手
私が勤め先のアルバイトの子から聞いた話です。
彼女は実家住まいの大学生で、小柄で眼のぱっちりした可愛い子でした。
ある日、彼女が家に帰り、二階の自分の部屋に上がり、いつものようにそのドアを開けた所、目の前の壁から、血の気のない白い腕が「ニュッと生えて」いる。
えっ、と思って戸口に立ちすくみ、まじまじとその腕をよく見たけれど、どこをどう見ても白っぽい人間の腕。
うわっ、と思った彼女はバタン、とドアを閉めてドアに持たれ掛かって目を閉じた。
(落ち着け私。ちょっと疲れてるか、何かの錯覚でそう見えただけ。落ち着け。深呼吸。深呼吸。気持ちを切り替えれば大丈夫)
自分にそう言い聞かせた彼女は、咳払いを一つして、充分に落ち着いてゆっくりとドアを開けた。
するとやっぱり白い腕。
ぎゃあと叫んだ彼女はお母さんを呼びながら階段を駆け降り、泣きながら事情を説明してお母さんと一緒に部屋に入ってもらったが、二人で戻ったら
「何もなかったんです〜〜」
と、弾ける笑顔で笑い話のていで話すあなたが怖いわ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます