第二話 界守綴編・登校

 

 朝食を食べ終えて学園への登校準備も完了。


 本日のスケジュールは学園での座学となります。


 ……はい、武術も呪術も使役は禁止されています。


 貴方に禍憑を使われては困るので、使役した場合、数値が1に上がる可能性がある為ですから。


「じゃあ何のために学校に行くんだ?」普通に授業でも聞いていれば良いのでは?


 飫肥教師に贄波教師も居る事ですし。あぁ、贄波教師に禍憑の特訓は中止であると告げた所、「つまらん」の一言で会話は打ち切られました。


 ………何故そこで安堵の表情を?贄波教師の特訓は地獄である、そうですか。


 それでは参りましょうか。どうしても肉体を動かしたいのならば、ランニング程度は認められています。


 カバンは私がお持ち致しましょう。「別に良い」?そういう訳にはいきません。


 形象術式による「かろやか」を使えば、重さなど無いに等しくなりますので。


 ………はぁ、「なんでもありだな」?ですか。そうですね。なんでもありと言えば、そうなのでしょう。


 しかし、形象術式にも限りがありますから。……それを教える程、界守家が宿す術式は安くはありませんよ。


 ………「じゃあ例えば、死を刻んだら相手は死ぬのか」?そうですね。死にます。


 死にますが、厭穢には効きません。彼らは元々無であり、死の位置に属する存在ですから。


 既に死である存在に死を使っても、死ぬ事は出来ないのです。


 だから我々祓ヰ師は、厭穢を殺す、死なすなどの言葉は使わず、祓うと言うのです。


 それと……人間に対して使えば相手は死ぬ事は出来ます。ですがベテランの祓ヰ師には効きませんね。


 ベテランであればあるほど、祓ヰ師は即死に対する対策を弄します。


 それ故に死による事象の押し付けは有効的ではありません。


 ………これは少し、お喋りが過ぎましたかね。雑談はこの程度にして、学園へ急ぎましょう。


 ………………………………。


 あぁ、懐かしいですね。


 私はこの八十枉津学園の卒業生ですから。


 と言っても一年振り程ですがね。


 この学園は三年制ですが、残り二年程籍を置いてくれますから。


 その間に祓ヰ師としての階級を上げたり、パイプを作ったりするのです。


 私は贄波教師の元で厭穢狩りをしてました。


 …………ッ。


 …………………………………。


 すいません……少し頭痛が……問題は無いです。


 さぁ、教室に向かいましょう。

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