第22話 マシンゴーレム

「とうとうきましたか!」

「ああ。間近でみるとすごいぞ」

「見たいわ!」


 3人そろって外に出るとアンジェラ王女と大人の2倍大きい茶色のマシンゴーレムがいた。目の当たりにすると機械でも威圧感がある。黄色く光る目が不気味だ。今は二足歩行モードらしい。


「約束のマシンゴーレムを持ってきたわよ!」


 アンジェラ王女が言った。馬車と兵士数名を後ろに従えている。


「ジェマに話をして使い方は教えといたから。何かあったらいつでも来なさい。じゃあ、帰るわね」


 あっさりそう言って馬車に乗って帰ってしまった。


「どうします?」

「使ってみたいから、一緒に鉱山に潜ってくる」

「気をつけて」


 ジェマはマシンゴーレムを従えて鉱山に歩いていった。


 こうして月日が過ぎた。マシンゴーレムは性能がよく、目論見通りずーっと稼働し続けた。魔物を倒してはアイテムや本体を持ち帰り、それが武器防具や道具になった。金銭的に十分な働きを続けている。


 デュラン団長からは定型的な仕事はない旨の返事と『星屑のオーブ』が送られてきた。アンジェラ王女に渡してほしいと書いてあったが、何があったのかは分からなかった。王女の方も黙って受けとるだけだった。報酬はきちんと支払われた。


 冒険者ギルドはこうして立ち直りアルテミスの出向は成功した。楽しい毎日を過ごして、実りのある出向期間となった。


 難しいけれども充実した成長ぶりを、ネロは毎月の手紙の返事で実感し、呟いた。


「そろそろ出向期間も終わりでしょうな。しかし、早かったですな……」


 そのころ、ポトスのギルドにいるアルテミスは、夢中で次の改善を考えていた。出向がどうだとか左遷がどうだとかはもはや何も頭にないまま、目の前の現場をどうよくするかにだけ集中して、毎日を充実させていた。それは中央の人間も見ていて、アルテミスは次も重要な拠点に置こうと決めるのであった。


おわり

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

伯爵さまはギルドに出向! もちやまほっぺ @mochihoppe

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ