第三話 界守綴編・睡眠
義弥様、お疲れ様です。
まさか本当にお昼までランニングし続けるとは思いませんでした。
発汗した体のままでは体温が低下して風邪などの症状を起こします。
服は脱いだ方が良さそうですね。両手を万歳してください。
自分で脱げる?そうですか。―――「
両手を上げて下さい。そうです………はい、脱がせました。
それでは汗を拭かせて頂きますね。お体の方失礼致します。
…………術式に綻びがありますね。
再度形象術式を使役させて頂きます。
「
これで十分でしょう。申し訳ありません義弥さま。
それでは代わりの服を着用します。
……「その前に術式を解け」それは駄目です。私は監察官である前に従士ですから、貴方様の全てを奉仕する事が私の幸せです。
何なら夜伽を命じればその通りに致す自信がありますが……「なら術式を解け」?逃げないと言うのならば解きますが。
逃げますね。術式は解けません。
上の方は着替え終わりましたね。それでは下の方を脱がせていきます。
下着の方も濡れているので新しい下着をご用意しました。
男性器に万が一勃起などの症状が訪れても軽蔑などはしないのでご心配なく。
…………………………。
何を落ち込んでいるのです?別に女性に見られたからと言って落胆する様なモノでは御座いませんでしたが?
それよりも準備が整ったのでそろそろ始めましょうか。
何を?と申されれば、それはお食事と言った所でしょうか。
どうぞ、朝食の頃に平行して調理した弁当です。
義弥様の好みが不明の為に、色々な男性が好みそうな総菜等を入れておきました。
基本的にからあげや牛肉の甘辛炒め、あとは豚の生姜焼きなど。
それと男性が好みそうな副菜としてきんぴらごぼうにほうれん草の胡麻和え、ひじきなども用意してあります。
どうぞ、お弁当なので少し冷めておりますが、代わりに体温上昇の為に暖かい緑茶を水筒に入れてますのでお食事と同時にお飲みください。
…………。「おいしい」ですか。当然ながら、不味いものを詰め込む弁当を作るなどあってはなりませんので。
それでもそのお褒めの言葉は大変嬉しく思います。こういう時、日々、精進を重ねていきます、と言えば宜しいのでしょうか。
……私は食事をしません。基本的に朝4時からの食事から一時間毎に携帯食を口にしてますので。
空腹はありませんから私に遠慮なく食べて下さい。
………………………………。
お粗末様でした。予定の時間では午後一時から座学が入っています。
ご参加は………しない。了解しました。それではこの後のご予定はいかがいたしますか?
…………眠いから眠る………食後の休息ですね。
それでは良質な睡眠を得る為に学園内のベッドへと向かいましょう。
……はぁ。たまには外でのんびりごろ寝するのも、ですか。
しかし硬い地面での睡眠は肉体に巡る血液の循環を悪くする恐れがあります。
せめて自らの手を使い枕にするのではなく………
―――ポン。ポン――――。
私の膝をお使い下さい。
遠慮する事無く、どうぞ。
…………眠り辛い、ですか。
では、形象術式による「
………それはやるな、では、如何しましょう。
……………何もしなくて良い、良いのですか?
……了解しました。それが義弥様の安眠に繋がるのならば。
……………………。
…………………。
………………。
……寝息を立てていますね。
眠りに落ちた様子です。
……おやすみなさい。義弥様。
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