三つ首の怪物 ②
「じゃあ、最初に君の怪異について説明するね」
パンダは人差し指をピンと立てる
「お願いします。というか、いきなり来て僕のこの怪異が何だとかわかるもんなんですか?」
「あぁ、それはね・・・今回は
ついでにさっきイカが言ってたケルベロスはただ単にそれっぽく格好つけただけだから正式名所は違うよ。と続けた。
「ほう・・・」
ニヨニヨしながらイカのほうをじーっと見る。
イカは恥ずかしそうにそっぽを向いた、
「三つ首の怪物かあ、こんな怪異も存在するんですね。口裂け女とかトイレの花子さんとかそんな感じのしか知らなくて」
そもそも例に出した二つでさえ怪異かどうか僕にはわからない。
「あー、確かに普通に生きていて聞くのなんてそのあたりだよね。でも、怪異なんて数えだしたらきりがないよ、最近では天狗やら妖怪とかそういうのも含めてぜーんぶ怪異ってカテゴリになってたりするね」
「結構思ったより雑、というか曖昧なんですね」
「まあまあそこら辺の話は追ってするとして、今一番知らなきゃいけないのは
「わかりました、じゃあお願いします」
パンダはどこから話すかなーなどと呟いた後、僕が使っているベッドに腰かけて話し始めた。
「怪異能力者たるもの、自分の怪異については詳しくないといけないからね。さっき君の怪異は【三つ首の化け物】だなんて言ったけど別名もある、【妖怪の笛】だよ」
「妖怪の笛・・・」
「そう。その由来としては、とある風の強い日に口笛を三回吹いたら首が三つある化け物が現れた。という話からだよ。妖怪を呼び出す口笛、君にはその妖怪も口笛も宿ったんだね」
「え、由来の話は化け物が出てきた。で終わりなんですか?」
「うん、そだよー。怪異話なんてめちゃくちゃ詳しくあるほうが稀くらいだし」
へー、と怪異プチ話に感心していると気づくことがあった
「僕、口笛なんか吹いた覚えはないんですけど・・・」
何を隠そう僕は口笛ができない。
過去に格好つけて女子の前で口笛を吹こうとしてただのキス顔をお見舞いしてしまったことがあり、それ以降軽くトラウマ気味になっている程だ。
なんとなく恥ずかしいのでできないことは言わない。
「あぁ、そういうこと。怪異因子が発現して一番最初は問答無用で暴走? みたいな感じに能力が発動するから条件は無視だね。初期の暴走で都市の奴らに見つかって即処分なんて言う話はよくあるよ」
さらっと怖いことを言われた。もしかしたら僕は今この世に存在しなかったかも知れない。処分されていたなんてことを考えたら背筋が少しぞわっとした。
「だからそうならないために僕たちが出来るだけ情報を集めて助けに行ってるんだよ」
「それは・・・本当にありがとうございます」
「いえいえ」
助けた命を前にしたパンダはなんだか誇らしげだった。
「でもまだコントロールできなきゃ処分されるから、続けるよ」
「そうだった・・・」
パンダはさらに続ける
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