ディーン・クーンツ

戦慄のシャドウファイア

◎おどろおどろしさ

◎迫りくる恐怖


 僕が初めて読んだクーンツの小説。これですぐにクーンツにはまった。

 別居中だった夫エリックと口論した直後、エリックが車にはねられて死亡。だが彼の死体が死体公示所から消えた。彼は自らが施した遺伝子工学処置によって蘇ったのだ。

 暴走する遺伝子により人外へと変貌しつつあるエリックが、復讐の念に駆られて妻に襲いかかる。


 エリックが身も心も化け物へと変わっていく様子が、彼自身の視点から細かく描写される。妻のレイチェルは恋人のベンとともにエリックから逃れ、また手柄を立てようとする情報局の高官とその部下、事件を追うバディの警官たちなど、脇役たちのサイドストーリーも満載。

 辛い過去を持つ警官が、事情を訊いた女性に一目惚れして、過去を振り切るように相棒のいる前でその場でデートに誘うという事件とは関係のないシーンが、実は僕は一番好き。これでクーンツが好きになった。いろんな要素をこれでもかと注ぎ込むのもクーンツの特徴だ。

 ちなみにこの作品の文庫本のカバーイラストは、FFシリーズのイメージイラストを手がける天野喜孝さんが描いています。あと作品のタイトルもすごくかっこよくていいですね。

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