第21話 改善効果

 ギルドで人を採用してから1ヶ月がたった。

 道具屋はポーション職人のおかげで受注販売ができるようになった。注文分だけ作ればいいので、在庫が激減した。物流費用はゼロになった。ポーション職人に辞められないような居心地の良い環境作りと厚待遇が密かに検討されはじめた。

 武器防具屋は生産量が増えると同時に余剰時間で質の良い新たな武器防具を生み出せるようになって、評判が良くなった。教育が重要になった。

 食堂は夜の居酒屋で新メニューが開発され、営業時間も伸びたので酒の注文が増えたため、利益が増加した。人気が出たので、朝の部、昼の部も客足が増えた。朝昼と夜の情報共有と競争で切磋琢磨するようになった。

 客層は、ここでの依頼は受けないが目的地までの休憩所のような感覚で立ち寄る冒険者たちだ。現金収支は大きく改善した。

 

「ジェマ、うまくいきましたよ!」

「そうだな。マネージャーとして、モティもワッツもニキータも結果を出したな。しかも、次なる対策もきちんと考えている」


 ジェマは満足そうに頷いた。


「あとは本業の依頼が増えて、それをこなせるやつらが増えれば言うことはないな」

「デュラン団長の返事はくるでしょうか?」

「さあな。忙しいだろうし、リップサービスの可能性もなくはない。それより、そろそろマシンゴーレムがきてもいいころだが……」


 そういってジェマは部屋を出て外を見に行ってしまった。


「あー、行ってしまった」


 アルテミスは1人部屋に残された。椅子の背にぐっともたれかかる。とりあえず結果が出てほっとすると同時に高揚感が出る。


「いやぁー、なんとかうまくいったなぁ」

「まだでしょーが!」


 怒声が聞こえてきた。


「だ、だれ?」

「わたしじゃー!」


 そこにはパメラがいた。いつの間に部屋に入ってきたんだ……。


「いやでもお金が入ってくるようになったよ!」

「私の仕事は増えてないわよ」

「う。確かに。いまそれを考えていてですね……」

「何しに中央までいったのかしら?」

「今、返事を待っていてですね……」


 すごく冷たい対応だ。まぁ、言うとおりなんですけどね。


「皆忙しいけど生き生きしてるのに、私だけ役にたってないみたいで辛いじゃないのよ」

「あー、なるほど。もちろん、ジェマと一緒に本業を増やすよう色々検討してるから。ただ、あんまり良い案が思いつかなくて。何か良い案はない?」

「考えてるわよ、私だって。何か思いついたら言いにいきます! でも、早くなんとかしてね」


 そういってパメラが部屋を出ていこうとしたとき、入れ替わりにジェマが入ってきた。笑みを浮かべている。


「きたぞ、マシンゴーレムが」

 

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