アニマルバースどうぶつずかん その⑤「ジャーリス・アバウォッキ」

◇ジャーリス・アバウォッキ


◆戦力評価

 STR … 6/10

 TEC … 9/10

 VIT … ?/10

 AGI … 7/10

 POW … 8/10

 INT … 5/10



◆神器『青薔薇の鎧/天獄鎧てんごくがいネサルフェリオ』

 七星神器セブンス・クェイサーの一角にして、『ヤルダモの10の遺産』のひとつ。古代種族ヤルダモのかつての居城、帝都メガイドの封印を解く鍵となる。

 ラビメクト聖教に伝わる『神の鉄』から造られた、青みがかった艶のある装甲を持つ鎧。全身にわたって精緻な薔薇の紋様が彫刻されている。

 頑強かつ軽量で扱いやすく、また神獣『角の兎アルミラージ』の加護によって、多少損壊しても自動的に修復される。

 この再生効果は鎧の装着者にも及んでおり、部位の欠損や内臓の脱落すら一瞬で回復させる。


 不朽不壊の権能は、絶対切断の権能を宿す零子刀ヤルルカーンと対になっている。

 実際の力関係は定かではないが、ゴマは『同格である以上、性能は同等』『ヤルルカーンならネサルフェリオを破壊できるかも知れないが、その反動でしばらく使い物にならなくなる』と推測している。


 デザインチャイルドであるジャーリスは、この鎧への適合を前提に設計されている。

 だが、最強種と神器の関係は"必然的な偶然"、ある種の運命によって定められるものであり、他者の意志によって作為的にジャーリスには、本来の性能を完全に引き出せているわけではない。

 今代の場合、真の適合者は聖女レティシア・ハルパーズ・ラビメクトである。



◆プロフィール

 "静謐"の最強種、と目されていたウサギ。ラビメクト聖教、神聖騎士団筆頭。

 神器・青薔薇の鎧に適合した最強最優の聖騎士であり、独特の青みがかった白い毛皮を持つ。瞳の色は赤。

 公には25歳と発表されているが、未だ少年と言っても通るような甘いマスクをしている。


 かの阿修羅神刀斎に匹敵するとも謳われるほどの剣才を有し、また槍術、弓術、拳闘、火砲の扱いにも通じた理想的な兵士。その在り方はシャチ氏族の『侍』と呼ばれる精鋭に近い。

 また、神獣アルミラージに祈りを捧げることで祝福をこいねがい、身体能力や治癒力を向上させる御業『神聖術』にも長ける。

 武装は青薔薇の鎧に加え、それと同様の神鉄製の宝剣『マルミアヴォーパル』を教皇庁から下賜されている。


 性格は聖騎士らしい温厚篤実な獣柄をしており、民衆からの人気も高い。

 他方、自らを神とラビメクト聖教の"剣"であると定義しているため、戦場では敵対者に一切の慈悲を見せない恐るべき戦闘マシーンに変貌する。

 立ちはだかる神敵には対話の余地すら与えない、信仰に忠実かつ苛烈な戦いぶりから、"静謐"の二つ名で知られる。

 ちなみに、彼の来歴や素性を調べようとすると必ずどこかで迷宮入りしてしまうことから、その二つ名には『過去を持たない』『我を持たない』という意味も込められている。


 その正体は、聖王カドゥラスの娘である聖女、レティシア・ハルパーズ・ラビメクトのクローン。男装の麗獣。

 現聖王の一族、ハルパーズ家に伝わる『最も不吉なる予言』が示すレティシアの死を回避すべく生み出された、運命の目を欺くための生贄である。

 正確には、レティシア自身とその父母のDNAに加え、数々の優秀な遺伝子を組み込まれたデザイン・チャイルド。

 青薔薇の鎧との適合を前提として調整されており、あらゆる危険からレティシアを守護するように命令を受けている。


 アリュゾホート・マグサリナス・ゴマ=ゴマフによる陸王ゼドゲウス討伐の報を受け、大ウサギ民国は五輪協定から離反。

 独自の決闘によって国家の運命を占うこととし、ジャーリスはラビメクト聖教圏すべての希望を背負ってゴマとの血戦に臨んだ。


 前述の通り、最強種と神器の関係は『運命が互いを選ぶ』ものであり、獣為的に適性を付与されたジャーリスは、ネサルフェリオの正当な担い手ではない。

 ゴマに敗れたジャーリスは死の直前、自ら所有権を手放すことでネサルフェリオをレティシアに譲渡(あるいは返還)した。

 これに激怒したゴマは、ネサルフェリオの真の担い手を探し回り、最終的に神獣アルミラージを強襲。ネサルフェリオに用いられている神鉄、その原型であるアルミラージの力を回収した。

 こうして代替品が調達されたことにより、青薔薇の鎧ネサルフェリオは唯一、ゴマによる奪取を免れた七星神器となった。

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