第九話 九重花久遠編・恋人
久遠『八峡さん』13:23
久遠『今どこにいますか』13:23
久遠『八峡さん』13:23
久遠『そちらに行きますので』13:23
久遠『逃げても無駄ですよ』13:23
久遠『出来れば止まって』13:23
久遠『頂けると嬉しいのですが』13:23
久遠『今は、交差点に居ますね』13:24
久遠『赤信号で止まってますね』13:24
久遠『車には気を付けて下さい』13:24
久遠『危ないですから』13:24
久遠『あと三十秒』13:24
久遠『そこで足止めしていて下さい』13:24
久遠『あと十五秒』13:24
久遠『もうじきそちらに到着します』13:25
久遠『逃げられない様に』13:25
久遠『手足でも縛りましょうか?』13:25
久遠『残念ですね、青信号です』13:25
久遠『車に轢かれない様に』13:25
久遠『気を付けて渡って下さいね』13:25
久遠『所で何処に行くおつもりですか?』13:25
久遠『実家は無かった筈です』13:26
久遠『ご学友に匿って貰う気ですか?』13:26
久遠『近隣だと飫肥先生ですかね?』13:26
久遠『無駄ですよ』13:26
久遠『先生は出張ですから』13:26
久遠『御屋敷には誰も居ませんよ』13:26
久遠『建物に逃げますか?』13:27
久遠『すぐに特定できます』13:27
久遠『距離が縮まりましたね』13:27
久遠『もうじき会えますよ』13:27
久遠『八峡さん』13:27
久遠『あ』13:28
久遠『術式を使いましたね』13:28
久遠『空に逃げても無駄なこと』13:28
久遠『すぐに追いつけます』13:28
久遠『あ』13:28
久遠『背中の種』13:28
久遠『取りましたね』13:28
久遠『気付かれましたか』13:29
久遠『これでは』13:29
久遠『場所が分からない』13:29
久遠『八峡さん』13:29
久遠『何処にいますか?』13:29
久遠『返事をして下さい』13:29
久遠『返事を』13:29
久遠『八峡さん』13:30
久遠『私を一人にしないで下さい』13:30
久遠『お願いします』13:30
久遠『八峡さん』13:30
久遠『私の大切な人』13:30
久遠『私の生涯を共にする方』13:31
久遠『お願いします』13:31
久遠『八峡さん』13:31
久遠『返事を』13:31
久遠『返事を』13:31
久遠『返事を』13:31
久遠『八峡さん』13:31
――ドンッガチャンッカチャッカチャッ―――
―――ハァ、ハァ、――――
――ピロン――『未読』399件
――ピロン――『未読』400件
――ピロン――『未読』401件
――ピロン――『未読』402件
――ピロン――…………
――ピロン――…………
――ピロン――…………
――――ぷるるるるる――――
――――ぷるるるるう――――
…………、――ピッ――
「……久遠、か」………。
「勘弁してくれよ」…………。
「俺も調子乗ったけど」…………。
「これはやり過ぎだろ」…………。
「おい、聞いてんのか?」…………。
――プツンッ……プーップーッ………――
――ピロン――
……………。――タプ、タプ……――
…………
……
……
…
…
…
…
…
…
…
…
…
…
…
…
…
…
…
…
…
…
…
…
久遠『特定しました』14:01
「ヒェッ」
――ドンドンドンッ!――
―――ぷるるる……ピッ―――
『八峡さん、今、あさがお寮に居ますね?』
『自室に閉じ籠っている。』
『あなたの部屋は、確か、二階、でしたよね?』
『武器なんて、持って、何を、恐れているのですか?』
「なんで分かる?」『え?それは、ですね。』
『今、あなたを見てますから。』
『後ろ、窓を見て下さい。』
――ドンッ!――
「ひゃあッ」『窓を開けて下さい、八峡さん』
『いえ』
『窓なんて、そんな隔てり、無意味です』
――する、する、ガチャ――
「蔓が鍵を開けやがった……」『これで、もう逃げられませんよ』
八峡さん……それでも逃げよう、と言うのなら。
そうですね……血を流すのも、ありなのかも知れません。
……大丈夫、あなたを傷つける、そんな真似、しませんよ。
血を流すのは、私。本来は、奪われる筈だった、私の純潔。
今、ここで、八峡さんに、差し上げましょう。
既成事実、それを作れば、逃げる事も、出来ませんから。
ふふ、さあ、はじめましょうか。
恋の、続きを。
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