第六話 多禮千年世編・瞳の光
「回復したわ」身体が治って良かったわ。
でも残念。よーくんが動けない事を良いことに、色々と悪戯をしたかったけれど。
特に一昨日の様な熱い夜を、もう一度体験したいわ。
「あれは悪戯じゃない」そう?でもまた、あんな夜を過ごしましょう?
「過ごさない」お姉ちゃん悲しいわ。よーくんは私と一緒に居る一時を何とも思わないのね。
ぐすんぐすん「その嘘泣き好きだな」うん、だいすき。むかしは良くよーくんは引っ掛かってくれたから。
「そうか?」そうよ。オロオロして、一緒に泣いてくれるよーくんは、優しくて健気で興奮しちゃう。
むかしから、よーくんは私の母性を擽らせてくるのよね。
「ちぃ姉は昔から、世話焼き女房だったからな」女房、つまりは奥さんね。
よーくんは私の旦那さん。いえ、旦那様?この卑しきメイドに愛の鞭をお願いしますわ。
「それメイドだろ、メイドって言ってんじゃん」奥様も良いけど、メイドさんも素敵だと思わない?
私って多分イケナイ関係に興奮するみたい。だから奥様より、禁断の恋や不倫関係に持ち込めるメイドの方が良いって思っちゃうの。
でも、よーくんが私の薬指に給料三か月分の結婚指輪をくれると言うのなら、私は喜んでよーくんの奥様になるのだけれど。
「冗談は良いから」………冗談じゃないんだけどな。
「あ?」まあいいわ。ところで、今日は何をするの?
「なにって学校行くんだよ」学校?よーくんはいつから勤勉家になったのかしら?
別に学校に行かなくても、よーくんは地頭が良いから、そんなところに行かなくても良いのよ?
「いや、強くなりてぇし」何処の少年漫画の台詞よ、それ。
いいの。よーくんは。強くなりたかったらお姉ちゃんが一緒に稽古してあげる。
「ちぃ姉のは武器依存じゃん」それを言われたら返す言葉は無いけれど。
「俺は無差別術式を極めっから」それはダメ。よーくんはそんな術式に頼ったから死に掛けたのよ?
そう、あなたは死にそうだった……ダメ、ダメダメ。
よーくんは、私と一緒。そうすればあなたが死ぬ事はない。
「瞳の光が消えたんだけど」だからよーくん、私があなたを守るから。
だからあなたは私の前から消えないで、お願い。
「そう簡単に死なねぇよ」そんな言葉じゃお姉ちゃんは信用できないわ。
私の前に居てくれる?「あぁ、居るよ」本当?ならいいの。
「お、元に戻った」お姉ちゃんは、よーくんだけが全てだから。
だから、一生一緒に居てね?
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