第5話 文芸サークルに誘われる

 まあ、その後も普通に執筆していたし、赤原さんや鴇田さん達の会話にリプライする交流は続いたわ。藤井さんの件は残念だけど、変わった人が多いのもこの界隈だから。


 そんな時にTwitterでダイレクトメールをもらったの。差出人はあの赤原さん。


「これはTwitterに登録しているWriteRead作家の皆さんにお送りしています。この度、文芸サークル『アカハラの部屋』を作ろうと思って招待しました。書籍化作家さんにも声をかけて、Twitterでは書けないお話などできたらと思います。入会していただけるならお返事ください。Slackの招待メールをお送りします」


 びっくりしたわ。こんな評価も低い末端作家になんで声をかけてくれたのかしらって。


 え? 末端なんて麻薬の末端価格みたいだって? うーん、じゃあ駆け出しの小娘って年でもないし。とにかく交流はあったとはいえWriteRead作家の中でもランキング下位でひっそり活動していた私に声をかけてくれたのはうれしかったわ。Twitterで書けない話というのも、出版に関する裏話かしらと期待していたの。

 でも、心配していたこともあったの。もうわかるわよね? 赤原さんは藤井さんと仲良し。彼もサークルに入るのではないかしらって。多分私を快く思っていないから、居たらどうしようかしらって。だから聞いてみたの。


「お誘いは嬉しいですが、赤原さんは藤井さんと仲が良いですよね。藤井さんには例の騒動でブロックされたままなのでサークルに私が入って大丈夫ですか?」って。


 すぐに返信が来たわ。


「確かに私と藤井さんは懇意にしておりますが、今回のサークルに誘う予定はありません。仮に居たとしても沢山会員を入会させたいので問題ないと思います」


 そのお返事に安心してサークルに入ったの。


 最初は二十人くらいかな? 後で遅れて入る人もいたり。赤原さんのグループ以外にも初めて知る方もいてね。自己紹介から始まって、雑談コーナーや創作談議コーナーやらあってね。

 作品の書き出しを見てもらって書き方はこうしたら良いとかアドバイス貰ったり。

 Slackなんて当時は初めてだったから、使いこなすの苦労したわ。IT関連なら当たり前らしいけど、うちの職場は当時の社長がおじいちゃんだからFAXばかりで、パソコンはワープロ状態。平成後期とは思えない環境よね。え? Slackはもう古い? もう、そこはおばちゃんだから大目に見て。


 あらやだ、またズレちゃった。とにかく、少しずつ入ってきて、憧れの鴇田さんも遅れて入会して楽しかったわ。

 でも、ちょっとだけ壺とか浄水器売りつけられるかと疑ったのは事実。ふふ、急に人を集めるのって宗教かマルチじゃない。Web上でもありえるのじゃないかしら。そうなったらログアウトして退会するだけでいいけど。


 でもね、そんな心配は無かったの。むしろ壺や浄水器販売の方が分かりやすかったのだけどね。



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