花と色彩
ろくろ
-後悔-
花を飾る、飾る、飾る。
ダリア、薊、福寿草、一輪ずつ丁寧に飾っていく。
壁や天井までもが美しく彩られている。
色彩豊かなその空間は薄暗く、大きな窓から差し込む鉛丹色の夕の明かりだけが照らしている。
冷たい床に絵の具が垂れ足元を鮮やかに濡らしている。
目の前のキャンバスには、まるで己の憎しみと自責の念を写したように混ざり合う纏まりのない何か。芸術とは言い難い自分の作品。
彼が残した芸術的な作品の数々と見比べたら月と鼈の差。
もし彼が亡くならなければ、今までと変わらず隣で「ひどい絵」と茶化し、笑っていたのだろうか。
後悔が足元から這い上がって、こみ上げてくる。
あの時ああすれば良かった。こうすればよかった。考え出したら止まらなくなった。
止めよう、いくら考えても彼は帰ってはこない。
あの日、あの時、何の力にもなれなかった自分を、当時の劣悪な環境を悔やむことしか出来ないのだ。
足元でぐちゃぐちゃに混ざり合った絵の具に目を落とし、如何ともし難い感情に飲み込まれていく。
花と色彩 ろくろ @HARUKITI_03
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