界守綴編・襲撃


 業務終了。お疲れさまでした。


 結局本日はランニングだけで終わってしまいましたね。


 それではこのまま自宅へと戻りましょうか。


 カバンなどの重たい荷物は私がお持ちいたします。


 どうぞ手軽なままで有意義な帰宅時間をお楽しみください。


 ………………………。


 急に立ち止まって、一体どうされたのですか?


 前方に誰かが居る?


 ………義弥様、おさがり下さい。


 あれは通行人ではありません。―――――――敵ですッ。


きつね」「いぬ」「みずち」「むし」「さる」「へび」「おおとり


 形象術式―――「刀」


 征け、我が下僕らよ。我が敵となる有象無象の魂を残滓すら残さず滅せよ。


 …………義弥様、貴方が禍憑を発現し、そして1に近い数値を得た事で、邪神以外にも貴方を狙う者が現れました。


 それが彼ら御邪衆。邪神を祀る狂徒らです。


 彼らは貴方を拉致し、監禁し、そしてその身に宿す禍憑を1にする事を目的としています。


 私は貴方の監察官でありながらも、貴方を守る保護官でもあるのです。


 故にここはお任せを、彼奴らは私が滅します。


 ―――ッな、背後からッ。


 義弥様ッ!グッ!――――ッ。


 大丈夫ですか義弥様………あぁっ。その顔に、傷が。


 今、今治しますッ―――「なおす」「いやす」「しょう


 傷口から毒が回ってるかも知れない………「くすり」「せいする」「とく」………。


 私が、私が付いていながら、貴方様に怪我を負わせるなど………許されない。


 許せない。私は罰を受けるべきです………ですが、その前に。


 何よりも許せないのは、貴方様に傷を付けたこの腐れ外道共です………。


 始末を…………彼奴等はこの世に居てはならない大罪を犯した。


 万死を超え億の死を以てしても許されない………。


おに」………「りゅう」…………「かみ」………。


 死に晒せ外道共が………これ以上、私の目の前で、人を殺させるかァ!!


 ……………………………。


 ――――――――――敵対者なし。消滅完了。


 ………義弥様。怖い思いをさせてしまいましたね。


 さぁ………帰りましょう。夕飯は貴方の好きな物にしましょうね。

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