第1話 僕が男の娘をしている理由
最近では男の娘と言う物が流行って居るらしい。
見た目的には可愛い女の子だが、中身は男の子と言うアレだ、平たく言うと女装、昔はおかまとか、最近ではトランスジェンダーだとか言って居るが、そう言った重い要素は無く、純粋に其れが一番似合うとかしっくり来るとか、そう言った感じで良いと思う。
では、双性存在もしくは双極存在と言うのは如何だろう?
一種の迷信やゲン担ぎの一種なのだが、男に女装させると魔除け厄除けに成ると言う物だ。尚、マイナーでは有るが、女の子を男の娘の格好をさせると言うのも有るらしいが・・・
古くは古事記・日本書紀にも書かれて居る、ヤマトタケルが敵地である熊襲(クマソ)の地に女装して敵の目を欺き潜入する流れが最古であるとされる。
昔から、免疫力が乳幼児期に男の子より女の子の方が強いと言う事から、其れにあやかろうと男児を幼少期に女装させて育てると言うのは世界中で行われて居た事なので、それ自体はそう珍しい風習では無いのだ。有名所では、かのダグラスマッカッサーも幼少期はスカートを履いて育てられたらしいので、寧ろ今マイナーな習慣に成って居る事の方が不思議なのかもしれない。
問題は・・・
「あの、一緒にお茶でも行きませんか?」
人混みの多い場所を、具体的には都市部の駅前などを通るとナンパされると言う事だ、現在進行形で男から・・・
「間に合ってます・・・」
即答で断り、ショックを受けるラグ時間中にナンパ男の横を抜けようとする。
「せめて電話番号を!」
一瞬で立ち直って進行方向を塞いで来た、手強い・・・
「僕は男です!」
流石に予想外の一言だったのか、今度こそ動きを止める。
「其れでも構いません!」
立ち直った?! 一瞬脳裏に┌(┌^o^)┐ホモォ...と言う謎の幻想生物が思い浮かぶが、こっちに其の趣味は無い、だからついて来るな・・・
「男に興味ありません!」
自分が女装して居るにしても、性対象が男と言う訳では無い、家庭の事情でそんな恰好をしているだけだ。
流石に取り付く島が無いと悟ったのか、ナンパ男が足を止め視界から消える。
因みに現在の自分の恰好は○○高のブレザー系女子制服だ、先程の説明通り、幼少期に病弱だった自分を健康に育てる為に、女装させて育てるべきだと本家の偉い人が鶴の一声で助言した結果、自分は女装して生活する事に成ったのだ、何がアレって、女装した結果、何故か原因不明の病弱少年だった自分は、女装している間だけ元気な男の娘と成ってしまったのだ、効果は劇的である・・・・
何でも、7代祟る系の呪いが公倍数的に被ったと言う事で、本家は代々陰陽師、土御門家の系譜、何でも、安倍晴明(あべのはるあきら)の直系らしい、で、本家の防備が整い過ぎた結果、呪詛返しが混線し、自分に回って来たらしい。
らしいが頻発するのは、科学的には何一つ証拠が無く、説得力が足りないためだ、家系図何て何とでもなると思う、本家はエライでっかいし、影響力もアレなのであながち眉唾でも無いのだろうが。
具体的には自分が女子制服のまま登校OKに成り、本家の一番強い元締めが葛(かずら)様と言う、自称1000年生きた化け狐のロリババア何だそうだが、正直何処まで信じた物やら・・・
自分のバイトは本家の紹介で、刀を持って世界の淀み、虚空の靄(もや)を斬って回ると言う一種の退魔・破魔で胡散臭い物だが、科学を蔑ろにして居る訳では無い。
今日は裾払いの儀式の下見を昼間の内にしておくためにこんな昼間から歩いて居るのだが、先程から謎のナンパに絡まれまくる、之なら人避けに相方を連れて来るべきだったかと内心後悔するが、此処迄来てしまったのだから、引き返すのも業腹だし・・・
「ねえねえ彼女。今暇?」
「邪魔・・・・」
ぎろりと、思わずしつこいナンパ男に殺気を飛ばして黙らせる。
内心で真剣を抜いたつもり、殺すつもりで切りつけるのだ、実際に攻撃する訳では無いのだが、人にはイメージの共感能力があるらしく、怖いと言う事は判るらしい、よっぽど鈍感だと効かないが、目を合わせて居れば大抵効く。
外では余り褒められた事では無いが、流石にうっとおし過ぎるので、緊急避難の正当防衛だと思う。
気弱な一般人に殺気を飛ばすと気絶されたりするので後始末が面倒なのだが、人通り多いし、活入れ出来る人も居るだろう。
殺気を受けたナンパ男は膝からへなへなと崩れ落ちた、うん、これぐらいなら後始末も気にしなくて良い感じだ。
「こら、堅気に迷惑をかけるな」
聞き覚えのある声に思わずびくりと固まる。
ギギギと、油の切れた動きで声の方向を向く。
「何をそんなに焦っておる? 陽希(はるき)?」
呆れ顔で此方を見つめる、見た目は小学校高学年ぐらいの少女が居た。
因みに、三門陽希(みかどはるき)が自分の名前だ、同級生の女子からはルキと呼ばれて居る。
少女は白いワンピースに麦わら帽子で、ミュールを履いて居て、帽子の下の長い金色の髪が風にそよいでいる、刺し色の赤いリボンが良く映える。
彼女が何者か知らない者が見たら、一目で見惚れるほどの美少女だった。
化け狐と言う噂は有るが、耳や尻尾等、そんな物は見えない、隠せるのかもしれないが・・
「何でこんなところに居るんです? 葛(かずら)様?」
失礼が有ってはいけないが、思わずそう返す、当然のマナーとして、一般人を攻撃してはいけない事に成って居るが、今回攻撃はしていないのでセーフだと思いたい。
「なあに、只の散歩序に期待の新人の仕事ぶりを見て置こうかと思ってな?」
玩具を見つけた様な表情で口元に薄い笑みを浮かべて居た・・・
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