第2話 思い出話に花が咲く

 昔の名前の頃だからね。そんな頃からやって未だに結果出してないから諦めた方がいいのかと思うこともあるけど、このまま書きたい事を書いていこうと開き直っているわ。

 不思議よね、最初は趣味で始めた人や読み専の人も書き手に変わってだんだんと本気になるユーザーが多くて一時は「カクカク」と揶揄されてたわ。


 今だったら「WriteWrite」、うーん、響きが悪いわね、「ライライ」? なんかパンダだかラーメン屋の名前みたいだわ。


 まあ、とにかくそのグループの人達のお話は面白かったわ。赤原さんのは長編から短編まで多才だったの。特にアイドルが好きだったのか、アイドルものを沢山書いていたわ。私はアイドルには興味無いから読んでいなかったけど、他のは概ね読んでいたわ。

 プロフィールによると別名義で作家しているけど、その名義では出せないと言われたので「赤原かしわ」名義で頑張っている、とあったわ。

 私はその辺は特に気にしていなかったのよ。だって、作家って言っても様々だし、ビジネス書書いている人も作家だし。辞書にも編さん者の名前が入るからあれも作家の一種と言えるわよね。


 ピンと来ない? そうねえ、例えていうなら古くなるけど小林多喜二がいきなり遊郭でのライバル押しのけて花魁目指す女の子の小説を書きたいと言い出したら、出版社も編集者も止めるわよね。

 え? 古すぎる? じゃ、もうちょっと未来にすれば、三島由紀夫や司馬遼太郎がアイドル小説書きたいなんて言っても全力で止められるだろうし。何冊も専門書を出す医学の権威の人がアイドル小説なんて言ったら論外だし。

 あらら、例えが長くなっちゃった。まあ、とにかくそう言う類と私は思っていたの。


 あと、鴇田輝ときたてるさんという方のお仕事小説も面白かったわ。最初は社会派小説書いていたからそのままでも良かったのだけどね、お仕事ファンタジーに切り替えてからあっという間にブレイクしてその頃には書籍化してたわ。あ、まだ紙の本がギリギリ勢力を保っていたからデビューの別言葉が「書籍化」だったのよ。でも、その頃から「書籍化しただけの作家」なんて言う言葉があるくらい、一冊出してそれっきりなんて人も多かった。今も電子書籍が圧倒的だからもっと厳しいけど、それでも書き続けるのは何故かしらね。


 あとはイタリア在住でパティシエ修行中の伊太利杏イタリアンさんの修行エッセイも面白かったなあ。日本でお馴染みのお菓子はイタリアでは全く違うとか。そんな感じでみんなこぼれ話やらプロットの雑談とかでTwitterが賑やかだった。


 それと同時に当時は7ちゃんねると呼ばれていた掲示板見ていたの。知ってる? 今は大分下火になったけどまだ残っている掲示板。今は名前がコロコロ変わっているから何ちゃんねるか知らないけど、とりあえず7ちゃんねると呼ぶわ。そこもよくチェックしていたの。

 うーん、最初は悪口と愚痴の吹き溜まりのように見えたわね。まだあの頃は匿名性が高かったからひどいものだったわ。

「全く読まれない」やら「アイツは不正している」やら「面白くないのになんで上位なんだ」という内容ばかり。才能無い人のやっかみかなと思ってたわ。

 その中にね、よく『先生』と言われる名前が出ていたの。ファンタジー小説の「名前を言えないあの人」扱いの作家さん。名前は……確か藤村、いえ藤井五月さんだったかしら。女性と思ったら男性だった。

 Twitter覗かせてもらうと毎日のようにレストランで食事している写真が乗っていたからお金持ちじゃないかしら。

 それでね、掲示板を読み進めていくと、藤井さんは初代コンテストでファンタジー戦記を受賞して二巻も出していたから実力派。でも、7ちゃんねるにはいつも叩かれていたわ。気性が激しくて編集者と揉めただとか、エゴサして自分の作品の悪口書かれると粘着するとか、要注意人物として書かれていたわ。それから赤原さんと仲良しとも。


 不思議だったわ、そんなおっかない人と明るそうな面白い赤原さんがなんで仲良しなのかしらって。


 とにかく、彼らをフォローしたり、リプライしたり、自主企画に参加していたわ。

 今思うと軽率だったわね。

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